所得税がゼロでも住民税がかかることがある理由
所得税と住民税の計算はよく似ているのですが、所得税がゼロでも住民税がかかることがあります。
それは、次のようなことが原因なのです。
- 所得控除の金額がちがう
- 住宅ローン控除
- 均等割(住民税)の存在
所得税の申告書をつくるとき、つかえるものはすべて申告に織り込みましょう。
所得税と住民税の計算はよく似ている
所得税の計算は、次のようにおこないます。
- 収入から経費をひいたものが、所得
- その所得から所得控除をひいて、課税される所得をだす
- そこに税率をかけて、所得税が計算される
こんな順に計算をしますが、「収入ー経費=所得」については、所得税も住民税も9割がたおなじになります。
住民税にかんする法律でも「特例をのぞき、所得税の計算の例による」とさだめているので、こまかい計算方法などは所得税に丸投げの状態なのです。
のこる1割については違いがでるわけですが、よく見かけるのは株式や配当金があるときの計算です。
もし、このような収入がなければ、所得までの計算は所得税も住民税もまったくおなじ結果になります。
しかし、所得控除以下については、両者に違いがでてきます。
所得税がゼロでも住民税がかかることがあるのは、ここに原因があるのです。
所得税がゼロでも住民税がかかることがある理由
この理由には、次の3つがあります。
- 所得控除の金額がちがう
- 住宅ローン控除
- 均等割(住民税)の存在
所得控除の金額がちがう
所得控除には、誰でもつかえる基礎控除、扶養家族がいるときの扶養控除、結婚しているときの配偶者控除などいろいろありますが、所得税と住民税で金額がちがうものがあります。
そして、金額がちがうときは、すべて住民税のほうがすくない金額になっています。
その結果、「課税される所得」が所得税はゼロなのに、住民税ではいくらか残っているということが起こるのです。
なぜ住民税のほうが金額がすくないのか……?
これは、お住まいの自治体で教育や福祉、ゴミ収集などの行政サービスをうけるため、といわれています。
所得税は国の税金なので、そこまで面倒をみてくれるわけでもない。
そこで、所得控除については住民税のほうが金額がすくなくなっているのです。
所得控除のちがいを表にまとめると、次のようになります。
住宅ローン控除
住宅ローン控除は、所得税からマイナスするものです。
つまり、所得があり、課税される所得もゼロではないから、所得税があるわけです。
その所得税から住宅ローン控除をひいた結果、所得税がゼロになった……
住宅ローン控除をマイナスするまえの所得税がゼロではないなら、住民税はゼロにはならないのです。
(もしかしたら、上の図を見ながらだとピンときやすいかもです)
均等割(住民税)の存在
住民税は、次の2つのものからなっています。
- 所得割……所得にかかるもの
- 均等割……そこに住んでいるだけでかかるもの
そのため、所得割がゼロだったとしても、均等割だけかかるケースもあるのです。
なお、均等割は、東京都なら5,000円ですが、お住まいの自治体により多少変わることもあります。
まとめ
所得税がゼロでも住民税がかかることがあるのは、次のようなことが原因です。
- 所得控除がちがう
- 住宅ローン控除
- 均等割(住民税)
「医療費とかまだまだあるんだけど、所得税がゼロならすべて申告しなくてもよいかな……?」
こんなとき、住民税がかかることもあるので、つかえるものはすべて申告に織り込みましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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