請求書等のデータは保存が必要になりました【電子帳簿保存法】

取引先と、郵便やFAXではなく、メールで請求書や領収書などをやり取りすることって多いと思います。

また、スマホのアプリで決済する経費も増えましたよね。

これらの税務申告の裏付けとなる資料は、保存が必要なのですが、紙にプリントして取っておく方も多いと思います。

 

令和5年度税制改正で、データのみでやり取りをした資料の保存方法が、変わることになりました。

データを改ざんするケースが出てきたためです。

 

実は、2年前の令和3年度の税制改正でも変わっていたのですが、今は猶予期間中です。(だったのです)

令和5年度では、その令和3年度の改正が少し緩和されることになりました。

 

実は、この改正を守らないと、青色申告が取り消される可能性があるという、ちょっと怖いものなのです。

これらを順に整理し、じゃあどうしようか、というところまでみていきましょう。

 

令和3年度の改正前はどうだったか

対象になるもの

紙ではなく、PDFやJPEG形式などのデータのみでやり取りをする請求書や領収書等

※ パソコンやスマホの画面に表示しかされないものも含みます。

※ 取引先から貰うもの、自分が発行するものの両方が対象です。

※ 紙でもやり取りをするときは、紙を保存しておく方が手間がかかりません。

 

具体例

  • メールに添付するPDF形式等の請求書や領収書
  • 請求金額を変更・追加等した際の、メール本文
  • アマゾンや楽天等のネットショップで購入したときの領収書など
  • スマホのアプリで決済しているもの
  • クラウドサービス等で、領収書などを各サイトでダウンロードするもの  など

 

保存の方法

すべて紙にプリントして、保存しておく。

(データは保存しない)

これで、良かったのです。

 

令和3年度にどう変わっていたか

データそのものを保存するように変わりました。

 

さらに、「データの改ざんが出来ないように」という目的で、保存の方法も指定されてしまいました。

「真実のものであること」

「検索できること」

この2点を満たすように、保存の方法に条件を付けられたのです。

 

これが、令和4年(2022年)から変わる予定だったのです。

とは言っても、とても対応できるものじゃない、ということで、スタートは令和6年(2024年)まで延期されています。

 

真実のものであること

「改ざんしていませんよ」と言えるための条件です。

タイムスタンプを利用する方法、データを訂正したときに記録の残るシステムを導入する方法があるのですが、これらはいずれもお金がかかってしまいます。

 

そこで、比較的簡単なのが、次の方法でした。

  • データの訂正等に関する事務処理規程を定め、それに沿った処理をすること

この事務処理規程は、ひな形が国税庁のHPからダウンロードできます。

 

検索できること

必要なことは、次の2つでした。

① データを、年度ごとや取引先ごとに、フォルダにまとめておく

② 「日付、金額、取引先」で検索できるように、データの名前を変えるか・Excelなどで表を作っておく

 

データの改ざんとは関係なさそうなのに、なぜ検索できなきゃいけないの?と思いますよね。

よく言えば、自分のため

はっきり言えば、税務調査がスムーズに行えるようにするため(と思います)

 

令和5年度でどう緩和されたか

相当の理由がある場合

令和3年度の改正の諸々はいったん忘れて、次の3つの条件を満たせばよいことに、変わりました。

① データを保存しておく

(注)データは、ある程度の単位で、フォルダにまとめておくのがベターです。

② データは紙にプリントしておく

③ 令和3年度に改正された条件を満たせないことに相当の理由があること

 

「相当の理由」については、次の記事で解説しています。

(参考記事)【電子帳簿保存法】データ保存が楽になる相当の理由を解説

 

「検索できること」の対象者が緩和された

「日付、金額、取引先」で検索できるように、データの名前を変えるか・Excelなどで表を作っておく

これは、結構な時間と手間を取られますよね。

 

次のいずれかの方は、この作業をやらなくてもよくなります。

① 2年前の売上が5,000万円以下

② データを紙にプリントし、日付・取引先ごとに整理して保存している

 

まとめ

この改正は、令和6年(2024年)から始まります。

 

ルールが複雑ですが、次の方法が比較的簡単だと思います。

① データは、年度ごとに、フォルダにまとめて保存しておく

② 事務処理規程を作っておく

  国税庁のHPからダウンロードし、状況に合わせてもじりましょう

③ データを紙にプリントし、日付・取引先ごとに整理して保存する

 

何もしないで放っておくと、青色申告が取り消されるのが厄介なので、多少なりとも努力の跡を残しておきましょう。

普通に生活していれば、データの改ざんなど思いつかないですよね。

そのあたりが税務署の方に伝われば、青色申告の取消しにはならないはずなので。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。