法人成りをするときは、会社だけでなく個人でも手続きが必要

個人事業主が会社を設立し、個人として行っていた事業を、その会社が続けていくことを法人成りと言います。

まるで個人事業主が法人に成り代わるようなので、こう呼んでいます。

 

このときに、個人事業主としての立場は、会社から役員報酬をもらう立場に変わります。

個人としては事業収入がなくなるため、事業を始めるときに開業届などを出したのと同じように、事業をやめる手続きが必要になるのです。

そこで検討するのが、次の4種類の手続きとなります。

 

個人事業の廃業届出書(所得税、事業税、消費税)

事業を始めるときには「開業届」を出しますが、やめるときに出すのがこの「廃業届」です。

提出期限は、廃業してから1か月以内ですが、出さなくても罰則はありません。

ただし、出さずに放っておくと「確定申告されていないようですが……?」などと税務署から問い合わせが来てしまう可能性もあります……

(参考記事)事業をやめるときは廃業届が必要【個人事業の廃業届出書】

 

なお、この廃業届は所得税のものですので税務署へ出しますが、同じく都道府県税事務所へも廃業届(事業税のもの)を出します。

様式や期限は、各自治体ごとに違いますので、それぞれのホームページにて確認しましょう。

 

また、消費税の申告をしている場合は、消費税の「事業廃止届出書」も必要です。

 

青色申告の取りやめ届出書

法人成りすると、それまで個人の収入だったものは会社の収入となる代わりに、個人の収入は会社からの給与(役員報酬)となります。

青色申告は、事業収入・不動産収入などがある場合にメリットを受けられますが、給与についてはそのようなメリットがありません。

そこで「じゃあ、もう青色申告する必要ないね」というときに出すのが、この届出書です。

 

期限は、最後の個人の事業収入がある年の翌年3月15日ですが、廃業届と一緒に出しておきましょう。

 

ただし、次のような場合は、青色申告を続けていく方が良いので、この届出書は必要ありません。

  • もともと複数の事業をしていて、法人成りしたのはその一部である場合
  • 法人成りした後、自宅を会社の事務所とし、会社からの家賃収入がある場合

うっかり出してしまっても青色申告に戻ることは出来ますが、最低でも2年分は青色申告が出来ないので用心しましょう。

 

給与支払事務所等の廃止届出書

法人成りする前に、スタッフへの給与や専従者給与を支払っているときは、この届出書を提出します。

期限は、廃業日から1か月以内となっていますが、廃業届と一緒に出しておきましょう。

 

給与から天引きする所得税(源泉所得税)は、しばらく税務署への納付がないと「源泉所得税はどうなっていますかね……?」と税務署から電話が来たりします。

(この届出書を忘れても、廃業届を出しておけば、こういう電話は来ないと思いますが……)

こういう事を避けるためにも、忘れずに出しておくべき書類です。

 

予定納税の減額申請書

予定納税とは、去年の所得税をもとに、次(今年)の確定申告の前払いとして税金納めてくださいね、という仕組みの事です。

前払いですので、次の確定申告の際には、足りない分だけ納めればよくなりますし、前払いの方が多ければ還付されます。

 

法人成りするときは、会社の資本金や事務所、設備などのため、お金が必要になることが多いです。

また、個人事業主のときよりも、一時的に収入が下がる場合もあります。

 

「予定納税が多すぎるな……減らしてくれないかな……?」というときに出すのが、この申請書です。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。