R6年度税制改正大綱 経営者が知っておくべき4つのこと

令和6年(2024年)の税制改正大綱のうち、スモールビジネスに関係しそうなものは次の4つです。

  • 賃上げ促進税制の強化
  • 個人の税金の減税
  • 交際費……飲食代「5,000円」が「10,000円」に
  • 経営セーフティ共済のつかいかたに制限がかかる

 

税制改正大綱とは

税制改正大綱とは、「来年の税制改正はこうなる!」という予告のようなものです。

例年12月中旬に与党が発表するのですが、ゼロからつくりあげるわけではなく、そこまでに出された各省庁や税制調査会、業界団体などの要望をふまえてつくられます。

その後、法律案がつくられ、翌年1~2月ごろには国会で審議されますが、与党がだすものなので、多少の調整はあるかもしれませんが、よほどのことがない限りは法律として成立する見込みのものです。

法律として成立するのが3月ごろで、施行は早いものでその年の4月からという流れになります。

 

R6年度税制改正大綱の内容

しばらく前からデフレがつづいています。

需要がへっているのに供給がおおい。だから値下げをする。

値下げすれば利益がでないのだから、給与はあげられない。よくて現状維持。

すると、ますます売れなくなる。

こんなサイクルが続いていました。

 

そこへ、コロナの影響や円安、他の国との金融政策の違いなどで輸入するものの値段があがりました。

それが最近の物価高です。

このままでは、景気がますますひどくなる。それはマズい。

なんとかしようじゃないか、給与をあげて景気をよくしようじゃないか、というのが今回の税制改正大綱の趣旨です。

 

賃上げ促進税制の強化

従業員の給与をふやすと、法人税が減税されるというしくみが賃上げ促進税制です。

もう何年もまえから存在し、「内部留保するんじゃなくて、賃上げしてくれ」というのが政府や国の声です。

内部留保というのは、会社の儲けを配当金や従業員への給与アップとして会社の外にだすのではなく、ためておくことをいいます。

 

なお、役員報酬や役員の家族への給与は対象になりません。

従業員への給与を○%アップすると、法人税が最大△△%すくなくなる。

この「%」にはいろいろなバリエーションがあるのですが、以前よりもうけやすくなった、ということなのです。

また、給与だけではなく、従業員に教育訓練費がかかった場合や、プラチナくるみん認定など子育てサポート企業の認定をうけると、さらに法人税がすくなくなります。

 

あくまでも法人税が減税されるわけなので、赤字の年度のようにそもそも法人税がゼロなら恩恵はありませんでした。

しかし、今回の改正では、赤字の年度に賃上げをおこなった場合でも、将来5年間に黒字の年度があるなら、赤字のときに賃上げしたぶんもあわせて黒字のときに法人税が減税される可能性がでてきました。

 

なお、給与を上げるというのは躊躇する気持ちもわかります。

いちど上げたら、下げるのは難しいですから。

ということは、売上や利益がふえる見込みがないと、むずかしいのではないかと思うのです。

 

従業員の給与をあげると、巡り巡って自分のところも儲かる。

だから、誰かが先陣をきれ、ということだったら……ちょっと困りますね(;^ω^)

 

個人の税金(所得税・住民税)の減税

令和6年(2024年)は、所得税・住民税あわせて、家族1人あたり4万円が減税されます。

ただし、年収2,000万円をこえたり、フリーランスで所得が1,805万円をこえると減税はされません。

住民税が非課税になる世帯には、令和6年早々にも給付金がでる見込みですが、それと対になるものだろうと思います。

 

この減税は申告がひつようなのではなく、毎月の源泉徴収や予定納税からおこなわれます。

意識していないと実感できないものなので、毎月の明細や納付書をならべて確認しましょう。

 

交際費:飲食代5,000円が10,000円に

交際費は年800万円をこえると、経費にはなりません。

ただし、実態は交際費であっても、取引先との飲食で1人あたり5,000円以下のものは、交際費とはカウントしないようになっています。

これらをのぞいたところで年800万円かどうかの判断をするわけです。

 

令和6年4月以降は、この「5,000円」の基準が「10,000円」に引き上げられます。

そもそも、この「5,000円」の飲食代をふくめたところで年800万円も交際費をつかうのは大変だったりします。

ですが、ありがたく受け入れておきましょう。

 

その他

  • 経営セーフティ共済

いちど解約してから再加入することもあります。

その再加入後の2年間は、掛金をはらっても経費にならないという制限がもうけられました。

これにより、すでに加入している分についても解約時のシミュレーションを考え直す必要がでてきました。

 

  • 住宅ローン控除

子育て世代が、令和6年に認定住宅や省エネ住宅を購入したときの住宅ローン控除は、上限があがります。

 

今後の予定

次のものは、令和7年(2025年)の税制改正で予定されるものです。

 

  • 生命保険

いま、所得税での生命保険は、生命保険・介護・年金と3つにわかれており、それぞれ4万円が控除の上限です。

これが、6万円にあがるのですが、合計12万円という上限はかわらない。。。

財務省や税務署がもっているデータによると、それでも控除はふえるような。

年末調整がまたややこしくなる予感もしますが、保険は税金ではなく自分や家族のためのものと考えましょう。

 

  • 扶養控除

児童手当と扶養控除(16才~18才)の見直しにより、実質的な支援を拡充することを目指す。とのことです。

また、ひとり親の所得制限が、500万円 → 1,000万円となる見込みです。

これから国・自治体でのすり合わせをおこなうようですので確定ではありませんが、子供・少子化について、いちおう国や政府もそういう姿勢はあるのね、と思っておきましょう。

 

まとめ

令和6年(2024年)の税制改正大綱のうち、スモールビジネスに関係しそうなものを解説しました。

今後気にしておくのは次のようなことでしょう。

  • 賃上げ促進税制を意識するか
  • 加入しているかたは、経営セーフティの活用のしかた
  • しばらくの間、年末調整は変更がつづくであろうこと

 

デフレというのはモノが売れない状況ですが、そこへの物価高です。

また、ほとんどすべての業界で人手不足でもあります。

意識すべきは税金ではなく、どうやって利益・お金をいまより増やすか、ではないかと思っています。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。