顧問の税理士がいることのメリット・デメリット
顧問とは、申告書の作成だけではなく、いつでも相談できるなど継続的なサポートをするサービスです。
その顧問がいることのメリット・デメリットをみていきましょう。
目次
メリット
顧問の税理士がいることのメリットは、次のとおりです。
- いつでも相談できるスペシャリストがいる
- 時間がふえる
- 経理が半強制的に習慣になる
- 節税をしてもらえる
- 経理1人を雇うよりも安上がり
- 税務調査が入りづらくなる
- 第三者の視点がある
いつでも相談できるスペシャリストがいる
経営者の悩みというのは、相談できる相手がすくないものです。
経営者仲間でもいれば多少は話ができるものの、お金や経営の内情にかかわる悩みは相談しづらいものです。
そもそも表に出しにくかったりするし、財布のなかみを広げて見せるような感じでもあるからです。
かりに社員がいたとしても、そこには上下関係のようなものがあったりして、意見は聞けるものの、相談(?)というには疑問符がつくような話しかできないときもあります。
また、運よく相談できるかたを雇えたとしても、お金のことをすべてさらけ出すには抵抗が残るものです。
家族が一緒に経営しているときは、お金も経営の内情もすべて共有はできます。
ですが、相談した結果について税金やお金・数字の面からみたとき、「100%それでよいのか」には疑問がのこるときもあるでしょう。
顧問の税理士は、経営の数字をすべて見ています。
もちろん「税金の計算に必要だから」という理由もあります。
ですが、税金をすくなくする・お金の問題がないかチェックする・よりよい経理方法がないかを探すなどの過程で、結局はすべての数字に目を通すことになるのです。
また、税理士は税金のスペシャリストですが、その税金の計算のベースになるお金や数字のスペシャリストでもあります。
税金は税理士の独占業務とされていますが、お金や数字についてはコンサルタントをはじめに税理士でなくてもアドバイスなどができます。
なので、税理士というとどうしても税金のスペシャリストととらえられますが、お金や数字についてもプロなのです。
そんな相手にいつでも悩みを相談できるのが、顧問がいることの大きなメリットです。
税金やお金・数字にかんする悩みを一人でかかえることなく、その場その場で解決できるわけです。
時間がふえる
もし自分ですべての経理や申告をするなら、どれくらいの時間がかかるでしょうか。
数字に強いかたなら、それほどの抵抗なくできてしまうかもしれません。
本やセミナー、インターネットなど情報は多くあるので。
ですが、そのような情報はほとんどのケースで一般論です。
「こんな方法もある」
「こうすれば楽になる」
「これはやらなくてもよい」
いろんな知識やノウハウを、個別にカスタマイズして提案してくれるのが顧問の役割です。
ムダな試行錯誤や手間がへらせるのです。
その結果、本業につかえる時間がふえることになります。
経理が半強制的に習慣になる
経理はめんどくさく感じるかたもいます。
すると、夏休みの宿題のように、申告が近づいてきたときにまとめてやることもあるでしょう。
ですが、経理というのは経営管理。
ほんらいは、税金のためにやるものではないのです。
また、自分のすきなタイミングで経理をするときは、過去に問題があったことに気づくのが遅れてしまう可能性もあります。
もし顧問の税理士がいるなら、マラソンにおけるペースメーカーのような役割を果たしてくれるでしょう。
通常は、1か月または2~3か月に1回は打ち合わせがあるからです。
その打ち合わせめがけて、そこまでの経理を仕上げることになります。
「せっかく料金を払っているんだから」という気持ちも生まれてくるでしょう。
その結果、経理が習慣になります。
すると、経営においても数字やお金を意識するようになってきます。
自分を変えるには、「環境から変える」という方法もあるのです。
節税をしてもらえる
税理士は税金のスペシャリストです。
とうぜん、節税のスペシャリストでもあります。
なので、放っておいても節税の提案はしてきます。
ただし、税金をへらすことについては注意が必要です。
というのも、事業をしているときの税金がすくなくなると、手取りのお金がへることもあるからです。
「税金がへる」と聞いたら、「手取りのお金はへるのか・ふえるのか」
かならず意識するようにしましょう。
経理1人を雇うよりも安上がり
もし経理のかたを雇うなら、パートでも月10万円前後、社員ならもっとかかるでしょう。
税理士の顧問料は……
いろんなホームページやネット情報などで確認してみましょう。
おそらく、ずっと安上がりになるはずです。
税務調査が入りづらくなる
正確さ。
これも税理士に求めることだと思います。
税理士だって人間なので、絶対に間違いがないとはいいません。
