経費になる・ならないの判断基準は?
- 経費になるかどうか迷う
- 経費にはどこまで含まれるの?
経費になるかどうかの判断は、基本的には事情を一番分かっている自分がするのですが、「もし、それを使ったのが他人なら?」という考え方をおススメしています。
経費とは、売上や事業に関係するものですが、その判断基準を一言で表すのはなかなか難しいのです。
そこで、売上との関係、事業との関係、判断を客観的に行う方法という順で解説します。
経費とは売上に直接必要なもの
まず、法律ではどうなっているかをみてみましょう。
法人税法では、「損金(経費)は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準にしたがって計算されるものとする」と規定しています。
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準……?
会計を勉強する方しか見ない類のものですが、企業会計原則、企業会計基準などが存在します。
これらは、すでに経費ができあがっている前提で、その経費をどう経理するかを定めているものなので、経費になる・ならないの参考にはなりません。
所得税法では、次のように規定しています。
必要経費は、商品などの売上原価、その他売上を得るため直接に要した費用の額および販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。
(所得税法37条1項を意訳)
ポイントは、次のとおりです。
- 売上のために「直接」必要なものか
もし、「間接」的に必要なものまで含めるのなら、すべての支払いを経費にすることもできそうです。
- 寝なきゃ仕事できないんだから、布団も経費ね
- 食べなきゃ仕事できないんだから、食事代もすべて経費ね
- リフレッシュしなきゃ仕事にならないんだから、遊びための支払いも経費ね などなど
そこで、「直接」必要なものに限定されているのですが、直接・間接の区切りはちょっと曖昧ですよね。
ただ、「売上のために必要なもの」ということは分かります。
なので、「売上との関係をはっきり説明できるか」ということが求められます。
事業のために必要なもの
今度は、売上からではなく、事業を行っていくという観点から、経費を考えてみましょう。
事業に関係しないものは経費じゃないよ、ということです。
すると、経費とは、次の2つを満たすものと言えます。
- それがなければ、仕事ができない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
上記の判断基準よりも、分かりやすいですよね。
ただ、あまり厳格に考えすぎると「ムダなものは経費にならない?」となってしまいます。
いまはムダかもしれないけど、将来に役立つかもしれない……
たとえば、取引先との飲み会などの交際費です。
交際費がなくても、仕事ができないわけではありません。
しかし、将来の仕事につながる可能性もありますよね。
そういう訳で、経費の判断基準を考えるにあたり、事業を行っていくという観点だけではダメなのです。
「売上のために必要なもの」という点も合わせて考えなくてはいけません。
ややこしいですよね……
経費の判断基準を一言で表すのは、とても難しいのですが、私がおススメしているのは次の考え方です。
もし、それを使ったのが他人なら?
自分や家族以外の第三者、赤の他人です、をイメージしてみましょう。
その方が「事業のために使いました」と領収書を持ってきたとします。
そのとき、それを経費として認めますか?
これをくぐり抜けたものは、上記の判断基準に照らしても、9割がた間違いがないはずです。
自分のことを、客観的にみることができるので。
まとめ
経費になる・ならないの判断基準は、売上や事業との関係で考えます。
特におススメしているのは、「それを使ったのが他人ならどうなる?」という観点です。
経費なのか・そうでないのか、が問題になるのは、ほとんどが税務調査の場面です。
そのときに、売上や事業との関係をはっきり説明できれば、問題はありません。
もし余裕があれば、「その経費は売上や事業にどんな影響があったか?」を考えて欲しいなと思っています。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。
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