給与の締め日・支払い日を決めるときのポイント

給与の締め日・支払い日は、資金繰りと給与計算にかかる時間をみてから決めましょう。

そのポイントについて解説します。

 

給与の締め日・支払い日を決めるときのポイント

誰かを雇って給与をはらうときは、給与の締め日・支払い日を決めなくてはなりません。

締め日までのぶんを決められた支払日にはらう、という風に。

 

このとき、締め日と支払日をおなじにしてもよいのですが一般的ではありません。

というのも、次のことを考えなくてはならないからです。

  • 給与の計算にかかる時間
  • 給与をはらうためのお金
  • 未払いでも経費にできる
  • 締め日・支払い日は変更することもできる

 

給与の計算にかかる時間

締め日~支払い日には、ある程度の余裕をもっておきましょう。

この間に、残業代などの手当や給与から天引きする社会保険・税金を計算しなければならないからです。

タイムカードなどから働いた時間を集計するのですが、つまりはある方の1か月の行動を振り返るわけです。

なので、それなりの時間がかかります。

 

とくに意識すべきは12月におこなわれる年末調整です。

年末調整自体はいつもの給与計算よりも前からはじまりますが、確認のため2~3日の余裕があるとよいです。

 

そこで、「給与計算にはこれくらいかかるだろうな」という日数に2~3日プラスする。

締め日~支払い日は10日くらいあるとよいでしょう。

土日をはさむことになるので、給与計算にとれる時間は実質的に1週間くらいです。

 

給与をはらうためのお金

給与の支払い日に「お金が足りない」となると困ります。

そこで、支払い日は大きな入金のあとにするとよいでしょう。

 

結局は、いつでもお金に困らないように口座にプールしておく必要があります。

ですが、突発的な支払いがないとはかぎりません。

そこで安全のため・万が一のために、大きな入金のあとに設定しておくのがよいです。

 

未払いでも経費にできる

給与は、基本的には支払い日に経費にします。

ですが、締め日が月末ではないときには、締め日~月末までのぶんもその月の経費にすることができます

 

たとえば締め日が20日の場合は、21日~月末に働いたぶんの給与も経費にすることができるのです。

ただ、この場合は「21日~月末の分がいくらか」を計算しなければなりません。

(注)役員報酬はこのような計算はできません。

 

未払いでも経費にする・しないの違いは、「どちらが1年度の経費を適切にあらわしているか」です。

給与にあまり変動がないときは、手間をかんがえてやらなくてもよいのです。

このあたりをどう考えるか。

個人的には、締め日が月末だとやりやすいと感じています。

 

締め日・支払い日は変更することもできる

給与の締め日・支払い日は、いちど決めたあとでも変更することができます

もちろん、それぞれにちゃんと伝えなくてはなりませんし、就業規則の変更も必要です。

 

給与の締め日・支払い日を決めるにあたり、カギになるのはお金と経理の時間です。

ここに何らかの事情でおおきな変更がくわわるなら、変更することもできるのです。

 

ただし、4月~6月は避けるほうがよいでしょう。

というのも、この期間の給与により9月からの社会保険料がきまるからです。

 

9月からの社会保険料をきめるために4月~6月の給与を報告する手続きを「算定基礎届」といい、例年7月上旬までにおこないます。

この間に給与の仕組みをかえると、この手続きが大変になってしまいます。

なので、4月~6月の間に締め日・支払い日を変更することは避けましょう。

 

役員報酬はどうするか

役員は、会社に雇われるわけではありません。

会社(株主)から「あなたの裁量で経営はまかせた」と言われる関係なのです。

 

これを「雇用ではなく委任」とよんでいます。

会社と従業員は「主従」なのにたいし、会社と役員は「対等」なのです。

 

そのため、役員はいつ働いてもよい代わりに残業代は発生しない。

雇用されていないのだから雇用保険はかからない。

給与計算では、従業員とこのような違いがあります。

 

また、役員は経営で成果をあげるのが目的なので、極論ですが「会社にきて働かなくても役員報酬をもらうことができる」といえます。

成果さえあげれば、の話ですよ。

そのため、役員報酬は「未払いの分を日割りで経費にする」ことができません。

役員報酬は、会社にきて働いたからもらうものではないのです。

 

ここまでを踏まえると、役員報酬は〇月の分をその月末にはらうのがシンプルです。

もし役員しかいないのなら、当月分を当月末日にはらうのがやりやすいです。

 

もし従業員もいるのなら、支払い日を合わせるのもよいです。

役員と従業員の支払い日をちがう日にすることもできますが、合わせるほうがやりやすいと感じています。

 

まとめ

給与の締め日と支払日を決めるときのポイントについて解説しました。

カギになるのは、資金繰りと給与計算にかかる時間です。

経理にとれる時間や売上の入金サイクルをみてから決めましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。