売上が多いのと少ないのとどちらがよいか
売上にかぎらず経理の数字は、単純に多い・少ないではどちらがよいのか判断できないケースがあります。
次のようなことがあるからです。
- なかみが悪いけど、多い
- なかみは良いが、少ない
こういうことを知って経営を改善していくには、売上など科目の内訳をチェックすることが欠かせません。
売上が多いのと少ないのとどちらがよいか
売上30万円と28万円のどちらがよいか、と聞かれたら「多いほうがよい」と答えるのが一般的です。
もし、それぞれの内訳が次のとおりだったらどうでしょうか。
- 30万円……30日はたらいた(1日あたり1万円)
- 28万円……28日はたらいた(1日あたり1万円)
1日あたりの売上でみると、どちらも同じです。
では、内訳が次のとおりだったらどうでしょうか。
- 30万円……30日はたらいた(1日あたり1万円)
- 28万円……20日はたらいた(1日あたり1.4万円)
1日あたりの売上は、28万円のほうが高くなっています。
このときは「せっかく働くなら単価が高いほうがよい」と思うのが一般的ではないでしょうか。
となると、「30万円と28万円のどちらがよいか」の答えも変わってくるはずです。
このように売上は合計だけをみていると、判断の役に立ちそうなことを見過ごしてしまうこともあるのです。
単純に合計だけで判断してしまうと、なにかを変えるチャンスを逃してしまうかもしれません。
ふだん売上をみるときは、どのように見ていますか?
売上は内訳をチェックする
売上をみるのは「試算表や決算書で」が一般的ですが、そこには「売上の合計値」しか表示されていないことが多いです。
内訳をチェックするためには、会計データを掘り下げていく必要があるのです。
このときに会計データを紙にプリントし、手計算で集計するのは大変です。
おおくの会計ソフトには「Excelにエクスポート」する機能が備わっていますので、Excelにおとしてから自分の基準で集計していくのがよいでしょう。
※ エクスポートとは、あるデータを会計ソフト以外でもつかえるように変換することをいいます。
その集計する基準ですが、次のようなものが考えられます。
- 営業した日
- 曜日ごと
- 季節ごと
- 年・年度ごと
- 商品、サービスごと
- 店舗ごと
- 値段帯ごと
- 取引先ごと
- 地域ごと
- 新規・再来店の別 など
いくつか思うままに書きましたが、基準は「経営者が気になっているもの」なら何でもよいです。
もちろん「気になっていなかったけれど集計してみた」ら思わぬ発見があることだってあり得ます。
ただ、売上にかぎらずある科目の内訳をチェックするのは、経営を「今よりも自分の望みに近づけるため」です。
なので、その望みをいちばん知っている経営者の興味をまずは優先しましょう。
それから、時間の余裕におうじて他の基準もためしてみましょう。
自分の行動をかえるきっかけは、数字のなかにもあります。
「なんとなく気になっていた」よりも「数字という現実にあらわれた」ほうが、行動のきっかけになりやすい。
そんな風に思います。
試算表などにでてきた数字を活かすのではなく、活かせるように数字をととのえる。
数字にはこんな視点からの使いかたもあるのです。
まとめ
売上にかぎらず経理の数字は、単純に多い・少ないではどちらがよいのか判断できないケースがあります。
言いかたが極端ですが……
- なかみが悪いけど、多い
- なかみは良いが、少ない
こういうことがあるからです。
自分にとってより良い判断をしていくためには、いろんな科目の内訳をチェックしてみましょう。
どこにどんなヒントが隠されているかは、やってみないと分からないのです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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