消耗品・工具器具備品と消耗品費の違い
消耗品・工具器具備品・消耗品費には「資産なのか経費なのか」という違いがあります。
この3つについて意味と経理の違いを解説します。
意味の違い
消耗品や工具器具備品はモノ(資産)です。
いっぽう消耗品費は経費です。
なにかを買ったとき、それはまず資産となります。
その後、それを使ったときに経費になる。
このような仕組みになっています。
つまり、消耗品・工具器具備品・消耗品費の3つには「資産なのか経費なのか」という違いがあるのです。
事業でつかっているものを、うっかり資産として経理しているときは、経費が少なくなっていることになるので注意しましょう。
ちなみに、資産は貸借対照表に、経費は損益計算書に載ります。
※ 個人事業主のかたは「純資産」を「元入金」に置き換えてください。
経理の違い
消耗品はコピー用紙や文房具、包装用紙、ガソリン、洗剤などを指します。
使うとなくなる。そんなイメージのものです。
いっぽう工具器具備品は、パソコンや棚、コピー機などを指しますが、消耗品のように使っても物理的になくなるものではありません。
それぞれ消耗品費との違いをみていきましょう。
- 消耗品と消耗品費
- 工具器具備品と消耗品費
消耗品と消耗品費
なにかを買ったとき、それはまず資産となります。
その後、それを使ったときに経費になる。
このように説明しましたが、消耗品についてこのような経理をすることは稀です。
(会計ソフトの初期設定でも「消耗品」という科目はないかもしれません)
というのも、次のどちらかにあてはまるものは、使いはじめたときに全額を「消耗品費」として経費にすることができるからです。
- 使用可能期間が1年未満のもの
- 取得価額が10万円未満のもの
まず「消耗品」……資産
そのうちつかったものを「消耗品費」……経費
このようにわざわざ面倒な経理をする必要はないのです。
ただし、あまりに大量のまとめ買いをしたときは、つかっていないものを「貯蔵品」として経費ではなく資産にしておきましょう。
毎年おなじくらいの金額が出ていっているのなら問題になりません。
しかし、ある年だけ突然ふえると「使っていないものは経費にならない」という本来のルールで厳密にみられることがあるからです。
工具器具備品と消耗品費
工具器具備品は、消耗品とはちがい、まず資産となります。
それから減価償却をつうじて経費にしていきます。
ですが、単価10万円未満なら、使いはじめたときに全額を経費にできます。
このときは「減価償却費」ではなく「消耗品費」と経理します。
もし、単価20万円未満なら、通常の減価償却ではなく、3年で1/3ずつ経費にしていく一括償却という方法をつかえます。
このときは「減価償却費」と経理します。
さらに、単価30万円未満なら、使いはじめたときに全額を経費にすることもできます。
ただし、この方法をつかえるのは取得価額の合計で300万円までです。
このときは「減価償却費」ではなく「消耗品費」と経理します。
ここまでを整理すると、つかえる方法は次のとおりです。
全額を経費 (10万円未満) | 一括償却 | 全額を経費 (30万円未満) | 減価償却 | |
単価10万円未満 | ○ | ○ | ○ | ○ |
単価10万円以上 20万円未満 | × | ○ | ○ | ○ |
単価20万円以上 30万円未満 | × | × | ○ | ○ |
単価30万円以上 | × | × | × | ○ |
「全額を経費」が2種類ありますが、もとづいている法律の違いによるものです。
(30万円未満)のほうを「少額減価償却資産の特例」とよびます。
この方法では申告書に一手間加えなければならないので、つかえるときは(10万円未満)のほうをつかいましょう。
その一手間について、個人事業主のかたはこちらの記事を参考にしてみてください。
(参考記事)少額減価償却資産があるときの決算書・申告書の書き方
まとめ
消耗品・工具器具備品・消耗品費。この3つの科目には「資産か経費か」という違いがあります。
とくに消耗品・消耗品費には「費」がついているか、しか違いがありません。
これにより利益が変わってしまうこともあるので気にしておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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