勘定科目を選ぶ前に知っておくべきこと
勘定科目について絶対的なルールはありません。
なので自由なわけですが、次のようなことに気をつけましょう。
- いい加減という印象をあたえない
- 同じものは同じ科目に
- 自分なりのルールを決める
- 雑費は避けたい
なんのための帳簿か、だれが帳簿をみるのか、を意識する必要があるのです。
基本は自由だけど
勘定科目はなにをつかえばよいのか……?
この点について、絶対的なルールは存在しません。
なので自由にきめてよいわけですが、それでも気をつけたいことはあります。
なんのために帳簿をつくるのか。
だれが帳簿をみるのか。
こういうことを意識しておく必要があるのです。
いい加減という印象をあたえない
売上ー経費=利益
勘定科目で迷うのは、選択肢の多さにより、ほとんどの場合は経費ではないでしょうか。
どんな科目をつかっても、けっきょくは経費なわけで利益は変わらない。
じゃあ、なんでもいいよね。自由なわけだし……
こんな風にできあがった決算書を金融機関や税務署がみたら、どう思うでしょうか?
通常、彼らが決算書をみるときは、数年分をまとめて確認します。
いろんなチェックをされるのですが、それぞれの科目の推移はどうか?という見方もされます。
ある科目だけをぬき出し、年ごとの金額をみるのです。
そこで金額の振れ幅が大きいと、「なぜ?」と聞かれます。
「いや、適当にやってるんですよね……」とは答えられないですよね。
経費は、お金のつかいかたともいえます。
その管理ができていないところに、金融機関はお金を貸すでしょうか?
税務署は、粗さがしをするために帳簿をみるようなところもあります。
「掘ればいろいろでてきそうだな……」と思われたくはないですよね。
確かに科目は自由なのですが、いい加減という印象をあたえない。
これが大前提と思っておきましょう。
同じものは同じ科目に
ある科目をぬき出し、年ごとの金額をみる。
これは経営者にとっても必要なときがあります。
「○○は使いすぎじゃないかな?」と気になることってありますよね。
こんなときに○○について、あるときは「△△費」、あるときは「◇◇費」と経理されていたらどうでしょう。
探し出すのも、ひと苦労。
パッとみてわからないんだったら、もういいよ。
集計のやり直し。
これでは何のための帳簿かわかりません。
経理は、経営管理のためでもあるのです。
ある基準をベースに、比較をしながら考える。
その基準がハッキリしないのなら、比較のしようもありません。
なので、同じものは同じ科目で経理しましょう。
自分なりのルールを決める
たとえばガソリン代。
「車両費」「旅費交通費」「燃料費」「消耗品費」
これくらいの候補があげられます。
- 車両費……車にどれくらい経費がかかるかをしりたい
- 旅費交通費……移動にかかる経費をしりたい
- 燃料費……ガソリン代だけがどれくらいかしりたい
- 消耗品費……ほとんど車をつかわないので意識しなくてもOK
こんな風に、自分がしりたいことにより、科目を決めるのがよいでしょう。
すべてについて、こういう理由が必要でもないので、金額が大きめのところから意識していくのがおススメです。
そして、ルールを決めたら、理由がないかぎりは、つかい続けましょう。
比較するのがむずかしくなってしまいますから。
雑費は避けたい
よくわからないときは雑費。
たしかに、こういう使いかたをするときもありますが、雑費はできるだけ避けましょう。
パッと見て内容がわからないからです。
対税務署のことをかんがえると、余計なツッコミをさけるため、ともいえます。
ムリヤリほかの科目にねじこむ必要もないのですが、多少は考えてみましょう。
もし、それが今後も継続するものなら、いまはつかっていない科目をつかうものよいでしょう。
また、金額が大きめのときは、雑費を避けるのは必須レベルです。
決算書は、みてわかりやすいものがよい、ということなのです。
勘定科目をえらぶときの参考
科目は自由なため、そもそも「○○費」という名前から自分できめることもできます。
ですが、法人税法では「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準にしたがって計算」するように定めています。
あまり突飛なものは避け、ある程度は世間で一般的につかっているものにしましょう、ということなのです。
会社の場合は、会計ソフトにもともとあるものをつかうのがよいでしょう。
個人なら、決算書を意識してきめるのがよいです。
見てのとおり、科目が空白になっているところは少ししかありません。
科目の種類が、あまりにもバリエーションに富んでくると「決算書にどう記入しようか」という問題がでてきます。
かえって手間がかかることにもなってしまいます。
なので、印字されているものをつかい、独自の科目は記入できる数にとどめておくほうがよいでしょう。
まとめ
勘定科目について絶対的なルールはありません。
自由とはいえ、なんのための帳簿か、だれが帳簿をみるのかを意識して選ぶことが重要です。
次のようなことに気をつけつつ。
- いい加減という印象をあたえない
- 同じものは同じ科目に
- 自分なりのルールを決める
- 雑費は避けたい
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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