分からない将来のために数字をどう役に立てるか
将来が分からないというのは、将来の収入のことではないでしょうか。
お客さまではなく、自分のことに目を向ければ、そこに数字が役に立つ余地があります。
将来は分からない
将来は、だれにも分からない。
こんな理由で、数字は役に立たないと思ったり、遠ざけていないでしょうか…?
たしかに、決算書や試算表などの数字は、過去のものです。
それを見たからといって、将来までが見えるものではない。
ただ、その過去の数字にも、2種類あることをかんがえてみましょう。
一つは、お客さまからもたらされた数字。
つまり、売上などの収入です。
もう一つは、自分がつくった数字。
これは経費などのこと。
たしかに、お客さまのこと、収入はコントロールできるものではありません。
いっぽう、経費は自分次第です。
たとえ将来は分からないといっても、まったくのゼロではないはず。
将来が分からないの本意は、将来の収入がどうなるか分からない…ということではないでしょうか。
そして、おおくの経営者が知りたいのも、このことではないか…と。
それが証拠に、大企業などでも内部留保を積みあげていますからね。
(内部留保とは、過去の利益の累積のうち、社員や株主に還元せず、お金やそのほかの資産として会社に残っているものです)
でも、それで考えを止めてしまえば、将来は偶然まかせ。
数字がどんな風に将来の役に立てるかをかんがえてみましょう。
数字をどう将来の役に立てるか
次のことで、数字を将来の役に立てることができます。
- 将来の備え
- ムダを削る
- 明日は何を売るか
将来の備え
将来が分からないからこそ、備えは必要です。
これは、お子さんがいる経営者のかたなら、実感しやすいかもしれませんね。
貯金はもちろん、学資保険やそのほかの生命保険、将来をみこして家を買う。
こうしたことを検討されているかたも多いですから。
会社、あるいは事業というのは、自分の子どものようなものではないでしょうか。
であれば、貯金もそうですし、つかわないとしても借入れをして手元のお金を確保しておく。
利息は、保険料のようなものといえますから。
また、将来の設備投資なども検討や準備をしておく。
こうした場面で、数字が役に立つはずです。
そのときは、きっと「このまま行けば、○○になりそう」とも考えるのでは…?
その「このまま」というのは、現状のお金の状況のこと。
現状を変える余地はないのかも、考える必要があるかもしれません。
とくに経費について。
ムダを削る
もし、ムダな経費を削ることが出来れば、将来でていくお金もすくなくて済みます。
そうすれば、将来の備えもすくなくて済みますよね。
でも、今つかっている経費は「必要と思っている」からこそ、払っているのではないでしょうか。
ムダを削るというのは、「必要と思っている」ことを疑うことから始まります。
値引き交渉をしたり、あるものについて○%減を目指したり、まとめ買いの割引を狙う。
こうしたことも一案かもしれません。
ただ、経費というのは何でしょうか。
それは、お客さまを見つけ、商品やサービスを売り、代金を回収する。
このサイクルに乗っているすべてのものをいいます。
その経費は、このサイクルのなかで役に立っているでしょうか…?
こう考えることが、必要と思っていることを疑う…の意味です。
そして、もし役に立っていないものがあれば、その行動や活動を少なくする、あるいは止める。
これがムダを削るということ。
結果として、でていくお金も減るわけです。
じつは、決算書や試算表などの数字には、「ムダかどうか」は書かれていません。
つかった金額だけが書かれているので。
「じゃあ、数字は役に立たないじゃないか」
こう思うのも当然かもしれませんが、お金は数字であらわされることも忘れずに。
基準のひとつには、数字もあるのです。
お客さまを見つけ、商品やサービスを売り、代金を回収する。
このサイクルを、あらためて考えてみましょう。
明日は何を売るか
あらゆる商品やサービスには、寿命があるのかもしれません。
たとえば、老舗といわれる企業。
1,000年以上前に創業された老舗もあると聞きます。
そこまでいかないにしても、いわゆる老舗企業が、創業時のものをそのままで、今でも売っているでしょうか。
きっと、新しいものを売り始めたり、たとえ創業時のものであっても改良などをしているはず。
5年~10年くらいなら、そのままでも行けるかもしれませんけれどね。
ただ、商品に寿命があるというのは、「いま売れているものが明日も売れるとはかぎらない」ということ。
であれば、明日売るものを考えておかなければなりません。
事業を続けていくためには。
もちろん、まったく新しいもの…ということでもないですよ。
新しい材料や情報、環境、道具、考えかた、法律など。
こうしたものに応じて、いま売っているものに調整を加えていけばすむこともあるので。
もちろん、完全な新商品でもいいんですけれどね。
そのためには、そこにお金や時間、そして頭をつかう必要がでてきます。
また、開発や改良におうじて、採算がとれるのかどうか。
いまの延長線上で、これらを考えるのも一つの方法です。
あるいは、まったく新しい将来から逆算して、これらを考えるのもよいでしょう。
いずれにしても、そこには数字もあるはずです。
将来は分からないからといって数字を切り捨てるのは、もったいないように思いませんか…?
まとめ
将来は、たしかに誰にも分からないものです。
でも、その分からないのは、お客さまのことであり、自分のことは自分で決められるもの。
その自分のことについて、数字が役に立つ余地があります。
そのためには、普段から数字にふれ、数字がどう出来あがってるかを理解しておく必要があります。
あることをすると、どう数字が変わるのか。
これが分からなければ、数字は自分の役には立ちませんから。
お客さまを見つけ、商品やサービスを売り、代金を回収する。
このサイクルが、どんな風に決算書などにあらわれているかを確認しておきましょう。
そうすれば、行動と数字がむすびつくような感覚になります。
その感覚を「もし○○するなら」に活かすのが、将来のために数字を役に立てることです。
そうすれば、将来は分からないものではなく、切り開くものに変わるかもしれません。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。