青色申告の特典(個人事業主)

青色申告の特典には、次のようなものがあります。

青色申告特別控除(65万円or10万円)

収入から経費をひいたものが利益です。

そこから、さらに最大65万円を控除できる特典を青色申告特別控除と言います。

住民税も同じ方法で計算しますので、65万円×(所得税率5~45%+住民税率10%)分の税金が少なくなります。

この特典は、個人事業主や不動産の貸付けを行っている方が対象ですが、次の条件が必要となります。

① 複式簿記で記帳していること

② 確定申告書に貸借対照表・損益計算書をつけること……会計ソフトを利用していれば、簡単に作ることができます。

③ 期限内に申告すること

なお、次の方の控除額は、最大10万円となります。

① 複式簿記ではなく、簡易な方法で記帳している方

② 不動産の貸付けが、家屋なら5棟未満、マンションやアパートなら10部屋未満の方

家族への給与を経費にできる

個人で事業をしていても、同居している家族と一緒にやっているケースもあると思います。

そんな時に家族に給与を支払ったとしても、原則として経費にはならないんです。

青色申告をしていれば、家族に支払った給与を経費にできる特典があります。

これを「青色事業専従者給与」と言います。

白色申告でも「事業専従者控除」と言って利益から最大86万円を控除できる仕組みがありますが、「青色事業専従者給与」は自分で金額を決めることが出来るのが大きいです。

<注意点>

① 経費にできると言っても、金額は青天井ではありません。求人情報などを参考に常識の範囲で決めましょう。

② 青色事業専従者給与に関する届出(国税庁のHP)が必要です。

③ ちょっと手伝ってもらった位の場合には対象にならず、1年のうち6ヶ月超は本業として事業に関わってもらう必要があります。

④ この適用を受けた場合、家族について配偶者控除・扶養控除が受けられなくなります。

⑤ 家族に支払う給与には所得税がかかりますので、一家全体での税金を計算し、トータルでの税金が少なくなるようにしましょう。

赤字を3年間繰り越せる

例えば、1年目が200万円の赤字で、2年目が200万円の黒字だったとしましょう。

1年目 △200万円
2年目 +200万円

2年目の計算が、白色申告と青色申告で違うことになります。

(白色申告)200万円に対して、税金がかかります。

(青色申告)1年目の赤字△200万円を繰り越して、2年目の黒字200万円からマイナスすることができます。

ですから、200万円ー200万円=0 となり、2年目は税金がでないことになります。

このような仕組みを「赤字を繰り越す」とか「純損失の繰越控除」と言います。

<注意点>

赤字がでた年も、その後の年もちゃんと青色申告している必要があります。

家事関連費

プライベートでも使うけれど、仕事にも使う。

自宅で仕事をしている方にはこういうものが多いのではないでしょうか。

このようなものを家事関連費といいます。

家賃、駐車場代、水道光熱費、通信費、車、ガソリン代などいろいろありますよね。

家事関連費は原則として経費にはできず、仕事に使っている部分をはっきり説明できるときに限り、経費にできることになっています。

家賃であれば面積だったり、水道光熱費であれば使った分だったり、それなりの基準で分けることになります。

ここで、白色申告と青色申告で違いがあります。

(白色申告)仕事で使っている部分が50%超の場合に限り、経費にできます。

(青色申告)割合に関わらず、仕事で使っている部分は経費にできます。

経費から漏れているケースがとても多いです。

少しでも余計な税金を払うことがないようにしましょう!

少額減価償却資産の特例

通常、10万円以上の固定資産を購入したら減価償却をしますので、購入した年に全額を経費にすることはできません。

青色申告をしている場合、30万円未満の固定資産は購入した年に全額を経費にできます。

無制限ではなく1年で合計300万円までですが、パソコンを何台か購入するだけでも所得に大きな違いが出そうですね。

なお、この方法で経費にしたものは、固定資産税(償却資産税)の申告が必要ですので、ご注意ください。

(注)この記事は、作成時点での法令等に基づいております。また、細かい法令等をざっくり解説していますので、実際の適用にあたっては、関係省庁・専門家等への確認をお願いいたします。