経営数字は株式の市場価格と同じ
株式の売買をするときは、市場価格を見るのが当たり前です。
経営数字も、それは同じなのです。
どんなサイクルで経理をすればよいのか…についても考えてみましょう。
鮮度が大事
自分の事業の状況をあらわす数字。
これは、会計ソフトに入力することでも手に入ります。
決算書や試算表と呼ばれるものですね。
それとは別に、気になるところを、経営者自身で集計などしていることもあるでしょう。
こうした数字を、経営数字といいます。
それをつかい、経営判断に役立てるためのものです。
この経営数字は、日経新聞や証券会社のサイトなどにのっている株式の市場価格と同じもの。
鮮度が大事なのです。
証券会社をつうじて株式を売買するとき。
過去の値動きも、参考としては見ますよね。
なるべく安く買いたい。そんな買い時ってありますし。
でも、その日の株価、つまり自分のお金はいくら出入りするのか。
これを知らずに売買することはないはずです。
これは経営についても、同じこと。
判断するときの数字を知らずに、その判断はできるものでしょうか。
もちろん経営者なら、大筋は把握しているでしょう。
自分の頭のなかで、売上や経費はどれくらい…という想像もできるはず。
口座の履歴も、その裏付けになりますし。
くわえて、いま交渉中の仕事や将来の展望。
投資家として、株式を売買するときには持ちえない情報ももっているわけです。
いわゆるインサイダー情報を。
なので、数字はそこまで気にしなくても…という気持ちになることもあるかもしれませんね。
ただ、数字は、その数字を知ることだけが目的ではないのです。
数字を見ることで、自分の頭のなかにあるものとの照らし合わせをする。
これも、目的の一つなのです。
すると、現実と、自分の頭のなか。
双方にズレがあったりするかもしれません。
これが落とし穴や盲点といわれるものです。
こうしたものがない状態で判断できるようにするのも、数字の役割なのです。
経理はどんなサイクルが良いのか
数字は、理想を言えば、毎日その日のものを見るのが一番です。
株式の市場価格のように。
でも、数字を作る、つまり会計ソフトに入力などをするのは、時間もかかります。
それ専任のかたがいなければ、量にもよりますが、きっと厳しいはずです。
であれば、数字は、空白期間を記憶でカバーできるくらいの間に手に入れるようにしましょう。
1~2週間くらいなら、大部分は思い出せるでしょうか。
とにかく、早さを意識してみましょう。
それから、早さを補完するために、精度にこだわらないのもポイントです。
たとえば売上が1,000万円あるときに、10円のズレがあったとしても、問題にはならないはず。
でも、そのズレが100万円だったら…?
あるいは20万円だったら…?
ご自身の感覚におうじて、100%じゃなくても〇〇%くらいならよい。
こんな風に、精度についても考えておきましょう。
(決算時は、もちろん100%にしなければなりませんが)
こうした数字を手に入れるためには、資料集めだけは小まめにすることが必要です。
資料がなければ、経理はできませんから。
たとえば領収書やレシートは、その日のうちに整理してみましょう。
整理といっても、キレイに並べて整えておく…ということではなく、次のようなことです。
- プライベートのものと混ぜない
- 事業のものは、決めた場所に選り分けておく
- インターネットで買い物をしたら、請求書はすぐにダウンロードする
- 届いた郵便は、その日のうちに開け、いらないものは捨てる
- 毎日10分くらいは、こうした時間をとる
経理は、「ためない」ということが、すごく大事です。
ためるとハードルは上がりますし、やる気も起きにくくなってしまいます。
ためればためるほど、遠ざかるのが自然…といえます。
たとえばハミガキのように、毎日やることってありますよね。
こうしたことは、ある1日だけやらないと、かえって気になるものです。
習慣が、経理をラクにしてくれる面もあるのです。
経理が面倒と感じるかたは、習慣でカバーできないかと考えてみましょう。
株式を売買するとき、その日の市場価格を見るのは当たり前のこと。
経営判断をするときも、それは同じです。
数字を見て、それを自分がのぞむ方向へ変えるために、考えたり行動してみる。
それが、自分のやりたいことへ近づくためのきっかけにもなりますから。
まとめ
経営数字は、株式の市場価格のように、その日のものを見るのが理想です。
もし、経理専任のかたがいないなら、空白期間を記憶でカバーできる間に手に入れるようにしましょう。
数字というのは、つまりはお金をあらわすもの。
お金がすべてとは言いません。
でも、数字やお金は、自分がのぞむ方向へ近づくためのきっかけになるものです。
なので、大事にあつかうようにしましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。