会社設立時、税理士に相談だけはした方がよい理由
会社を設立するときに決めることの中には、簡単に変えることができないものもあります。
そして、それが将来の税金にも影響してきます。
税理士の料金は安くはありませんが無料のものもあるので、相談だけはしておきましょう。
知らずに損をするのは、もったいないです。
会社設立時、税理士に相談だけはした方がよい理由
会社を設立するのは、ほとんどの方にとって初めてのことです。
いろんなことについて、「何を・いつ・どんな風にやるのか」を自分なりに調べたり聞いたりしながら事をすすめるわけです。
でも、これは誰にとってもおなじです。
誰でも「何をしたらいいのか分からない」状態からスタートするものです。
このときの問題は、「何に注意するべきかも分からない」ことです。
自分がそれでよいと思っていても、「じつは違った」ということもあるかもしれません。
とくに、もともと個人事業主だったかたが法人成りすると、税務や法律関係はガラリと変わります。
まったく別の世界といってもいいでしょう。
つまり、自分には知らないことがあることに気づいていないのです。
「分からないことが分からない」状態といえます。
あとから取り返しがつけばよいですが、そうでないこともあります。
ただ、税理士になにかを依頼するのは、安くはありません。
そして、会社設立時はいろいろと物入りです。
なのでムリに顧問をつけたりする必要はありません。
ですが、相談「だけ」はしたほうがよいように思います。
知らずに損をすることってありますし、法律などについて役所が積極的に宣伝することはあまりありません。
宣伝にかかる費用が税金だということもあるでしょうが。
たとえば、会社を経営していると、申告以外にもやらなくてはいけない税金の手続きがあります。
(参考記事)法人に最低限必要な税務手続きを自分で行うには
会社を設立してしばらくは、ただでさえ忙しいものです。
すくなくとも、1年間のスケジュール・段取りだけは前もっておさえておきましょう。
なお、市区町村役場がおこなっている無料の相談もあります。
「お住まいの自治体+税務相談」で検索するとよいでしょう。
その他にも、練馬ビジネスサポートセンター、杉並区や中野区などの産業振興センター、西東京市創業PORTAL、商工会議所など、それぞれの自治体独自のものがあります。
ただし、このときは税理士以外にもいろんな士業の方が相談をおこなっています。
それぞれ専門分野がちがうので、税理士に相談するのも忘れないようにしましょう。
これらを見つけるには、「お住まいの自治体+起業」と検索するとよいです。
会社設立時に気をつけること
会社を設立するときには慎重に決めたほうがよいことがあります。
変えるのが簡単ではないという観点からみると、次のようなことです。
- 資本金
- 株主
- 決算月(年度)
- 青色申告
- 役員報酬
- お金やモノ
資本金
資本金がいくらかによって決まる税金の仕組みがあります。
たとえば、消費税の納税義務や住民税(均等割)などです。
もし、資本金が1,000万円未満でインボイス登録していないなら、設立から2年間くらいは消費税の申告・納付は必要ありません。
また、住民税には赤字でも払わなければいけない均等割という税金があります。
最低でも7万円なのですが、これも資本金によって上がっていきます。
また、手持ちのお金をすべて資本金にしてしまえば、自分の生活費がなくなってしまいます。
いちど資本金として手続きをすると、それは会社のお金になります。
もう自分のお金ではありません。
資本金は見せ金ではありませんし、生活費は会社から借りることもやめた方がよいです。
とくに融資をうけたいなら。
会社を設立したら、自分のお金と会社のお金はキッチリ区別しなければならないのです。
資本金はあとから増やしたり減らすこともできますが、簡単ではありません。
こうしたことも考えてから決めましょう。
株主
株式会社を設立するときに資本金をだすと、代わりに株式を取得します。
会社にとって大事なことは株主総会で決めるのですが、そこで持っている株式の数がものをいってきます。
とくに複数人で会社をつくるときは、配分には気をつけましょう。
また、株式は手持ちのお金や不動産などとおなじく、値のつく財産です。
誰かにあげるとしても贈与税がかかりますし、相続税の対象にもなります。
そして、その値段は会社の業績によって変わっていき、計算もそれなりに難しいものです。
かんたんに夫や妻・子供にあげることができないと思っておくのがよいです。
誰が・いくら資本金をだすのかは、こうしたことも考えてから決めましょう。
決算月(年度)
決算月は、年度の最後の月のことです。
年度は会社を設立するときにきめますが、かならずしも設立から1年間でなくてもよいのです。
決算は、年度がおわってから2か月くらいかかります。
その時期が、たとえば年末年始にかかるなら、会社には年末調整などもあるのでとても忙しくなるでしょう。
また、大きな会社が取引先にあるときは、その取引先の年度末に予算消化という名目でおおきな仕事がはいってくる可能性もあります。
この時期が自分の会社の年度末にかぶると、年度末にとつぜん利益がふえることになるでしょう。
節税対策がやりにくくなるのです。
節税対策は、準備期間が必要なこともあるので。
決算月は変えられますが、こうしたことも考えて決算月を決めましょう。
青色申告
会社を設立したら、青色申告をするための手続きをしておきましょう。
たとえば赤字です。
設立1期目は、いろんな投資や経費がかかることもあり、赤字になりやすいといえます。
この赤字は、もし青色申告をしていれば、将来の黒字と相殺でき、将来の税金をへらすことができます。
その他にも青色申告ならではのメリットがありますので、青色申告は忘れないようにしましょう。
役員報酬
役員報酬には、「毎月おなじ金額でなければならない」というルールがあります。
もちろん変えてもよいタイミングもあります。
ですが、これを知らずに毎月の金額をかえてしまうと、税金面では損することになってしまいます。
また、法人成りしたときには、それまでの売上は会社のものになることを覚えておきましょう。
もし、売上をそっくり役員報酬にしてしまえば、会社には他にも経費がかかるため、けっこうな赤字になってしまいます。
他の経費のこともかんがえて役員報酬を決める必要があるのです。
会社を設立するメリットの一つには、儲け(所得)を会社と個人にうまく分散して、税金や社会保険をコントロールすることもあります。
年度が変われば役員報酬を変えられますが、設立1期目の役員報酬はかんがえてから決めましょう。
お金やモノ
会社は、他人です。
自分がつくった会社であっても、自分のものではありません。
そのため、会社のお金やモノは、他人のものと同じようにあつかうことになります。
たとえば、自分の家が会社の事務所なら、会社から家賃をもらうことができます。
いっぽうで、その建物の減価償却費は、会社の経費とはなりません。
ぎゃくに会社のモノを自分がつかうなら、会社にはレンタル料などを払わなければなりません。
会社のお金を借りれば、利息をはらうことにもなります。
「それは誰のものか」がとても重要になってくるのです。
それ次第で税金だって変わってきます。
会社は他人という意識はつねにもっておきましょう。
まとめ
会社を設立するときに決めることの中には、簡単に変えることができないものもあります。
そして、それが将来の税金にも影響してきます。
継続的に税理士に依頼をすると、費用も高くなってしまいます。
ですが、相談だけなら費用もおさえられますし、無料のものもあります。
始めが肝心ということもあるのです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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