結果を見てから利益を調整することはできるのか

  • 黒字にできないかな
  • 赤字の方が良いんだけど
  • 税金を減らしたいから、利益を少なくしたい

 

会社の決算書などをみると、こんな感想をもつと思います。

実際にできることはあるのか、考えてみました。

 

利益を調整したい、という欲求

決算が近づいてくると「利益がどうなっているか?」が気になります。

黒字または赤字がいい

黒字でも、利益はなるべく少なくしたい…… など希望もあると思います。

 

金融機関から融資をうけていたり、取引先の審査で決算書が必要だったり、自社の株価を下げる目的があったり、などすると、こういう希望が出てくるのも分かります。

決算が迫ってきたときに、とりあえず出てきた数字をみても「もうちょっと何とかならないか」と思ってしまいますよね。

 

結果を見てから利益の調整ができないか……?

 

会計のルールは、このようなことを防止するため、いろいろな縛りがあります。

もし、防止するための縛りがなければ、誰も税金を払わないですし、投資で株を買うのもおっかないですよね。

 

代表的なものは、次のとおりです。

  • 毎月の役員報酬は、同じ金額でなければならない
  • 経理の方法は、継続して同じものを使わなければならない
  • 売上は、入金時ではなく、モノを引渡したとき・サービスが完了したときに計上する
  • 経費は、出金時ではなく、モノを受け取ったとき・サービスを受けたときに計上する

 

こういうルールを飛び越え、売上を抜く(隠す)、架空の経費を計上する、空伝票を使う、売上や経費を次の年度に移す、などするのはご法度です。

 

何か方法はないか?

まずは、うっかりミスがないかを確認しましょう。

  • 売上や経費で計上を忘れているもの(とくに請求していないもの・請求が届いていないもの)
  • 計上する年度があっているか

 

うっかりミスがなければ、次のことを検討してみましょう。

 

  • 役員報酬を減らす

業績が悪化したり、悪化する見込みだという理由が必要です。

どれくらいの悪化か?は厳しいですが、最近だとコロナ感染症の影響が挙げられます。

少しではなく、倒産レベルのイメージです。

うかつにやると、逆に「役員報酬のうち経費にならない部分がでてくる」というリスクを負ってしまうため、使い勝手はよくありません。

 

  • 消耗品の経理方法

青色申告をしていれば、単価30万円未満のものは、減価償却せずに経費にできます。

しかし、減価償却をしても良いのです。

一括で経費にするか、少しづつ経費にするか、の違いがあるので、この点を利用することができます。

 

  • 経費の追加(利益を削る)

次の年度でやろうと思っていた、というような事があれば、その時期を早めることを検討しましょう。

ただ、ムダなものを買うのであれば、素直に税金を払った方が、お金は残ります。

 

  • 経費をキャンセル(黒字にするため)

まだモノやサービスを受けていないのであれば、キャンセルまたは次の年度にすることを検討しましょう。

 

  • 経費を削る(黒字にするため)

自腹を切る、ということです。

グレーかな?と感じるものから優先しましょう。

気をつけて欲しいのは、お金のことです。

経費を削るとお金が増える、つまりお金を使ってなかったことになります。

帳簿上と実際の残高に大きな差がないように、気を配っておきましょう。

 

  • 役員へのボーナスをやめる(黒字にするため)

役員へのボーナスは、あらかじめ税務署への届出が必要なので、届出をしている場合の話です。

「やめる」ではなく「減らす」だと、そのボーナスは経費になりません。

経費にならない前提で「減らす」こともできますが、余分な税金を払うことになると考えているので、おススメはしていません。

また、必ず支給日の前に、次のやり取りがあったことを議事録など書類として残す必要があります。

役員「ボーナスいらないよ」

株主総会「ボーナスいらない件、承知しました」

 

あらかじめはOK

上記の方法は、いずれも合法的なものですが、利益を大きく変えることは期待できません。

後から・結果を見てからの利益の調整はできないように、会計のルールが作られているからです。

 

しかし、「前もって・あらかじめ」なら話は別です。

過去のことは変えられませんが、将来のことは変えられます。

(もちろん、限度はあると思いますが)

 

ある程度の計画を作り、チェックしながら修正し、1年度を過ごしてみる。

つまり、将来のことを考えて、いまの行動を検討するということです。

計画通りにいかないこともありますが、利益への納得感は違うはずです。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。