経営者がコーチをつけるとしたときの3つの理由

プロのスポーツ選手には、ほぼかならずコーチがいます。

経営もプロなら、コーチがいるべきなのか…?

 

プロのスポーツ選手にはコーチがいる

プロのスポーツ選手には、ほぼかならずコーチがついています。

なぜ、選手ひとりでやらないのか…?

もちろん、それはコーチがいた方が、より早く、よりよい成績をのこせるから…のはず。

 

もし、ひとりでやってみる・コーチと一緒に…をそれぞれ試すことができるなら、比べることができます。

でも、時間をもとには戻せない以上、おなじ期間について、それはムリ。

選手としての時間は、年齢などのかねあいもあって限られています。

なので、通常は、コーチをつけるものなのでしょう。

 

そのコーチは、一般的にはあまり注目をあつめることはありません。

スポーツをするのは選手であって、コーチではないですからね。

(監督となると、すこし話は変わりますが)

 

もし、有名な選手がコーチになったら、それなりに話題になるものです。

でも、そういうケースも、そこまで多くはないような…

一流の選手が、一流のコーチになれるとはかぎらない…ということなのでしょう。

 

そのコーチに求められるものとは…?

これを言い換えると、コーチをつける理由です。

それを考えてみましょう。

ただし、スポーツではなく、ビジネスの場面で。

 

コーチをつけるとしたときの3つの理由

ビジネスにおけるコーチといえば、コンサルタントやセミナー講師、顧問としての士業などが存在します。

いずれにも共通しているのは、つぎの3つのこと。

  • 外から見えるお客さまとの関係
  • 過去や業界の常識は経営者だけのもの
  • 個人的な思い入れがないぶん冷静

 

外から見えるお客さまとの関係

お客さまとの関係とは、商品やサービスそのものや、売りかた・営業方法のことです。

常連さんとかわす「元気?」というようなことではなく。(これも大事ですが)

つまり、事業の柱になるもののことです。

 

このことについては、どんな経営者も、まず先に、そしてとても考えることのはずです。

よいものを作っても、売れるとは限りません。

また、売れるチャンスがあっても、よいものでなければ後が怖い…ということもあります。

経営者自身の納得感も関係するかもしれませんね。

 

ただ、こうしたことは、つねに経営者の目線でのこと。

ほかの人の目線(一番よいのはお客さまの目線ですが)をもつことはできません。

精神的にはあり得るのかもしれませんが、物理的というか、実際のところは。

それをもたらしてくれるのが、コーチです。

 

世には本音と建て前がありますが、本音は手に入りにくいもの。

クレームなんかは本音ですけどね…

そのクレームで、弱点は補強できるかもしれません。

でも、強み・長所のほうはどうしましょう。

そっちの本音もあったほうがよいのでは…?

すると、事業の柱にも影響があるかもしれません。

…ということが、コーチをつける理由でもあります。

 

過去や業界の常識は経営者だけのもの

過去の成功は、自信になるでしょう。

かりに失敗があったとしても、うまくやれば成功のもと。

ただ、これが経営者を縛ることもあります。

 

成功したことを思いだせば、そのときとは違う方法をやりづらくなってしまうもの。

また、解決策がみつからないままの過去の失敗は、おなじ場面に出会ったときに躊躇しがち。

こんな風に、行動を縛ることがあるのです。

 

でも、ものごと・周りは変わっていくものです。

すると、過去の成功も失敗も、今やれば違う結果になることもあり得ます。

 

…とはいっても、やっぱり行動を縛りがちになるのが過去です。

先入観をすてるのも、ゲンを担ぐことをやめるのも、むずかしい…に似ています。

こうしたことは、常識についても同じです。

行動を縛る…という点で。

 

でも、常識は、業界が違えば、まったく別のものであることもあります。

また、おなじ過去をもっていなければ、逆の視点をもっていることもあるでしょう。

すると、ものごとの見方も変わります。

そこで、新たなアイディアが生まれることもあるかもしれません。

あるいは、再検討…など。

 

仏教だったひとが、キリスト教に改宗したら、どう思うでしょうか。

ここまでとは言いませんが、ものごとの見方が変わるとは、このようなことです。

これも、コーチをつける理由になりうるもの。

 

個人的な思い入れがないぶん冷静

そこまでに積み重ねてきたものがあれば、思い入れも同じくらいあるはずです。

こうしたことは自信にもなるし、良いことです。

また、必要なことでもあります。

 

ただ、思い入れが何かをジャマする可能性も、ときにあります。

「そこまで積んできたものを、捨てることはできない…」と思ったときに。

 

もし、なにも積み重ねてきていなければ、パッとその場を離れることができます。

でも、それができないかもしれない…

すると、その後の展開も当然かわります。

 

こうしたことが起こるのを、望んでいるわけではありません。

ただ、事業をしていれば、こうした場面も訪れる可能性は捨てきれないもの。

なにかに思い入れがあったとしても、あるていど冷静にみることができる必要もあるのです。

思い入れの弱点といえるかもしれません。

それを補うのも、コーチの役割です。

 

選手に求められるもの

選手に求められるのは、答えを出すことです。

もしコーチがいれば、あることについて違う目線や見方などにより、ほかの可能性をみつけることができます。

でも、それは新しい問題をつくるようなもの。

その問題には、答えが必要です。

 

そして、その答えは、選手のやりたいこと・なりたいことから逆算して、出されるべきものです。

選手自身が、答えが実現できるようその後やっていくわけなので、おのずとそうなるもの…といえますが。

 

答えを出すといっても、もちろんゼロからスタートではありません。

コーチが、いくつかの方法を示してくれるでしょう。

もし、その中になければ、ほかの選択肢を一緒に考えてくれるはずです。

それでも、最終的に決めるのは、選手です。

経営における選手、つまり経営者は、決めることが仕事ですから。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。