売上はいつ計上するのか

原則

契約を結んだ日、商品などを引き渡し日、代金を受け取った日が考えられますが、

商品やサービスを相手に「引き渡した日」に売上を計上するのが原則です。

代金を受け取った日ではないので、ご注意ください。

商品・サービスごとに様々な「引き渡した日」がありますので、以下、ご参照ください。

商品や製品の場合

次のいずれでも構わないのですが、一度決めたら同じ方法で売上を計算していきましょう。

方法を変えることで利益を調整することはご法度です…

なお、一度選んだ方法を変えることが出来ない訳ではありませんが、納得できる合理的な理由や資料の用意が必要です。

1.出荷した日

2.納品した日

3.相手が数量や品質の確認をした日

商品などの販売を委託する場合

代理店などに手数料を払い、商品を販売してもらうケースもあると思います。

このような場合には、代理店に商品を引き渡した日ではなく、代理店が商品を販売した日に売上を計上します。

とは言っても、販売したことを知るのが後日になるケースもあります。

ですので、実際に販売された日ではなく、販売の都度送られてくる売上計算書が届いた日に売上を計上することもできます。

この売上計算書は、日ごとではなく、週や月ごとでも構いません。

つまり、ある月の売上を、売上計算書の届く翌月に計上することもできますので、節税にも繋がりますね。

代金を分割で受け取る場合(延払基準)

不動産や機械など高額な商品を販売するときに、代金を分割で受け取る場合もあると思います。

代金をすべて受け取っていないのに、原則通りに「引き渡した日」に売上を計上すると、納税のための資金が足りないということも考えられます。

また、代金をすべて回収できるかどうか、解約されないか、というリスクもあります。

そこで、次の要件を満たす場合には、「引き渡した日」ではなく、「代金を受け取る期日」に売上を計上することも認められています。

延払基準と言います。

この方法による場合には、原価も売上と同じく、受け取った代金の割合に応じて計上していきます。

なお、期日前に代金を受け取った場合には、受け取った日に売上を計上しますので、ご注意ください。

1.3回以上の分割払い

2.支払期間が2年以上

3.頭金が代金の2/3以下

工事やソフトウェア開発を行う場合(工事進行基準)

工事やソフトウェア開発を行う場合でも、仕事が終わり、相手に引き渡した日に売上を計上するのが原則です。

ですが、仕事が長期間になる場合や年度をまたぐ場合に、仕事はしているのに決算書などには全く表れないというのも変ですよね。

そこで、予想される原価のうち今期に使った部分の割合などを基準として、仕事の進み具合に応じて、引き渡す日よりも前に、売上を計上する方法もあります。

工事進行基準と言います。

経理に対する目が一層シビアになり、曖昧な契約も無くなり、コストカットにも繋がるのではないでしょうか。

原価の見積りで事務負担が増える可能性もありますが、経理とは経営管理とも言いますし、大事です。

なお、次の要件を満たす場合には、工事進行基準で計算しなければなりませんので、ご注意ください。

1.仕事の開始から完成・引き渡しまでが1年以上

2.請負金額が10億円以上

3.請負金額の1/2以上が引き渡してから1年経過後に支払われる、と契約に書かれていない

不動産を販売する場合

特に不動産では、相手が使用することができるようになった日に、売上を計上することも出来ます。

家の鍵を渡した日、とも言えますね。

サービスの場合

サービスの全てが終わった日、となります。

ただし、設計など報酬を作業段階ごとに受け取る契約の場合には、その作業段階ごとに売上を計上するケースもあります。

また、塾や保守サービスのように長期間続くものは、今年度にサービスが終わった部分を売上に計上します。

税金の計算のためだけではなく、トラブルを防ぐためにも、契約書には料金の仕組みやサービス期間、支払いの時期を明記しておきましょう。

個人事業主の特例

青色申告をしている個人事業主の方で、

2年前の不動産所得と事業所得の合計が300万円以下の方は、

税務署へ届出をすれば、

「引き渡した日」ではなく、「代金を受け取った日」に売上を計上することも出来ます。

この方法による場合には、帳簿を作成するのが簡単になる代わりに、65万円の青色申告特別控除が受けられなくなる(10万円の控除は受けられます。)ので、ご注意ください。

最後に

売上を計上すると言っても、商品や業態によっていろいろな方法があります。

その方法次第で利益も変わりますし、もちろん税金も変わりますので、とても重要です。

一度選んだ方法はそうそう変えられませんので、日々の事務負担や、将来の展望も踏まえて慎重に選ぶようにしましょう。

(注)この記事は、作成時点での法令等に基づいております。また、細かい法令等をざっくり解説していますので、実際の適用にあたっては、税務署・税理士等への確認をお願いいたします。