無料でできる税金がわからないときの調べ方と留意点
税理士である自分がやっている方法も交えながら、無料でできる税金がわからないときの調べ方・留意点を解説します。
どうしても答えが気になりますが、「どうしてその答えになるのか」という理由を意識するのが大事です。
目次
税金がわからないときの調べ方
税理士である自分も、税金でわからないことはあります。
税制改正は毎年ありますし、法律そもそもに曖昧なところもおおく、普段よくつかっている知識でさえ、念のため確認することはちょいちょいあるのです。
税金でわからないことがあるときは、次の順に調べていくのがよいでしょう。
- ネット検索であたりをつける
- 国税庁ホームページなどで、より専門的に調べる
- 誰かに相談する
ネット検索であたりをつける
いちばんお手軽な方法です。
ただ、ネットには情報がありすぎるので、選り分けや多少のコツも必要です。
なので、ネット検索はあたりをつけるにとどめ、ものごとが解決できるとは思わないほうが精神的にはよいでしょう。
鵜呑みにしない
よく言われますが、ネットの情報は玉石混合です。
なので、鵜呑みは禁物です。
そのときの法律にあっているもの、ずいぶん前に書かれ今の法律とは違うもの、パッと見が分かりやすいが正確さを犠牲にしているもの、正確ではあるが法律そのままで読みにくいもの、などいろいろあるからです。
もちろん、すごく良いものもありますよ。
ただ、自分の問題に直接あわせて書かれているわけでもありません。
どうしても答えに目がいきますが、「なぜ、そうなるのか」の理由をひろいだしましょう。
理由が解決のカギなので。
検索ワードを変えながら続ける
いくつか記事など読んでいると、共通する言葉が目につくはずです。
その言葉を軸に、検索ワードを変えながら続けましょう。
このとき、検索候補(ひとつ言葉を入力すると勝手にでてくるもの)もけっこう役に立ちます。
おおくの人が検索しているので候補にもでてくるのですが、すると記事も充実していく傾向にあります。
このように続けていくと、だんだん問題の焦点がしぼられていくはずです。
仮説をたてる
ここまでの検索で、カギになる言葉の意味もだいたいは理解できているものと思います。
カギになる言葉=理由、というケースもおおいです。
それを頼りに、自分の問題にどうあてはまるかの仮説をたててみましょう。
仮説がたったら、残すは「それが正確かどうか」や「確信がもてるかどうか」ですよね。
ここまでの納得度合いにより、この先は、金額の大小のかねあいなどから、より専門的に調べるか、誰かに相談することを検討しましょう。
より専門的に調べる
専門家でもないかぎり、法律そのものをみることは少ないと思います。
なので、興味があるなら……という前提で書きますね。
憲法に「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」とあるように、結局は法律がどうなっているかが決め手となるわけなので。
法律をみる
その法律は、「e-Gov 法令検索」でみることができます。
ただ、法律は一つで完結しているわけではありません。
たとえば、税金にかんする法律は、おおざっぱに次の3つ存在します。
- ○○税法
- ○○税法施行令……○○税法の補足
- ○○税法施行規則……上記の補足
なので、かなりの頻度で、この3つを行ったり来たりしながら確認することになります。
また、法律ではあいまいなことを、国税庁が補足しています。
「通達」と呼ばれるものです。
この通達を頼りに、税務署のかたは判断をしていくのです。
通達は法律ではありませんが、法律だけではあいまいなときに見てみるのもよいでしょう。
※ 見方……「国税庁HP」→「税の情報・手続・用紙」→「税について調べる」→「科目別情報で○○税をクリック」→「専門的な○○税の取扱いを調べる」→「法令解釈通達を見る」
過去の裁判例をみる
無料で調べるには、すこしハードルが高いかもしれません。
ただ、法律があいまいゆえに、過去の判決などが法律を判断する基準となっていることもあります。
とくに、法律の趣旨までふれていることもおおいので、読む価値はじゅうぶんにあるものです。
(趣旨って大事です)
誰かに相談する
いろんな団体が、税金の無料相談をおこなっています。
- 税務署
- 税理士会
- 税理士相談Q&A(freee株式会社)
- 税理士ドットコム みんなの税務相談
- 住んでいる自治体の税務相談……無料かどうかは自治体により異なるかもしれません
- 青色申告会、商工会議所……会員になるのが有料。。。
無料ならでは……
過度な期待はやめましょう。
税金の相談、つまりお金にかんする相談です。
そのお金のことについて、無料ですべての責任を引き受けてくれるところはないはずです。
金額にかかわらず。
あくまでも一般論、ちいさなアドバイス的なものと思っておきましょう。
盲点や全体像は自分でなんとかする?
限られた時間での相談となります。
その時間で、ある問題から派生するあらゆることを網羅するのはムリがあります。
背景にあるものを理解するだけで、時間がはんぶんくらい取られることもありますから。
相談にのってくれるかたによる部分もありますが、基本的には自分で解決するという姿勢がよいでしょう。
なので、自分がみつけた問題の答えそのものと「問題にあたり解決するための行動全般」を聞いてみるのがよいと思います。
あるいは、問題が9割がた解決した段階で「盲点はないか?」という相談もアリかもしれませんね。
留意点
どうしても問題の答えが気になるものですが、問題から一歩ひくような感覚でみることも大事です。
税金はひとつだけじゃない
税金は、お金に換算できそうなものが他人との間で動くとき、だいたいかかります。
そして、基本的には、おなじものに二重に税金がかからないようにもなっています。
すると、〇〇税はかからないけど△△税がかかる、というようなことも起こります。
あるいは、○○税がへるが、△△税はふえる、など。
タダより高いものはない……とは言いますが、こと税金においてトクをするなら「損する部分はないか」の確認が重要です。
問題が解決した後まで考える
想像の世界ですけどね。
でも、その問題が解決したらどうなるのか、考えてみましょう。
問題の背景にあるものはさまざまなので、ここで具体例はひかえますが。
すると、問題そのものへのアプローチが変わるときもありますから。
手取りを考える
これは、税金がすくなくなる場面で、とくに重要です。
おおくの場合、税金がへる=手取りもへる、となってしまうので。
税金を払った見返りを感じることってむずかしいので、税金を払いたくないという気持ちは自然です。
ですが、お金をふやすためには、ある程度の税金はしかたがないという仕組みになっているのです。
税金がへるなら「手取りはどう変わるか」を考えましょう。
まとめ
税理士である自分がやっている方法も交えながら、無料でできる税金がわからないときの調べ方・留意点を解説しました。
どうしても答えが気になりますが、「どうしてその答えになるのか」という理由を意識しましょう。
わからないことがあるときは、むしろチャンスくらいの意気込みで。
自分の考えかたを意識する機会って、なかなかないものです。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
当事務所のサービス