インボイスの保存が必要ないのはどんな取引か
インボイスは、原則として、自分が渡したもの・相手から受けとったもの、この両方の保存が必要です。
とくに相手から受けとったもの、経費などのインボイスがないと仕入税額控除ができないため、消費税の納税が増えてしまいます。
しかし、いくつかの例外や、2年前の売上が1億円以下のかた限定の特例もあります。
なぜインボイスの保存が必要なのか
インボイスは、自分が渡したもの・相手から受けとったもの、この両方の保存が必要です。
売上のインボイス(控え)
自分が渡したもの、つまり売上の請求書や領収書(控え)の保存については、これまでと違い法律上の義務になってしまいました。
とは言え、基本的にはこれまでと同じでしょう。
これらの書類は、決算をするにあたって必要だったものですから。
ちなみに、保存する期間は、個人・法人とも7年間です。
しかし、これは消費税のルールで、法人税や所得税での保存期間は次のとおりです。
- 個人……5年
- 法人……7年(欠損金の繰り越しをしているなら10年)
合わせてよ……とも思うでしょうが、個人・法人とも7年(法人で欠損金の繰り越しをしているなら10年)保存しておきましょう。
なぜ義務になったのか……?
おそらくですが、ある取引について、売った方・買った方ともに金額が同じか?ということを調べるときのため、でしょうね。
こう考えると多少イヤな気分になりがちですが、やることは基本的にはこれまでと同じです。
ただ、データで渡している場合、令和6年(2024年)からは、相手に渡した状態のデータを保存する必要があります。
電子帳簿保存法のルールによるものですので、パソコン周りの環境を整えておきましょう。
(参考記事)請求書等のデータは保存が必要になりました【電子帳簿保存法】
支払いのインボイス
相手から受けとったインボイス、つまり経費などの領収書も保存が必要です。
もし保存をしていないと、基本的には仕入税額控除ができなくなってしまいます。
つまり、消費税の納税が増えてしまうのです。
とはいっても、例外はあります。
(参考記事)インボイス制度の話でよく出る「仕入税額控除」とは
保存が必要ないインボイスはどんなものか
仕入税額控除するためには、インボイスと帳簿の2つが必要です。
(帳簿とは会計データのことで、そこにも取引の内容を入力します)
このうち、インボイスを保存していなくても仕入税額控除ができるものは、次のとおりです。
● 3万円未満の公共交通機関の利用
● 3万円未満の自動販売機での買い物
ATMでの振込手数料、コインロッカーなどが含まれます。
インターネットバンキングの振込手数料は、インボイスが必要なことを気にしておきましょう。
なお、コインパーキングは対象ではありません。精算機は料金を支払うだけですので。
でも、自動販売機で3万円以上つかうって何でしょうね、思い浮かばない……
● 入場券のように相手に回収されてしまうもの
入場券とは別にインボイスを受けとるときは、そのインボイスを保存しましょう。
● 郵便局での郵便、宅急便など
郵便局で受けとる領収書は保存しておきましょう。
● 役員やスタッフに支給する出張手当や通勤手当
これら以外にも、業種により独自のものがありますが、最低限これらのものは押さえておきましょう。
なお、これらのインボイスを保存していないときは、帳簿にそれぞれのキーワードを記入しておく必要があります。
「電車 3万円未満」「どこどこの自販機」といった感じで。
2年前の売上が1億円以下なら
インボイス制度が始まってから6年間の期間限定の特例があります。
2年前の売上が1億円以下なら、1万円未満のインボイスは保存していなくても、仕入税額控除することができます。
なお、1万円未満かどうかは、税込みで判断します。
できれば、期間限定ではなく恒久化してほしいものです。
まとめ
インボイスは、自分が渡したもの・相手から受けとったもの、この両方の保存が必要です。
とくに相手から受けとったもの、経費などのインボイスがないと仕入税額控除ができないため、消費税の納税が増えてしまいます。
しかし、上記のような例外や、2年前の売上が1億円以下なら特例もあります。
たしかに経理の手間が増えてしまうところもありますが、基本的なやり方はこれまでと同じ、という姿勢で備えましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。
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