ふるさと納税と医療費:家族の領収書はつかえる・つかえないが違う

医療費控除は、家族の領収書もつかえます。

しかし、ふるさと納税は家族の領収書がつかえません。

「医療費がつかえるなら、ふるさと納税もそうだろう」と思いがちですが、そうではないのです。

また、領収書の名義変更もハードルが高いので、カードをつかうときは名義にも気をつけましょう。

 

医療費は家族の領収書もつかえる

所得税や住民税がすくなくなる仕組みである医療費控除。

この医療費は、支払ったかたの申告に組み込みます。

その根拠がコチラ。

居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた医療費の合計額がその居住者のその年分の総所得金額などの合計額の5/100に相当する金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額などから控除する。

(所得税法73条をアレンジして抜粋)

※ 住民税(地方税法34条)でも「誰の医療費か」についてはおなじ表現です。

 

つまり、一緒にくらしている家族のぶんも、自分の申告でつかうことができるのです。

普通にかんがえれば、収入がいちばん多いかたが家族の面倒をみるわけなので、当り前といえば当たり前。

 

医療費控除は、多くのかたにとってなじみが深いものです。

そのため、「家族の領収書がつかえる」ことは記憶にのこりがちですが、ほかの場面では通用しないこともあります。

 

ふるさと納税は家族の領収書がつかえない

ふるさと納税は、家族の領収書がつかえません。

その根拠がコチラ。

 

居住者が、各年において、特定寄付金(ふるさと納税のこと)を支出した場合において、その年中に支出した特定寄付金の合計額が2,000円を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額などから控除する。

(所得税法78条をアレンジして抜粋)

※ 住民税(地方税法37条の2)でも「誰の寄付か」についてはおなじ表現です。

 

ふるさと納税については、「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族……」という文言がない。

そのため、家族の領収書はつかえないのです。

ふるさと納税がなくても、医療費ほど困ることはない。

そのため、このようなつくりになっているのだと思います。

 

ただ、ふるさと納税は、できれば所得がおおいかたの申告でつかいたいものです。

そのほうが、家族全体の税金にとっての節税効果がおおきくなるので。

 

すると、やっぱり領収書の名義をかえられないか、という誘惑もでてくるものです。

「ふるさと納税 領収書 名義変更」とググってみたのですが、きっと受け付けてくれません。

なので、クレジットカードで寄付をするときは、名義にも気をつけましょう。

 
 

まとめ

医療費控除は、家族の領収書もつかえます。

しかし、ふるさと納税は家族の領収書がつかえません。

「医療費がつかえるなら、ふるさと納税もそうだろう」と思いがちですが、そうではないのです。

 

とくにカードをつかうときは気をつけましょう。

節税とは、こういうちょっとしたことの積み重ねですから。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。