消費税の計算(簡易課税制度)
消費税の計算方法には、2つの方法があります。
ひとつは前回ご紹介した原則的な方法ですが、今回は払った消費税のチェックや集計をする必要がない「簡易課税制度」という方法を見ていきましょう。
2年前の売上が5,000万円以下の事業者のみ選べる方法です。
H31年(2019年)10月から消費税が10%に上がる予定ですが、食料品などには軽減税率(8%)が導入されるので、消費税のチェック作業はますます大変になりますしね。
受け取った消費税×みなし仕入率
原則的な方法では、「受け取った消費税ー払った消費税」で納める消費税を計算します。
簡易課税制度では、「払った消費税」は、受け取った消費税に業種ごとに決められたみなし仕入率を乗じて計算します。
みなし仕入率は、次のようになっています。
第一種事業(卸売業)……………90%
第二種事業(小売業)……………80%
第三種事業(製造業等)…………70%
第四種事業(その他の事業)……60%
第五種事業(サービス業等)……50%
第六種事業(不動産業)…………40%
<例>
小売業を営んでおり、今期の売上が3,240万円(消費税240万円)の場合
① 240万円×80%=192万円……これが払った消費税になります。
② 240万円ー192万円=48万円……これが納める消費税になります。
確かに会計に関しては手間暇が省けますが、原則的な方法で計算した方が納税が少なくなるケースもあります。
そこで、一つ問題があります。
簡易課税制度を選ぶためには
適用を受ける年度の前年度中に「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出します。
来年度から適用を受けるためには、今年度中に出します。
ただし、開業1年目の方は、開業した年に出せば、開業した年から適用を受けられます。
また、原則として2年間は原則的な方法で計算することはできません。
つまり、前もってどちらかを選ぶ必要があり、実際に二つの方法で計算してから選ぶことが出来ないんです。
もちろん、簡易課税制度の方が納税が少なくなるケースもありますので、家賃など固定的にかかる経費や、消費税がかからない人件費の割合などを見積もって、慎重に選ぶ必要があります。
設備投資をする場合
多額の設備投資をする場合には、原則的な方法で計算すると還付のケースがあります。
しかし、簡易課税制度を受けていると、この還付を受けられなくなります。
また、一度選ぶと、2年間は原則的な方法で計算できなくなりますので、設備投資を計画されている方はご注意ください。
(注)この記事は、作成時点での法令等に基づいております。また、細かい法令等をざっくり解説していますので、実際の適用にあたっては、関係省庁・専門家等への確認をお願いいたします。