帳簿に載らない会社の財産にはどんなものがあるか

簿外資産・簿外負債というと良くないイメージを持つかたもいるかもしれませんが、ルール通りに経理してもでてくるものがあります。

これらは意識しないと見えにくく、将来のお金の出入りに関係してきます。

どんなものがあるのかをみていきましょう。

 

簿外資産・簿外負債

会社の貸借対照表に載っていない財産のことを、簿外資産・簿外負債とよびます。

簿外資産というと、売上を抜いたり二重帳簿をつくった挙句にできた隠し口座だったり裏金をイメージしがちですが、会計のルール通りに経理してもでてくるものがあります。

税務署からのツッコミもない合法なものです。

 

いっぽう簿外負債は、会社の業績をよくみせるために、将来お金がでていく可能性を隠した結果でてくるものです。

負債を計上すると税金はへることになるので、税務署からのツッコミはないのが実情かもしれません。

会計のルール通りに経理してもでてきますが、将来のトラブルの種ともいえます。

自分の会社を売るつもりがないなら、むしろ進んで把握すべきものです。

 

いずれも帳簿には載らないものなので意識するのは難しいですが、将来のお金の出入りに関係してきます。

その将来によって今すべき行動が変わるなら、知らないままでいるのはもったいないです。

どんなものがあるのかをみていきましょう。

 

帳簿に載らない会社の財産

帳簿に載らない会社の財産には、次のようなものがあります。

  • 経営セーフティ共済の解約手当金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 30万円未満の固定資産
  • 車や土地、株式の含み益・含み損
  • リース契約などの残額

 

経営セーフティ共済の解約手当金

経営セーフティ共済は、掛金を40か月以上払っていれば、払った金額すべてがもどってきます。

掛金はすべて経費になるので、そのときは税金がへる。

もどってきた解約手当金には税金がかかりますが、その金額と同じくらいのボーナスや退職金をだせば余計な利益がでないので、税金が増えることはない。

こんな使いかたをしている方が多数派だと思います。

 

加入している間は、掛金を払ったことだけを経理すればよく、その時々でいくら解約手当金がもどってくるかを経理する必要はありません。

そのため、会社の帳簿には「解約手当金がいくらになるか」は載らないのです。

この解約手当金は最大で800万円になるので、けっこうな金額が見えないことになります。

 

掛金を払った月数により返戻率は決まっているので、年に1回くらいは計算してみましょう。

また使い道も考えておきましょう。

 

生命保険の解約返戻金

節税商品とよばれる生命保険です。

使いかたは経営セーフティとおなじですが、経理にはすこし違いがあります。

返戻率によっては、払った保険料の一部を経費ではなく資産に計上するのです。

 

その結果、経営セーフティとは違い、解約返戻金のすべてではなく一部にしか税金がかからないことになります。

ですが、経営セーフティとおなじく、会社の帳簿には「解約返戻金がいくらになるか」は載りません。

やはり、その時々で「いま解約したらいくらもどってくるか」は気にしておきましょう。

 

30万円未満の固定資産

30万円未満の固定資産は、減価償却せずに、使いはじめたときにすべて経費にすることができます。

その結果、「それがある」ことは帳簿に跡がのこらないのです。

お金に換えることがむずかしいものも多いでしょうが、それを処分するときにいくらかかるかということも気にしておきましょう。

 

車や土地、株式の含み益・含み損

車や土地、株式などの固定資産は、未償却残高や購入時の金額で帳簿に載っています。

もし、それを売ったらいくらになるでしょうか。

この時価と帳簿の金額の差を、含み益・含み損とよびます。

 

車の下取り価格などバカにできないものもあるので、いずれ買い換えるものがあるなら意識しておきましょう。

 

リース契約などの残額

リースに限らず、途中で解約できない契約というものが存在します。

毎月の支払いはすくなくても、トータル○○年となれば、けっこうな金額がでていくものです。

本来は残債をすべて未払金などとして帳簿に載せるべきなのですが、条件によっては載せなくてもよいものがあります。

 

「あとどれくらい支払いが続くのですか……?」

もし契約書などを見ないとわからないのであれば、用心しましょう。

でていくお金に見合った収入になっているか、という視点が揺らいでいるかもしれませんから。

 

まとめ

会計のルール通りに経理しても、会社の帳簿には載らない簿外資産・簿外負債があることを解説しました。

これらは意識しないと見えにくいものですし、どうしても今あるお金や利益に目がいきがちです。

ですが、これらは将来のお金の出入りに関係するものです。

年に1回でよいので気にしてみて、予期せぬことが突然やってくることがないようにしましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。