所得税の確定申告が終わったら後で困らないためにやっておくこと

所得税の確定申告が終わったら、今後にそなえて次のことをやっておきましょう。

  • 今後はらう税金の確認
  • 書類と申告書(控え)の保存

とつぜん他の税金の納付書がとどいてビックリしたり、来年の申告がスタートからつまづくことを避けるためです。

どんなことに気をつけるのか、解説します。

 

今後はらう税金の確認

確定申告をするさいには所得税と消費税をはらいますが、税金は他にもあります。

確定申告の後ではらっていくものをまとめると、次のようになります。

種類 いつ払うのか
住民税 6月・8月・10月・来年1月(計4回)
事業税 8月・11月(計2回)
所得税(予定納税) 7月・11月(計2回)
消費税(中間納付) 今回の実績による

 

それぞれ金額の目安を解説します。

(今回はこまかい話は抜きにして、ざっくりいきますね)

 

住民税

所得税と住民税の計算はよく似ています。

なので申告書の次のところ「課税される所得金額」をチェックしてください。

 

「課税される所得金額」の「10%」が住民税の目安です。

 

事業税

事業税は、次のように計算します。

  • (事業所得+不動産所得ー290万円)×税率

 

なので「青色決算書」の次のところをチェックしてください。

 

ここをチェックしたときに「290万円以下」なら事業税はゼロです。

 

つぎに不動産所得についての留意点です。

不動産所得があってもかならず事業税がかかるわけではないです。

物件数がつぎの基準以下なら、事業税はかかりません。

(東京都主税局HPより)

 

最後に税率ですが、業種におうじて次のとおり「3%~5%」にわかれています。

 

ここまでを読んだら、次のとおりざっくり目安を計算しておきましょう。

  • (事業所得+不動産所得ー290万円)×税率

 

所得税(予定納税)

まずは申告書の「申告納税額」をチェックしましょう。

 

もしこの金額が15万円に達していないなら、原則として予定納税はありません。

逆に15万円以上なら、1/3の金額を7月と11月の2回はらうことになります。

 

これは来年の確定申告の前払いです。

はらった分、次の確定申告ではらう所得税が減ることになるので、損しているわけではありません。

ただお金の準備は必要です。

 

なお、予定納税は税務署側で計算します。

もし納税があるときは、6月頃に通知書が届くことになります。

 

消費税(中間納付)

中間納付とは、所得税の予定納税とおなじく、次の確定申告の前払いです。

もし中間納付が必要なら、ほうっておいても税務署から納付書がとどきます。

ですが、ざっくり押さえておきましょう。

とつぜん「払え」とやってくるのはイヤですから。

 

消費税の中間納付は、今年1年分の消費税額により来年の予定がきまります。

申告書の「差引税額」をチェックしましょう。

 

もしこの金額が「48万円以下」なら、中間納付は必要ありません。

ですが、超えているなら次のとおり中間納付をすることになります。

差引税額 中間納付の金額 中間納付の時期
48万円超 400万円以下 差引税額×1/2×100/78 8月
400万円超 4,800万円以下 差引税額×1/4×100/78 5月・8月・11月

 

書類と申告書の保存

今後なにか困ったことにならないように、次のものを保存しておきましょう。

  • 請求書や領収書などの書類
  • 申告書の控え

 

請求書や領収書などの書類

請求書などのように税金の計算のもとになるものは「7年間」保存しなければなりません。

きれいに整理整頓する必要はないので、大きめの封筒などにザバッといれておきましょう。

 

ただ、来年以降の税金にも関係してくるものは、コピーを保存しておき、原本はつかい続けるのがよいです。

でないと忘れてしまいますしね……

 

なお、過去に無申告だったり罰金(とくに重加算税)をはらったことの経験があるかたは、キッチリ整理整頓しておきましょう。

たまに「医療費の領収書みせてください」なんて抜き打ちで税務署から連絡がきたりしますので。

 

ちなみに、税理士のわたしもお客様の資料で複数年に影響があるものや重要なものはスキャンして保存しています。

気がついたら1日の仕事が「スキャンしただけ」ということもあったり……(;^ω^)

それくらい保存は大事なのですよ。

 

申告書の控え

申告書の控えは、すくなくとも「5年」は保存しておきましょう。

というのも、もし経費の計上モレなどがあったときは、税金を還付してもらう手続きができるからです。

 

また、来年の申告書をつくるときに参考になります。

わたしが申告書をつくるときは、かならず過去のものを参照します。

過去となにかが違えば「なぜ?」と思いますし、それは税務署のかたもおなじです。

よけいな火種をつくりたくないですよね?

 

もし無くしてしまっても、「申告書等閲覧サービス」により税務署で保存しているものを見せてもらうことができます。

ですが、マイナンバーカードなどをもって税務署までいかなければなりません。

そして、原則としてその場で手書きで書き写すことになります。

(いまは税務署のかたのチェックをうけながらの写メも可)

 

また、控えがなければそもそも間違いにも気づけない……

なので必ず保存しておきましょう。

 

まとめ

所得税の確定申告がおわったら、今後はらう税金の確認と書類や申告書の保存をしておきましょう。

 

なお、R6年(2024年)からは、メール添付のPDFのようにデータ「だけ」でしかやり取りしないものは、「データのままで保存」しておく必要があります。

電子帳簿保存法というやっかいなルールがはじまってしまったのです。

とても面倒になりますし残念ですが、ルールはルール。

しょうがないけどやっておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。