ですが、それをふまえてチェック体制など整えてもいるので、やっぱり税理士が作る申告書は正確です。
それを税務署もわかっているので(税理士がつくった申告書には税理士が署名します)、税務調査も入りづらくなります。
税務調査は、申告内容が正しいかどうかを確認するためのものなので。
第三者の視点がある
自分を客観的にみる。
これは、とても難しいことではないでしょうか。
「○○なんだけど、どう思う?」
自分がかんがえていることに、落とし穴や盲点がないか。
これは不安の材料だとおもいます。
顧問は、会社や事業体のなかの人ではありません。
気持ちの面では思い入れなどありますが、あくまでも外の人間です。
事業内部の思惑や利害・人間関係にはしばられていません。
そのような第三者としての立場からの見方や意見を知ることができる。
これも顧問がいることのメリットです。
デメリット
顧問の税理士がいることのデメリットは、次のとおりです。
- それなりの料金がかかる
- 丸投げすると大した成果は得られない
- 合う・合わないがある
- 打ち合わせの時間をあわせる必要がある
- 聞きたくないことを聞かされるかもしれない
- 変更は気楽にできないかもしれない
それなりの料金がかかる
税理士を顧問にするには、それなりの料金がかかります。
財務担当の役員を数日間だけ雇うようなものだからです。
設立したての法人やフリーランスにとっては高く感じることもあるとおもいます。
そんなときは無理して顧問は頼まずに、単発の相談だけたのんでみるのも良いでしょう。
きっと、独りで悩みをかかえ続けるよりかは良い結果になるはずです。
丸投げすると大した成果は得られない
顧問がいることのメリットは、税金やお金・数字にかんする悩みを解決したり、それを経営に役立てていけることです。
もし、丸投げして経理のことはすべてお任せにしてしまうと、こうしたメリットを受けることができません。
そんなときは、申告や最低限必要な手続きだけを依頼するのがよいです。
顧問がいることのメリットはなくなりますが、その分のお金が浮きますので。
もし後日、やっぱり興味や不安がでてきたら、そのときに改めて検討するとよいでしょう。
合う・合わないがある
人間同士のつきあいでは、合う・合わないということもあります。
合わないからいろんな意見がある。
合うから一丸になれる。
どちらを選んでもよいとおもいます。
ですが、顧問というのは長く続く傾向があります。
たとえ紹介であっても、かならず会って話をしてから依頼するかどうかを検討しましょう。
打ち合わせの時間をあわせる必要がある
顧問がいるなら、定期的な打ち合わせをすることになります。
そこに価値があるわけでもあるので。
もし顧問がいないなら、すべての時間を自分の好きなようにつかうことができます。
打ち合わせはおおくても毎月1回くらいがスタンダードですが、お互いの日程を調整する必要があります。
業種によっては日中に時間がとりづらいこともあるでしょう。
また、急な予定がはいって「変更→再変更」なんてこともあるかもしれません。
こうした日程調整が、デメリット・わずらわしく感じるかたもいるかもしれないですね。
聞きたくないことを聞かされるかもしれない
経営をしていれば、良いときも悪いときもあるでしょう。
顧問の役割には、悪い兆候を発見したり、それが悪化しないようにすることもあります。
悪い報せは良い報せ。
こう思えればよいですが、思わぬタイミングで聞きたくないことを聞かされるかもしれません。
ただ、放っておくよりはよい結果につながるはずです。
変更は気楽にできないかもしれない
税理士が税金の計算をするということは、すべてではないですが、自分の財布のなかみを見せることと同じです。
また、年末調整などで家族構成や生年月日などプライベートな情報もわたすことになります。
税理士からすれば、こうしたものは情報というより数字という感覚です。
とくにどう思うということもないのですが、これらは秘密にしておくべきものです。
あまり多くの人には知られたくない。
なので、いちど顧問をたのむと、多少のことがあっても変更はしづらくなる気持ちになるかもしれません。
「まあ、いいか」とか我慢をするような場面があるかもしれないのです。
顧問をたのむなら、かならず会って人柄などを確認するようにしましょう。
まとめ
顧問の税理士がいることには、メリットもデメリットもあります。
そして、じっさいに関係をはじめなければ分からない部分もあります。
「自分はこうしたい・こうなりたい」
これを伝えたあとで「自分にとって必要なことはなにか」と質問することから始めましょう。
(参考記事)顧問の税理士って何をしてくれるのか?
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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