償却資産をもっていないのに申告が必要か?
- 償却資産税について「申告のお願い」が届いた
- なにも持っていないのに、申告が必要なの?
固定資産税の一部である償却資産税は、なにも持っていなけれは、法律上は申告の義務はありません。
ただ「お願い」という名目で、なにも持っていなくても申告してください、と郵便が届くこともあります。
償却資産税は経理のやり方で「かかる・かからない」が変わるものもあり、ややこしい税金です。
この点を踏まえた結果、償却資産税がかかるものを持っていないのであれば、「お願い」に応じて申告しておくのがよいでしょう。
申告しなければならないのは誰か
償却資産税という税金があります。
固定資産税の一部という位置づけのもので、事業で使っている機械や備品などの固定資産にかかるものです。
減価償却をする資産にかかる固定資産税、なのです。
土地や建物であれば、登記したときの情報をもとに、何もしないでも固定資産税の納付書が送られてきます。
一方、事業でつかっているものは、こちらが申告をしなければ、市区町村(税金を課す側)は把握のしようがありません。
そこで、毎年1月1日に所有している内容を、例年1月末までに、申告するようになっているのです。
償却資産の所有者は、毎年1月1日現在における償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、見積価額その他必要な事項を1月31日までに償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。
(地方税法第383条より)
つまり、償却資産税の申告をするのは、償却資産の所有者なのです。(ちなみに義務です)
もし償却資産を持っていなければ、所有者ではないため、申告は必要ないとも言えるのです。
なお、所有している償却資産がすくない場合は、免税になることもあります。
持っているけど、結果として税金はゼロになる。
このような場合でも、償却資産を持っているときは申告が必要なので、気をつけておきましょう。
持っていないのに申告が必要か
会社を設立したり、引っ越し(本店移転)をしたときなどに、それぞれの自治体から申告書が送られてくることがあります。
頼んでいなくても、11月頃に。
その郵便の中に、自治体にもよりますが、次のような「お願い」が入っていることがあります。
固定資産税は、土地・家屋のほかに機械や備品などの償却資産についても課税の対象となっており、地方税法第383条によって申告していただくことになっております。
つきましては、同封の「手引き」をご参照のうえ、所有する全ての償却資産を、資産の所在する区にある都税事務所に申告していただくようお願いいたします。
(該当する資産がない場合でも、お手数ですが申告書「備考欄」に「該当資産なし」とご記入のうえ、申告書の提出をお願いいたします。)
(とある都税事務所からの郵送物より)
法律上、償却資産をもっていなければ、申告は不要です。
この郵便も、よくよく見れば「お願い」ですが、そこまで気が回るかたは少数派で、やっぱり気になってしまいますよね。
こういう郵便を送ってくる以上、市区町村としては償却資産税をとりたいわけです。
一つの理由として、単価が10万円以上~20万円未満の固定資産は、償却資産税がかかる・かからないの判断がややこしい、ということがあります。
この値段帯のものは、3年で経費化する一括償却をしているとき以外は、償却資産税がかかります。
(結果として免税だったとしても、対象にはなります)
償却資産税ではなく、法人税や所得税をかんがえるとき、30万円未満のものは一括で経費にできるというのはご存じのかたも多いです。
ただ、この方法をつかう場合、じつは償却資産税がかかることになるのです。
そもそも償却資産税はマイナーな税金ですし、申告の時期もメジャーなイベントである年末調整とかぶり影が薄いです。
こんな理由で、税金の取りはぐれがないように「お願い」しているのだと思います。
多少の手間はかかりますが、申告しておくのがよいでしょう。
また同じ郵便が届いたり、確認の電話がきたりするのも嫌ですしね。
まとめ
償却資産の申告は、毎年1月1日に所有しているかたが行います。
もし何ももっていなければ、法律上は、申告する必要はありません。
ただ、「お願い」という名目で「申告してね」と郵便が届くこともあります。
義務でない以上、申告しないという選択肢もありますし、後日になんらかの問い合わせがくる可能性をなくすために申告しておくのもよいでしょう。
単価が20万円未満のものは、償却資産税がかかるかどうかの点でややこしくなっています。
日ごろから、これを踏まえて経理しておくのが吉です。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。
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