知識ゼロの社長は会計をどう勉強すればよいか

会計の知識がゼロで事業をはじめたとしても、わざわざ簿記の勉強をする必要はありません。

しかし、自分が疑問に感じたことは、こまめに、まずは自分で調べながら解消していきましょう。

数字や知識も道具なので、つかわなければ強くなりません。

 

簿記を勉強するべきか

経営をするにあたり、数字がよくわからないというのは不安なものです。

「簿記を勉強したほうがよいのだろうか」

こう思うかたは多いです。

ただ、その答えは「必ずしもやる必要はない」です。

 

というのも、簿記を勉強する目的は、決算書を作れるようになることだからです。

もちろん、その過程で会計のルールに詳しくなるので、決算書をみたときに腰が引けるようなことはない、というメリットはあるかもしれません。

ただ、決算書をどう経営に活かすか、というのは、また別の問題です。

経営は、その決算書の数字を自分が望む数字に変えていくこと、とも言えますから。

変えるために何をするか(現状維持もふくむ)、が社長の仕事です。

 

もし、数独のような数字のパズルが好きなのであれば、日本商工会議所がおこなっている簿記検定3級くらいを試してみるのはいいかもしれません。

勉強する期間が1~2か月、やっても1日あたり1~2時間程度なら。

試験自体は、これくらいの負担でも合格できるくらいの難易度です。

ただし、勉強する内容は、普段の経理にはつかわないものがほとんどです。

(浅く広く、というのは、ほとんど全てのペーパーテストに共通しているところです)

 

それでも、簿記を勉強することにより、簿記独特の感覚は身につくでしょう。

それは、あるものが動くと、必ずもう一つ以上なにかが動く、という感覚です。

  • 売上が増えたら、お金や売掛金が増える
  • 経費が増えたら、お金が減るか・未払金が増える

あるものごとの原因と結果、この両方をおさえておく感覚です。

(簿記を勉強しないと身につかない、ということでもありません)

 

この感覚を突き詰めていくと、次のような疑問を解決することの役に立ちます。

利益とは別に、お金のことも資金繰り表などでチェックしているという条件付きですが。

  • なぜお金の増減と利益は同じじゃないのか
  • いまあるお金のうち、自由に使えるお金はいくらか
  • つかってはいけないお金はいくらか など

 

勉強=疑問をこまめに解消すること

このように簿記を勉強することにメリットもあるのですが、必ずしもやる必要はありません。

その知識を現実でつかえるのか、という問題があるからです。

本気度の違い、といえるでしょうか。

 

自分の経験上ですが、税理士試験などで一通りやったつもりが、その時々のお客さまの問題にあたっては、ほとんど毎回勉強のやり直しでした。(今でも)

ルールは一つなんですが、「どうすれば納得できるか」が人それぞれだからです。

納得しなければ、つかえません。

なので、ちょっと疑問に感じたときに、まずは自分で調べてみる。

これが一番よい勉強法だと思っています。

 

情報は、インターネットや本などでも手に入ります。

鵜呑みは危険ですが、多少なりとも目途はつくはずです。

「ちょっとこわいな」と思ったら、セミナーや相談などに行けばよいのです。

不確かなものがいくつかあると、足し算ではなく掛け算で積み重なるケースもあるので、大きなお金が動く前や決算の前などに。

 

結局は、数字も道具です。

簿記を勉強するのは、その道具の取扱説明書を読むようなものといえます。

目の前に道具があったら、とりあえずつかってみる。

つかってわからなかったら調べる。

不確かなものが積みあがらないように、こまめに。

これが基本ではないでしょうか。

 

繰り返しになりますが、大きなお金が動くときや不確かなものが積み重なってくるようなときは、慎重におこなう必要があります。

大きな被害をうけないために。

専門家などに料金を払えば、ソツなくこなしてくれるでしょう。

でも、自分の将来は自分で決めたい、そう思いませんか?

そのためには、自分で調べてみる、専門家がいるなら「ここがよく分からないから知りたい」と聞く。

そういう姿勢も大事じゃないかな、と感じます。

じつは、これが専門家をよりよく活用するための秘訣でもあるのです。

 

まとめ

会計の知識がゼロで事業をはじめたとしても、わざわざ簿記の勉強をする必要はありません。

日々、ちょっと疑問に感じたことを調べればよいのです。

不確かなものが積みあがらないように、こまめに。

知識は、つかえなければ意味がありませんから。

 

※ 記事作成時点の心境に基づいています。