去年と所得がほぼ同じなのに所得税の還付が減るのはなぜか
去年と所得がほぼ同じでも、源泉徴収や予定納税が変わることがあります。
そのため還付の金額が変わるのです。
目次
還付=いちど払った税金が戻ってくること
税金の還付は嬉しいものですが、その還付、じつは自分がいちど払ったものが戻ってきただけなのです。
払ったことがないのなら、還付されることもありません。
所得税は、確定申告のときだけではなく、次のタイミングで払うことになっています。
- 源泉徴収
- 予定納税
源泉徴収
給与や年金・一部のフリーランスの報酬などは、所得税が天引きされ、その残りが入金されます。
この天引きのことを源泉徴収といいます。
この源泉徴収は、前払いです。
給与であれば年末調整で1年分の所得税が計算され、おおかった前払い・すくなかった前払いはキッチリ精算されます。
そうでない場合は、自分で申告をして差額を精算することになります。
源泉徴収された所得税を払うのは、自分ではなく、その給与や報酬を払うかたです。
自分ではなく、取引先ですね。
なので「払った」という実感をもちにくいのですが、じつは払っているのです。
そのぶん手取りが少なくなっているので。
予定納税
予定納税も所得税の前払いです。
去年の所得税が一定ラインをこえると、去年1年分の1/3くらいを2回、今年の7月と11月に払うようになります。
納付書が自宅にとどくので、源泉徴収とは違い、自分で払います。
ただ対象になるのはフリーランスや不動産収入があるかたがメインで、収入が給与だけなら予定納税することは基本的にはありません、
つまり、所得税が還付されるということは、源泉徴収されているか予定納税をしていることになるのです。
もし去年よりも還付がへるなら、源泉徴収か予定納税にカギがあるはずです。
去年と所得がほぼ同じなのに還付が減るのはなぜか
去年と所得がほぼ同じなら、1年分の所得税もほぼ同じになります。
それなのに還付がへるということは、カギは源泉徴収と予定納税にあります。
去年よりも源泉徴収・予定納税がへっているのではないか……?
その理由は、次のことが考えられます。
- 所得はほぼ同じでも、売上はへっている
- 源泉徴収は100万円を境に「%」が変わる
- 源泉徴収しないこともある
所得はほぼ同じでも、売上はへっている
フリーランスが源泉徴収される金額は、ほとんどが収入(売上)の「10.21%」です。
もし、所得がほぼ同じでも売上がへっているなら、源泉徴収されたトータルの金額もへるわけです。
所得がほぼ同じなら、1年分の所得税もほぼ同じ。
還付がいくらになるかは「源泉徴収された金額ー1年分の所得税」と計算される。
もし源泉徴収された金額が去年よりへっているなら、還付がへることになってしまうのです。
源泉徴収は100万円を境に「%」が変わる
源泉徴収は基本的には収入の「10.21%」ですが、1回に払ってもらう収入が100万円をこえるときは「%」が次のように変わります。
- 100万円まで……10.21%
- 100万円をこえる部分……20.42%
もし、1年の収入が去年と同じだとしても、払ってもらうタイミングによってはトータルの源泉徴収が変わることもあるのです。
源泉徴収しないこともある
源泉徴収される・されないは、相手により変わります。
相手が法人なら100%源泉徴収されますが、相手が個人のときは源泉徴収されないこともあるのです。
というのも、フリーランスが人を雇わず1人で事業をしているときは、源泉徴収しなくてもよいというルールになっているからです。
なお、1年分の所得税・源泉徴収・予定納税は、申告書の次のところに載っています。
拡大すると……
ここまで説明してきた言葉は、申告書では次のとおりです。
1年分の所得税……「45」所得税及び復興特別所得税の額
源泉徴収…………「48」源泉徴収税額
予定納税…………「50」予定納税額
還 付…………「52」還付される税金
これらの数字を去年とくらべてみて、なぜ去年よりも還付がへったのかを確認しておきましょう。
たまには計算間違いという可能性もありますので……(;^ω^)
まとめ
去年と所得がほぼ同じなのに還付が減る理由には、源泉徴収・予定納税がへっていることが考えられます。
還付というのは、源泉徴収された・予定納税した所得税がもどってくることだからです。
この他にも、扶養家族がかわったり、医療費やふるさと納税が関係してくることがあります。
自分なりに納得してから申告書を出しましょう。(期限内に)
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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