食事代が会社の経費になるのかはどう判断するか
食事代が経費になるためには、次の2つを満たす必要があります。
- それがなければ、仕事ができない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
ちょっと極端かもしれませんが、おなじ食事であっても仕事の内容により判断は変わることもあり得るのです。
目次
経費になるかどうかの判断
売上ー経費=利益
ある支払いが経費になるには、どんな条件が必要か。
これは法律にもハッキリ書かれていないため、いろんな説明の仕方があります。
また、おかれている立場により、経費が多いほうがいい・少ないほうがいいと根っこの部分で経費にたいする意識が変わることもあります。
もし税金を払うことを考えるなら、税金は少ないほうが助かるので、経費は多いほうがいい。
(税務署からみれば逆ですね)
もし株主だったら、配当を多くもらうためにも、経費はすくなく利益はおおめに、と。
なので、なにが経費になるのかは、こういう立場の垣根をこえても公平である必要があるのです。
税金を払うことを考えるなら、どうしても「経費を多めに」に傾きがちになると思います。
(当然ですし、普通です)
これを忘れるには、次のように考えてみましょう。
- 自分や家族以外の誰かが「会社のためにつかいました」と領収書をもってきたとき、それを経費と認めるか?
意外に感じるかもしれませんが、何が経費になるかは世間の常識的なものによる部分もあります。
社会通念、というものです。
もし、この質問の答えが「経費になる」なら、9割がた間違いはないはずです。
とは言っても、これだけだと曖昧すぎますよね。
経費とは、次の2つの条件を満たすもの、とも言えます。
- それがなければ、仕事ができない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
プライベートの食事代はどうでしょうか。
これは仕事をしなくても必要なものです。
なので、会社の経費にはなりません。
もし、うっかり経費にすると、それは食事をしたかたへの給与となってしまいます。
現物給与ともいいますが、後から「個人の税金を追加で払ってね」という事態をまねくのです。
プライベートの食事代を経費にするのは、やめておきましょう。
食事代が経費になるケース
食事代が経費になるのは、次のように仕事の場面にかぎられます。
なので、後から聞かれたときのために「誰と、何のために」ということを領収書に書いておきましょう。
- 打ち合わせのときの食事
- 接待のための食事
- スタッフ用のお菓子、会社のイベント時の食事
- 出張時の食事
- 仕事のためカフェなどを利用したときの食事
- その他のケース
打ち合わせのとき
打ち合わせのときの食事代は「会議費」として経理します。
もし、打ち合わせをしないのに食事をするなら「交際費」や「給与」となります。
接待のため
取引先を接待するときの食事代は「交際費」として経理します。
例外的に、1人あたりが5,000円以下のときは、実態が交際費であっても「会議費」と経理することができます。
交際費には「年間800万円までしか経費にならない」という縛りがあります。
少しでも、その枠を余らせるように経理するのがおススメです。
スタッフ関連
スタッフ用のお菓子や新年会など会社のイベント時の食事代は「福利厚生費」として経理します。
この福利厚生費のポイントは「全員が平等になっているか」ということです。
もし、スタッフとの食事であっても「誰かだけ特別に」ということであれば、福利厚生費ではなく「交際費」や「給与」となります。
全員誘ったのに、○○人しかこなかった……
これは福利厚生費となります。全員を平等に誘っているので。
最初から特定の人しか誘わないなら、福利厚生費とはなりません。
「全員を平等に」という点で、意外に気をつかうのが福利厚生費なのです。
出張時
もし出張がなければ自宅で食べられたのに……
出張にいくかたからしてみれば、余計な出費です。
こういう出費を会社で面倒みるなら「旅費交通費」や「出張費」として会社の経費になります。
仕事のためカフェなどを利用
出先で時間があまったから仕事をしたい。
わざわざ会社に戻るとかえって時間を失うときもあります。
そんなとき、近場にあるカフェなどを利用することも多いものです。
食事代というより場所代のイメージですね。
これも会社の経費になります。「会議費」や「雑費」をつかうのが一般的です。
なお、飲み物はよいですが、食事代まで経費にするのはやめておきましょう。
問題は、場所代といえるかどうか、ということです。
その他のケース
これまで書いたことは、一般的には……の話です。
たとえば、飲食業のかたが他のお店で食事をするのは、味の研究が目的ということもあります。
なので、食事代が経費になるのかは「それがなければ、仕事ができない」「仕事をしなければ、それは必要ない」という基準をベースに考えましょう。
また、どんな科目をつかうのかも、実は自由です。
たとえば、会社をより良くしていこうという場面で「この経費を増やそうか・削ろうか」という話になることがあります。
そのときに「この科目は○○○というものだ」ということを自分が知っている必要があるのです。
そうでなければ判断もできないでしょうから……
それを見据えて、どんな科目をつかうか決めましょう。
まとめ
食事代が経費になるのかは、次の2つを満たすかどうかで判断します。
- それがなければ、仕事ができない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
おなじ食事であっても、仕事の内容により判断は変わることもあり得ます。
そして、後から聞かれたときに説明できるか、ということも大事です。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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