会計ソフトの手入力にかかる時間とコツ
事業をしていれば、数字と付き合っていくのは必須です。
その数字をつくる時間や、その時間を減らすちょっとしたコツについて、みていきましょう。
何も問題がない場合
会計ソフトの入力が一番スムーズに進むとき。
1時間で、100前後の「仕訳」を入力することができる。
これが平均的な速さだとおもいます。
その仕訳とは、会計ソフトに入力する「データの横1行」のこと。
なので、ある領収書に消費税率が2種類あるときは、仕訳の数は2つになります。
これを分けないと、消費税の計算が変わってきてしまうので。
役員報酬や給与では、社会保険や税金があるので、5つ前後になるでしょうか。
カードの引き落としでは、利用した回数や消費税率などにより、仕訳の数は増えていきます。
つまり、領収書1枚や給与明細1人分・あるいは口座履歴の数字1つが、仕訳1つではない…ということなのです。
もっと多くなる可能性が高い…と。
そうした仕訳1つずつについて、会計ソフトに入力する要素は、次のとおりです。
- 日付け
- 科目
- 金額
- 相手先
- 内容
- 消費税率(インボイスの有無)
これらの要素は、法律において定められているものです。
とくに消費税は、うえの要素が揃っていなければ、納税額が増えてしまう可能性があります。
仕入税額控除の要件とされているので、原則的な計算をしているかたは気をつけましょう。
その要素のうち、日付けや金額は問題ないはずです。
いっぽう、科目・相手先・内容は、時間をかけてしまうかもしれません。
科目は、入力をはじめる前に、過去のデータをさらっと見ておけば、あたりがつくこともあります。
また、入力が終わったら、いずれ見直すことになります。
そのときに、おなじ内容のものは、おなじ科目に揃える。
月払いのものなら、1年度で12個あるはずですし。
こんな風に手直しするのでも大丈夫ですから、「とりあえず」でも先へ進めておくのがよいです。
やっかいなのは、相手先と内容です。
相手先を正式名称で入力すると、とても長いこともあります。
そんなときは、略しましょう。
たとえば、「マクドナルド」は「マクド」といった風に。
また、内容も略しましょう。
たとえば本を買ったとき、タイトルが長ければ「経営の本」というようにジャンルでもよいです。
複数あるときは、残りをまとめて「他3冊」と。
いざとなれば、領収書を見せても良いわけですから。
ここまでが、基本的なことです。
「もし、あったら」「もし、活用できるなら」ということもお伝えしていきますね。
ちょっとしたことですが。
ちょっとしたこと
会計ソフトに入力するときは、次のことも気にしてみましょう。
- 資料の整えかた
- 会計ソフトに備わっている機能
- 考える時間
- 全角か半角か、ひらがなかカタカナか
資料の整えかた
領収書などが、バラバラになっていない…というのも、地味に大事です。
たとえば日付け順に並んでいるなら、日付けを入力する手間が変わります。
1月ごとに入力するならまだしも、数か月分を入力するときは、けっこう変わるように感じます。
また、足りない資料も、ときにあるでしょう。
相手から届いていなかったり、インターネットでダウンロードしなければならないこともあります。
そんなときは、いったん他の入力を終えてから集めるほうが、気持ちがラクかもしれません。
いつになったら終わるのか…となっちゃいますから。
とりあえずでも「終わった」感をもっておくのは、大事だったりします。
資料が紙のばあいは、あまり折り曲げたりしないのも、これまた地味に大事です。
曲がっているものを積み重ねると、バネのようになって跳ねるので…
飛んでいったものを拾ってあつめて…となると、イラッとするかもしれないですよ。
冗談のように聞こえるでしょうけれど、ホントのことです。
会計ソフトに備わっている機能
会計ソフトには、予測変換や、うえのデータのコピー機能も備わっています。
とくに、相手先や内容を入力する「摘要欄」には、この機能を活用しましょう。
会計ソフトの入力でいちばん時間をつかうのが「文字の入力」ですから。
これをどれくらい短縮できるかが、かかる時間におおきく影響します。
また、会計ソフトには、あらかじめ設定されている科目があります。
このうち、いらないものは削除しましょう。
後から追加もできますから。
たとえば、利息が入金されたときの源泉所得税を、「法人税等」と入力するとき。
法人税等という科目を選ぼうとすると、「法人税、住民税及び事業税」「法人税等」「法人税等調整額」と3つの候補があらわれたりします。
これを、ほかの2つを削除することで、「法人税等」しか候補にでてこないようにすることもできます。
候補が3つもでてきたとき、もしどの科目をつかうか覚えていないなら、過去の履歴をチェックしてから選ぶことになります。
…という、迷う時間を減らすことができるのです。
そして、なるべくマウスをつかわないのも、コツの一つです。
たとえば「Enter」で次へ進めるなら、マウスで入力箇所を選ぶより、Enterで進んでいく。
会計ソフトが示す順序通りに入力するのが、ラクだったりするのです。
考える時間
迷う時間もそうですが、科目を選ぶなど「考える時間」は、終わりが見えないことも多いです。
なので、考える時間は別にとるようにしましょう。
そのとき大事なのは、考え中のものが分かるようにしておくこと。
摘要欄に「要検討」などと入力しておくくらいでは、見過ごしてしまう可能性があります。
仮払金や仮受金としておくのもよいです。
もし売上や経費に混ぜるなら、後から分かるように、付箋など会計ソフトにある機能も活用しましょう。
全角か半角か、ひらがなかカタカナか
会計データは、かならず入力後のチェックが必要です。
たとえば、おなじ取引は、おなじ科目をつかっているか。
これは、仕訳帳などを「検索」して、それらの取引だけを抜きだした状態で見ることになります。
その検索を、もし「相手先」でおこなうなら。
「マクド」と検索したとき、「マクド」は出てこなかったりします。
というモレにつながるのが、全角・半角や、ひらがな・カタカナの違いです。
あらかじめ、文字の入力ルールを決めておきましょう。
まとめ
会計ソフトを手入力するとき、1時間あたり100前後の仕訳が入力できるなら、平均的だろうと思います。
ただし、これは何も問題がないときのこと。
迷う時間や考える時間は、別枠です。
くわえて、いったん入力が終わった後で、それぞれの残高をチェックすることも必要です。
こうした時間は、自分の行動を振りかえる時間ともいえます。
それはもちろん、将来のため。
なので、入力が終わった後、自分なりに考える時間をもつのが大事なことも知っておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。