青色事業専従者はパートをしてもよいのか
青色事業専従者であっても、パートをすることはできます。
本業は家族の仕事で、パートは副業、という位置づけなら。
副業なので本業の妨げにならないように、そして時間も短めにしておくことがポイントです。
これは比較の問題でもあるので、本業ではたらいた時間・やった仕事などがあとでわかるようにしておきましょう。
青色事業専従者とは
フリーランスの仕事を家族が手伝ったときに、給与を渡しても経費にはなりません。
これが基本のルールです。
なぜなら、所得を家族でわけることにより、家族全体の税金をかんたんに減らすことができてしまうからです。
所得税の税率は、所得があるラインを超えるたびにあがっていきます。
ここまでは○○%、それをこえて△△までは◇◇%……という風に。
事業主(フリーランス本人)の所得を家族にわけるということは、税率の高いところが低いものになる、ということです。
上記の図で「30%」のものが「10%」になるように。
これにより、家族全体の税金をへらすことができるわけです。
自分の家族に厳しいかたがいるのも知ってはいますが、家族ゆえに給与の金額もあるていど自由にできるので、このような「節税」には歯止めがきかなくなってしまうもの。
そこで、家族への給与は経費にならない、というのが基本のルールなのです。
いっぽうで、仕事をするなら給与を渡すのはとうぜん、というのが普通の感覚です。
そこで、青色申告をしているかた限定で、届出をだすことにより、家族への給与を経費にすることができるという特例がもうけられています。
その給与を、「青色事業専従者給与」といいます。
※ ちなみに、はたいてくれる家族を「青色事業専従者」といいます。
具体的には、「青色事業専従者給与に関する届出書」に仕事内容や給与を記入し、税務署へ提出してから支給という流れになります。
家族がゆえに……という問題もあるため、給与ははたらく時間や仕事内容に見合ったものでなければなりません。
あまりに高額なときは、経費になるのは仕事に見合ったぶんのみとなってしまいます。
経費にならないものは、贈与税がかかることになるのです。
この点は、気をつけておきましょう。
- 青色事業専従者給与により、家族全体の税金がへる
- 青色事業専従者給与は給与なので、「給与所得控除」という経費をとることができる
この2つがけっこう大きなメリットなので、かわりに「配偶者控除・扶養控除」はつかえないことになっています。
それでも、家族で仕事をするなら、かならず検討すべきものです。
青色事業専従者はパートをしてもよいのか
じつは、青色事業専従者になるためには、次の条件がもうけられています。
- 一緒に暮らしている=同じ財布で生活していること
- 年末で15才以上であること
- 1年のうち6か月を超える期間、その事業に専ら従事すること
「事業に専ら従事」ということが、「事業専従者」の意味なのです。
ややこしいのは「専ら(もっぱら)」ですが、つまりは「家族の仕事が本業だ」ということです。
パートをするなら副業、というイメージです。
時間は短め、本業の妨げにならない、という範囲で。
なので、青色事業専従者であってもパートをすることはできます。
では、パートをするときに気をつけることは……?
本業と副業という関係をこわしてはいけません。
パートが本業となれば、青色事業専従者給与はすべて経費にならないことになってしまいますから。
たとえば、パート収入のほうがおおいとなれば、危ないでしょうね。
また、とくにカギになるのは「はたらいた時間」です。
パートの場合はタイムカードなどで跡がのこるようになっていますが、本業ではどうでしょうか。
- はたらいた時間を記録しておく
あとで揉めないためには、これが大事です。
また、仕事をしているなかで「これは自分がやった」といえるものを残しておくのもポイントです。
そもそも、給与に見合った仕事をしていなければ経費とはならないですし。。。
以上の前提で、1年のうち6か月を超える期間、本業の仕事をする必要があります。
なお、「6か月を超える」とは「過半」を意味します。
なので、年の途中で開業したようなときは、「本業をしている期間の過半」であればよいのです。
パートをするなら、このようなことに気を配っておきましょう。
まとめ
青色事業専従者であってもパートをすることはできます。
家族の仕事が本業で、パートは副業、という関係をこわさない限りは。
家族の仕事が本業ということを証明するのは自分自身なので、はたらいた時間・やった仕事などがあとでわかるようにしておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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