決算書は経理ではなく経営者がつくるもの(本質的には)

経営とは、毎日すこしづつ決算書をつくるものといえます。

この意識があると、数字の根拠がある判断ができるようになります。

 

現実では経理が決算書をつくる

決算書は、1年度の経営により、どれくらいの利益を稼いだか・どれくらいのお金が残っているかをあらわすものです。

経営者にとっては、通信簿のようなもの。

それを手に取るまでは、ドキドキすることもあるかもしれませんね。

「いったい、どんな数字になっているのか」…と。

 

おそらく、経営者ならだれでも「これくらいの数字かな…」という感覚はあるとおもいます。

でも、決算書は、複式簿記によりつくられます。

その複式簿記を知らないと、不安のようなものもでてきます。

「自分のかんがえている数字は、ホントにあっているんだろうか」…と。

 

もし、単純にお金の出入りにもとづいて計算できるなら、決算書をつくるのは簡単といえます。

  • お金を受けとったら、収入
  • お金が出ていったら、経費

これだけですからね。

 

でも、ここまで単純にすると、いろんな不都合もでてきます。

たとえば、せっかくお金を借りたのに、収入になるなら、税金がかかってしまう…

借りたお金を放置していると、なにもしないのに税金で一部を持っていかれるわけです。

こうなってしまうと、なにか納得できないものがあると思うのです。

やっぱり複式簿記は、色々かんがえてつくられた仕組みで、便利・合理的ともいえるのです。

 

経営者のなかには、その複式簿記のハードルの乗りこえ、ご自身で決算書をつくるかたもいます。

でも、経営者はいそがしいもの。

なかなか経理の時間をとることができないかたもいるでしょう。

 

すると、決算書をつくるのは、経理や税理士などに依頼することになります。

いろんな資料をわたし、できあがるのを待っている……

 

ただ、決算書というのは、どんな経営をしてきたか…をあらわすものでもあります。

 

決算書は経営者がつくるもの・変えていくもの

たとえば売上は、経営者や営業のかたが、いろんな努力のすえ、受注してきたものです。

それから経費は、いろんな考えや必要にもとづき、だれかに仕事を依頼してきたものです。

これらはすべて、経営者の判断により生まれてきたもの。

それが、決算書にあらわれているのです。

 

こう考えると、決算書は、本質的には経営者がつくるもの・つくってきたものといえます。

経営の痕跡をあらわしたものが、決算書なのです。

 

すると、経営とは決算書をつくること…ともいえます。

毎日毎日、すこしづつ、決算書はつくられているのです。

たとえ現物が目の前になくても。

 

もし、その現物が目の前にあるなら、ちがった意識も生まれてきます。

決算書は、変えていくものでもある…という。

 

決算書を目の前にしたとき、100%満足することもあるでしょう。

いっぽう、「もっと○○だったら…」という感想を持つこともあるとおもいます。

それを実現していくことも、経営です。

 

経営とは、毎日すこしづつ決算書をつくり、変えていくものでもあるのです。

 

決算書をつくっていく意識を持っているとどうなるか

決算書をつくろうと思えば、簿記のしくみや数字のことを知る必要があります。

もし、その決算書を銀行にみせたり、税金の計算でつかうなら、100%正しいものでなければなりません。

うっかりミスで、融資がとれなかったり、余計な税金をはらうのはもったいないですから。

 

でも、100%正しいというのは、1円単位までピッタリ合っていることを意味します。

ふだん経営しているときに、そこまで正しい数字が必要なものでしょうか。

 

もちろん、間違えてはいけない数字もあるでしょう。

でも、ほとんどの場合は「だいたい合っていればよい」のではないでしょうか。

 

これくらいの感覚で、「毎日すこしづつ決算書をつくっている・変えていく」という意識をもってみましょう。

すると、会話の端々に数字がでてくるようになります。

数字をつかった話ができるようになるのです。

 

すると、話が具体的になり、「なんとなく…」が消えていきます。

相手からのツッコミを用心するので、話すまえに、頭のなかで数字の裏をとるようになるからです。

つじつまが合っていなければ、嘘と思われるかもしれないですし。

 

それから、経営判断の結果が、決算書をどう変えるかも分かってくるようになります。

数字をつかった話をしていると、結局は「それならどういう結果になるか」というところに行きつくからです。

結果がわからなければ、オチのない話のようになってしまうので。

 

こうしたことを通じて、すこしづつ数字や簿記を覚え、強くなっていきます。

もちろん、間違うこともあるでしょう。

でも、間違いを怖がれば、数字は身につきません。

使わなければ、身につかないのです。

 

ただ、いちど身につけば、数字の根拠をもった判断ができるようになります。

すると、なにかを判断するまえの確信も生まれるでしょう。

「毎日すこしづつ決算書をつくっている・変えている」という感覚をもってみましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。