年明けにやらなきゃいけない年末調整以外の3つのこと
事業をしていると、年末年始には次の4つの手続きが必要になります。
- 年末調整
- 法定調書の提出
- 給与支払報告書の提出
- 償却資産税の申告
それぞれがどのようなものか、解説します。
年末調整(12月)
役員報酬や給与からは、所得税が天引きされます。
この天引き、じつは前払いなのです。
所得税は1月~12月の収入をベースに計算するので、12月の給与がわかった時点で1年間の所得税を計算し、前払いしていたものとの比較で精算します。
この手続きが年末調整です。
(天引きした所得税は、次の月に納めることも気にしておきましょう)
通常は12月の給与でおこないますが、資料が遅れた、扶養のかたが増えた・減ったなどで1月になってしまうこともあります。
ただ、基本的には12月中に終えるのがよいでしょう。
というのも、この年末調整の情報は、下記にある他の手続きにもつかうからです。
なお、おなじく給与から天引きする住民税は、前払いではなく、後払いです。
そのため、住民税には年末調整のような仕組みはありません。
この違いは、次のように給与からの天引きの時期にあらわれます。
- 入社1年目……所得税の天引きはあるが、住民税はない
- 退職した翌年……所得税はこないのに、住民税の納付書が送られてくる
法定調書の提出(翌年1月中)
1月~12月のあいだに次の支払いがある場合、「誰に・いくら支払った」などの情報を税務署へ提出しなければなりません。
この「誰に・いくら支払った」などの情報を、法定調書と呼んでいます。
- 役員報酬、給与、ボーナス
- 退職金
- 士業などへの報酬
- 家賃や地代
- 不動産の購入・仲介手数料
- 配当金 など(全部で60種類もあります)
法定調書には、支払い先の「名前・住所・マイナンバー・支払い額」などを記入するようになっています。
期限は1月末ですが、年が明けてからこれらの情報を整理するのは大変です。
普段から、この手続きをみすえた準備、整理整頓をしておきましょう。
(書類ってあっという間にたまっていくので、けっこう大変ですよね……)
給与支払報告書の提出(翌年1月中)
給与支払報告書は、住民税における源泉徴収票です。
- 源泉徴収票=役員報酬や給与の情報がのっている「所得税」の書類
役員もそうですがサラリーマンには、所得税と住民税がかかります。
所得税は年末調整があるので支払いは済んでいますが、住民税は……?
(先ほど書いたように、住民税は後払いです)
もし、フリーランスのように自分で申告をすれば、その情報は区役所などに届くようになっています。
しかし、源泉徴収票の情報は、自動で区役所などに届くようにはなっていません。
そのため、給与などを支払ったかたが「誰に・いくら支払った」の情報を区役所などに送らなければいけないのです。
この手続きが、給与支払報告書の提出です。
ちなみに、給与からの住民税の天引きは、6月~翌年5月までの12回でおこなわれます。
1月にこの手続きを終えると、5月にスタッフが住んでいる市区町村から「いくら天引きするか」の明細が送られてくるようになっています。
償却資産税の申告(翌年1月中)
償却資産税は、固定資産税のことです。
じつは固定資産税は、建物や土地だけにかかるものではないのです。
事業でつかっている「減価償却をするもの」にもかかるのです。
建物や土地は、新築・購入したときの登記の情報を、市区町村が手に入れることができるようになっています。
そのため、ほっといても納付書が届きます。
ですが、「減価償却をするもの」の情報はわかりません。
そこで、事業をしているかたが申告するようになっているのです。
基本的には、単価10万円以上のモノに償却資産税がかかります。
(対象になるモノがすくない場合は、免税になるケースもあります)
しかし、単価10万円~20万円のモノは、経理の方法によって「かかる・かからない」が変わってしまいます。
経理の方法、つまり減価償却の方法ですが、これを変えれば利益が変わる。
利益には法人税や所得税がかかるので、じつは、普段から法人税などと償却資産税の兼ね合いを踏まえた経理が必要なのです。
まとめ
事業をしていると、年末年始には次の4つの手続きが必要になります。
- 年末調整
- 法定調書の提出
- 給与支払報告書の提出
- 償却資産税の申告
ただでさえイベントの多い時期なので、日頃から書類を整理整頓しておくなど準備をしておきましょう。
お正月が税金のせいで台無し……なんてもったいないですからね。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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