年末調整:扶養が変わったとき・保険が書ききれないとき
扶養が変わったことが伝わらなければ、年末調整に反映されません。
また、保険が書ききれないかたもいるでしょう。
こうしたことで年末調整が間違わないように、できることを確認しておきましょう。
扶養が変わったときどうするか
年末調整では、「扶養の申告書」が1枚だけわたされることが多いかもしれません。
ただ、2枚わたされることもあります。
もし、わたされたのが1枚なら、それは「来年」のもののはず。
2枚あるなら、それは「今年」と「来年」のぶんです。
たとえば国税庁のホームページでも、次のように2年分が用意されています。
もし、今年中に扶養が変わった・変更があったのなら、まずは扶養の申告書が「どの年のものか」を確認するところからはじめましょう。
それは、申告書のつぎのところに記載されています。
かりに、その申告書が「来年」のものであったとき……
その申告書に、扶養が変わったあとの状況を書いても、この年末調整で、それが反映されるとはかぎりません。
というのも、「今年」の申告書は、前回の年末調整のときに書いているはずだからです。
(中途で入社したかたは、入社したとき)
じつは、年の途中で扶養が変わったときは、申告書をもういちど書かなければならないのです。
さきほどの申告書を、もういちど見てみましょう。
「異動」とあります…
つまり、おなじ申告書を、内容をかえて、出し直さなければいけないのです。
だれが扶養の家族になるかは、基本的に、その年の12月31日時点で判断します。
- 前回の年末調整、つまりほとんど1年前にかいた扶養の申告書
- いま書いている、来年用の扶養の申告書
この2つの内容がちがうとき、経理のかたには「今回の年末調整はどちらの内容でやるのか」が分からないこともあります。
時期からすれば、12月31日により近い、いま書いている内容のほうが合っているような気もします。
でも、扶養により税金は変わります。
それを知っているひとは、扶養をコントロールすることもあります。
なので、一概に「時期が近いから、こっちだろう」とはならないのです。
もし、間違えたまま年末調整をすると、来年1月にやり直すか、あるいは自分で確定申告をすることになります。
ちょっと面倒ですよね。
でも、前回の年末調整、つまり1年前にかいた内容を覚えているのは少数派。
間違っていることに、ご自身が気づいていないこともあるでしょう。
扶養が変わったのなら、余白に「去年とは変わった(はず)」と一言そえておくと安心です。
おって、経理のかたから確認があるかもしれませんから。
それで、間違いを防ぐことができるでしょう。
保険が書ききれないときどうするか
年末調整でつかう「保険の申告書」には、つぎのとおり書く欄が用意されています。
- 生命保険……3~4つ分
- 地震保険、社会保険……2つ分
また、つぎのように、それぞれの欄もそれほどスペースがありません。
すると、加入している保険の数によっては、申告書に書ききれないこともあるでしょう。
そんなときは、つぎの方法があります。
- 別紙をつくる
- 「その他○○件」と略す
白紙の紙でよいので、別紙をつくり、申告書には書けないものをすべて載せておきましょう。
モレが防げますし、数字の間違いも防ぐことができます。
この別紙は、法律で定められたルールではありません。
なので、様式も自由です。
いっぽう、欄におさまらないものを、まとめて「その他○○件」とするのもアリです。
保険の控除証明書の原本さえあれば、確認も計算もできるので。
ただ、数が多いということは、モレたり間違う可能性も多いということ。
ご自身では、すべて把握しておきましょう。
「去年あったのに、今年はない」ということもありますから。
また、数が多いときには、ひとつ安心要素もあります。
それは「生命保険や地震保険には上限がある」ことです。
この上限を超えていると、それ以上いくらあっても、生命保険料控除などは変わりません。
税金も、変わらないのです。
なので、現実的にいえば、ひとつモレがあっても税金は変わらないこともあるわけです。
(もちろん、モレや計算間違いはご法度ですが…)
でも、すこし気がラクにならないでしょうか。
いずれにしても、保険料の控除証明書さえあれば、ちゃんと計算できます。
その控除証明書は、10月頃からとどきはじめます。
これを無くさないように、気をつけておきましょう。
まとめ
年末調整において、扶養が変わった・保険が書ききれないときのことを確認してきました。
とくに令和6年(2024年)は、扶養の人数が定額減税にも影響してきます。
間違いは、起こり得るもの。
であれば、年末調整をはやめに始めるなど余裕をもっておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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