無料相談をお受けしていない理由

当事務所が無料相談をお受けしていない理由を、記事にしました。

タダより高いものはない…なんて言いますが、無料による下心のようなものも、無いほうがよいと思うのです。

 

もし無料相談をお受けするならこんな動機かも

税理士にかぎらず、いろんなところで無料相談がおこなわれています。

その動機は、次のようなことだろう…と推測します。

  • 営業
  • 善意100%
  • リサーチ

 

営業

まず考えられるのは、営業の一環としての無料相談です。

「お気軽にお問い合わせください」などと、いろんなところで見かけますよね。

食べ物だったら、スーパーなどの一角にある試供品にあたるものかもしれません。

 

この無料相談は、問い合わせのハードルが高いときにおこなわれることが多いようにおもいます。

やっぱり無料って魅力ですからね。

最初から有料にしていたら来なかったはずのかたも、来るかもしれない…と。

 

ただ、お客さまをあつめるための無料相談は、手法が確立されすぎている感があります。

ひろく広告をし、セミナーなどもし、さらに気になるかたを無料相談で絞り、最終的にはお客さまになっていただく…

だんだんと、ふるいにかけていく訳です。

もはや王道ともいえる手法ですが、わたし自身がお客さまだとしたら…

と考えたとき、「なんか型にはめられている感」が気になってしまいます。

「純粋な相談じゃないなぁ…」と。

 

くわえて、気になるのは「相談のあとはどうなるんだろう」ということ。

「高めのものをセールスされそう…」

「途中から有料にならないか…」

キッパリ断るって、意外に勇気がいるものなので。

 

もちろん、なかには後腐れのない無料相談もあります。

たとえば、役所や商工会などでおこなわれるもの。

ただ、相談員は、その団体から報酬をもらっていたりします。

 

善意100%

完全なボランティア、趣味などで無料相談をすることもあるでしょう。

友人、知人などが相手のときは。

 

ただ、商売の一環としては、むずかしいかな…とおもいます。

税金の相談って、つまりお金の相談です。

相談をうけるということは、結果についても責任をとるということ。

その責任をとるには、お金も時間も心も余裕がないとできないですから。

 

リサーチ

商売は、だれかの悩みや困りごとを解決するものです。

「どんな悩みや困りごとがあるのか」を知るために、無料相談をすることも考えられます。

というのも、自分以外のひとの悩みや困りごとは、知るのがむずかしいからです。

 

やっぱり本音と建前ってあります。

そして、パッと聞いてかえってくる答えは、建前のことがおおいもの。

本音って、簡単には人前でいえないものですから。

 

でも、相談にくるのは、本音で悩み・困っていることです。

商売の軸をかんがえるときに、これ以上に参考になることはないのです。

それを知るためなら、無料もアリ…だとおもうのです。

 

無料相談をお受けしていない理由

わたしが無料相談をお受けしていないのは、つぎの理由によります。

  • 知識やノウハウが売りものだから
  • ほかのお客さまもいるから
  • お互いにスッキリしたほうがよいから

 

知識やノウハウが売りものだから

税理士の売りものは、知識やノウハウです。

それを手に入れるには、お金も時間も、それなりのものがかかります。

たとえば、税理士になるだけでも数年間かかります…

 

ただ、知識やノウハウは目に見えないもの。

なので、価値が分かりにくいのです。

 

たとえば、次のようなやりとり。

  • ○○って何…?
  • それは△△です

 

じつは、税理士の答えというのは、シンプルになるほど、短くなるほど、分かりやすくなるほど、その税理士の腕が高いことを示します。

専門用語をちりばめ、ながく説明するほうが、税理士にとっては簡単なのです。

ふだんは、こむずかしい資料や法律ばっかり読んでいるので。

 

でも、伝わらなければ意味がない。

また、伝えたことを、お客さまが納得・理解して、判断や選択できなければ意味がない。

なので、ふだん使う言葉・伝わる言葉に変換しなければならないのです。

ある種、通訳のようなことが求められます。

 

すると、物事はかえってシンプルになってしまいます。

お客さまからみたとき、「こんな簡単なことに、こんな料金はらうの…?」というような事になってしまうのです。

税理士が頭をひねり、時間をかけるほど、「簡単だから安くていいでしょ」ということになりがちなのです。

ときには「無料でいいでしょ」と。

 

でも、今のわたしには、こうした知識やノウハウを、わが身を犠牲にして無料で提供することはできません。

もちろんお金や時間のこともありますが、ほかのお客さまもいるからです。

 

ほかのお客さまもいるから

税理士の知識やノウハウを得るために、お金をはらっているお客さまもいます。

もし、無料相談をお受けするなら、かれらに対して義理を欠くことになってしまいます。

「なんで自分だけお金を払うのか…」と思ってしまうでしょうから。

それは、できないのです。

 

お互いにスッキリしたほうがよいから

無料だと、「ああ、こんなもんだよね」と思うこともあるでしょう。

そして、ときには相談にいたった悩みや困りごとが、残りつづけることもあるかもしれません。

多少は参考になることもあるでしょうが、ときには時間のムダに終わることもあるでしょう。

 

もし、有料で相談をお受けするなら、そういった逃げ道はありません。

なんらかの解決法や選択肢を生みださなければ、お金をいただく理由がないので。

お客さまもスッキリ。

税理士もスッキリ。

これが理想ではないでしょうか。

 

まとめ

当事務所が無料相談をお受けしていない理由について、記事にしました。

じつは、無料による下心のようなもの、お金を介しての上下関係のようなものも好きではないです。

誰かが困っていたら、たまたま近くにいた人が助ける。

(かわりにお金のやり取りがありますが…)

そんなフラットな関係でよいのではないか…と思っています。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。