インボイス制度と電子帳簿保存法は「保存」が共通点。セットで準備しよう。
インボイス制度が始まったら、その2ヶ月後に電子帳簿保存法の改正も始まります。
自分がつくるインボイスをどう保存するかを軸に、電子帳簿保存法への対応もセットで準備しましょう。
やっとインボイスを乗り切った……と思った後で、ショックを受けないように。
目次
インボイス制度と電子帳簿保存法の関係
ともに税金に関する法律ですが、それぞれ対象となる税金が異なります。
- インボイス制度……消費税
- 電子帳簿保存法……法人税、所得税などの国税
税金が異なるとはいえ、税務署へ納める税金は、自分で計算します。
その根拠となる請求書や領収書などを「保存しなければならない」という点が、両者の共通点です。
そして、ともに法律が変わる時期が近いのです。
- インボイス制度……令和5年(2023年)10月~
- 電子帳簿保存法……令和6年(2024年)1月~
インボイス制度での保存
受け取った領収書がインボイスでないなら、納税が増える
消費税は、原則として、売上などで受け取った消費税から、経費などで支払った消費税をマイナスし、その残りを納めるようになっています。
受け取った消費税ー支払った消費税=納税
この算式にある「支払った消費税をマイナス」するためには、領収書などの保存が必要です。
ちゃんと保存がなければ納税が増えるよ、という仕組みなのです。
これは、インボイス制度が始まっても変わりません。
受け取った領収書などが、インボイスであってもインボイスじゃなくても、保存は必要です。
もし、受け取った領収書などがインボイスでないのなら、消費税の納税がすこし増える、ということなのです。
売上も経費も、すべての書類の保存が必要
売上などで受け取った消費税については、帳簿に記録するようになっています。
厳密にいうと、自分がつくった請求書なども保存しろ、とはなっていないのですが、消費税だけにスポットがあたることは稀です。
法人税や所得税も一緒にみられます。
法人税や所得税のほうでは、青色申告の条件などで、自分が相手に渡した請求書など、受け取った領収書など、すべて保存するようになっています。
結局のところ、売上も経費も、すべての書類を保存しなければならないのです。
これは、インボイス制度が始まっても、変わりません。
自分がつくったインボイスは保存が義務化
法律上の話ですが、自分が相手に渡したインボイスは、保存が義務となります。
これまでも、売上についての書類は保存していたと思います。(法人税や所得税の関係で)
なので、実質的には、インボイス制度が始まっても変わるところはないのです。
電子帳簿保存法での保存
以前から空伝票などをつかって経費を水増しする方法がありましたが、最近ではPDFなどのデータをいじって経費を増やしてしまうことなどが起こるようになりました。
そこで、データでやり取りする請求書や領収書は、紙にプリントして保存するのではなく、データのままで保存するように変わります。
ただし、紙でもやり取りする場合は、紙の方だけを保存してもよいので、対象になるのはデータ「だけ」でやり取りする場合となります。
また、相手に渡すもの・相手から受け取ったもの、この両方が対象になります。
保存の仕方にルールがある
保存の仕方にルールがあるのですが、次の4つを満たすのが、一番簡単です。
- データをパソコンなどに保存する(義務だから)
- 紙にプリントして保存しておく(まずはこれを見せるため)
- 税務署の職員に「見せて」と言われたときに対応できるように、ある程度の区切りでフォルダにまとめておく
- 人手が足りない・お金が足りないなど「相当の理由」がある
(参考記事)【電子帳簿保存法】データ保存が楽になる相当の理由を解説
まとめ
インボイス制度のため、相手に渡す請求書など書類のかたちを整える必要があります。
また、相手から受け取るものも、インボイスかどうかの確認が必要になります。消費税の納税が変わる可能性があるので。
これらの書類は、法人税や所得税にも関係があるので、すべて保存が必要です。
もし、これらの書類をデータ「だけ」でやり取りする場合は、そのデータの保存もしなければいけない、とルールが変わります。
電子帳簿保存法で改正があったからです。
おそらく、次のような準備が必要になると思います。
- 請求書などを相手に渡す方法の検討
- データの受け取りかた
- データを受け取ったときの作業のしかた
- データの保存場所
- 機器やソフトを導入するか
自分がつくるインボイス(免税事業者のかたは今までの請求書など)をどう保存するかを軸に、電子帳簿保存法の対応も一緒にやっておくのが良いでしょう。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。