経費が増えるとトクをする?

  • 経費が増えれば税金が減る!
  • 経費を増やしたいんだけどな

 

その気持ちは、わかります。

ですが、考えの焦点を「税金を減らす」ではなく、「お金を増やす」にあてた方がよいのでは……と思っています。

 

経費ってなにか?

経費は、売上を得るために必要な支払いです。

たとえば、次のようなものは、売上との関係が直接的なので分かりやすいですね。

 

過去の売上にかかるもの……アフターフォロー、クレーム対応

現在の売上にかかるもの……仕入れ、外注費

将来の売上にかかるもの……交際費、広告宣伝費

 

しかし、事務所の家賃のように、売上との関係が直接的ではない場合は、少し分かりにくくなってきます。

そこで、経費とは、次の2つの条件を満たすもの、という言い方もできます。

  1. それがなければ、仕事ができない
  2. 仕事をしなければ、それは必要ない

 

なぜ経費が必要なのか?

経費は、売上を得ることも目的ですが、最終的には利益のためです。

  • 経費 → 売上 → 利益

 

利益がなければ、お金は増えない

お金が増えなければ、生活ができない

(生活費は経費にならないため、その分のお金を増やす必要があります)

ちょっと大袈裟ですが、経費は、生きていくために必要な支払いとも言えるのです。

 

経費が増えるとトクなのか

利益は、次のように計算します。

  • 売上 ー 経費 = 利益

 

利益をより多く、お金をより増やすためには、次の2つの方法しかありません。

  1. 売上を増やす
  2. 経費を少なくする

 

なので、経費が増えると、利益は減り、お金も減るのです。

一概に、損しているともいえないですけどね。

経費って投資とも言えるので、結果が分からないときもよくありますから。

 

また、支払いがあったのに、経費にするのを忘れていた、ということもあります。

これは、本来よりも利益が多くなってしまっているので、損している状態です。

この計上モレを正しい処理に直すと、経費が増えますが、トクしたとは言えません。

もともとは損していたのを、フラットな、正しい状態に戻しただけですので。

 

さて、経費が増えるとトクする場面もあります。

それは、税金です。

法人税や所得税などは「利益×○○%」と計算しますので、経費が増える、つまり利益が減れば税金も減るわけです。

この誘惑は、大きいですよね。

 

ホントは経費じゃないけど……

ここで登場するのが、「本来は経費じゃないが、経費にする」という考えです。

 

事業にもプライベートにも関係する、いわゆる「グレーなもの」は違いますよ。

こういうものは、何らかの基準をつくり、事業の分を経費にします。

 

ただ、完全にプライベートのものを、税金を減らすために、何とか理屈をつけて経費にする。

これは、やっぱりダメです。

黒いものを白くするのが、税理士の仕事ではありません。

 

「税金を計算すること」も税理士の仕事ですが、数字には強いです。

自分が思っていることを数字に置き換える作業や、その際の見落としや盲点などがないか?などを相談すれば、何らかの答えが返ってくるはずです。

たしかに税理士は経営のプロとも言えませんが、お金を増やすために相談する、というのも正しい税理士の活用方法だと思っています。

 

日々、こんな風に税金が使われてます系のニュースを見聞きすると、「ひどいな、税金払いたくないな」と思う気持ちもわかります。

ただ、お金を増やしたいなら、収入を増やすか、経費を節約する。

結局は、この2つのの方法しかないのです。

 

経費が増えても、トクはしません。

 

まとめ

経費が増えると、税金が減る。

この点で、経費が増えるとトクをすると思ってしまいます。

でも、お金はどうでしょう。

経費が増えれば、お金は減ります。

 

税金がいくらか?よりも、自分の手元にいくらお金が残るのか?を気にしましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。