個人の税務調査と脱税ランキング【R4年度】

「令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」が国税庁から公表されました。

個人の税務調査にかんする資料ですが、その内容を考えてみました。

なお、R4事務年度は、R4年7月~R5年6月です。

4月に人事異動などあれば、3月の個人の確定申告が処理しきれないでしょうから。

 

個人の税務調査

R4年度におこなわれた個人の税務調査で目につくのは、次の3点でした。

  • 調査の件数・追徴税額ともに増加した(実地調査は50%増)
  • 海外投資は積極的に調査されている
  • シェアリングビジネスも積極的に調査されている

 

調査の件数・追徴税額ともに増加した(実地調査が50%増)

税務調査は増えました。。。

前年度60万件だったものが、64万件に。前年比106%くらいですね。

 

ただ、税務調査とひとくちに言っても、大きく2つに分かれます。

簡易なものと実地調査に。

  • 簡易なもの……お尋ね的なハガキや電話でおこなわれるもの(税務署への呼び出しをふくむ)
  • 実地調査………自宅や事務所に税務署のかたが来ておこなわれるもの

 

実地調査は誰にとっても面倒なもので、できれば避けたいもの。

この実地調査は、前年度3万件だったものが、4.6万件に増えました。

なんと50%も増えたのです。

 

大きな要因は、コロナが落ち着いてきたことでしょうね。

税務署にしてみれば、今まで抑えてきたのでそろそろ通常の活動にもどすよ、ということでしょう。

さらに、調査1件あたりの追徴税額も増えています。

質・量ともに増えているわけです。

 

コロナが発生したのは令和2年(2020年)あたりでしたが、これまではコロナが免罪符みたいなところもありました。

給付金にからめて税金の申告もいい加減にやった、ということがニュースでも流れたりしましたし。

R4年度の税務調査は、そういうことのツケを払ったということかもしれません。

今後はどうでしょうか……?

さすがに、来年も実地調査が50%増ということはないと考えているのですが。

 

 

海外投資の調査

海外投資についても、調査は増えています。

前年度2,000件だったものが、2,700件に。

 

これは、次のような書類・情報によるところが大きいのです。

  • 国外送金等調書……国外への送金・国外からの入金のさい、金融機関でつくる書類が税務署へとどく
  • 国外財産調書……国外に5,000万円超の財産があるかたに、税務署への提出義務があるもの
  • CRS情報……外国の税務署と、その国にとっての外国人の金融情報を交換する仕組み

 

気になるのは、国税庁が公表している資料で、海外投資について「積極的に調査を実施しています」と書いてあることです。

海外を利用した節税は、これまでも改正により少しづつ制限されてきました。

これからもそうなっていくのでしょうね、きっと。

 

シェアリングビジネスの調査

シェアリングビジネスとは、ネット広告、デジタルコンテンツ、ネットオークションなどインターネットを通じた商売をいいます。

前年度800件だった調査が、1,300件に増えました。

 

調査の数自体はすくないですが、「注目されている」と考えたほうがよいでしょう。

公表している資料には「資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています」なんて書いてありましたので。

ネットに載せたものは跡が残る、と意識しておくのが吉かもしれません。

 

脱税ランキング

1件あたりの追徴税額が大きかったランキングは、次のとおりです。

ブリーダーってけっこう儲かるんですね……( ゚Д゚)

 

 

自分は税務署のなかではたらいたことがないので、実際のところはわかりません。

ただ、「税務調査をする先をどうやって選ぶか」について、業種を絞ることもあると聞いたことがあります。

この表にのっている業種のかたは、申告の内容について意識しておきましょう。

 

まとめ

R4年度の税務調査は、件数・追徴税額ともに前年度よりも増えました。

コロナが落ち着いてきたことにより、税務署にとっては量・質ともにあがったわけです。

税務調査は、少なくともR4年度のペースが今後も維持されるでしょうが、またコロナが流行るよりはいいかな……

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。