雨が降りそうで降らなかったときの傘をどう思うか
結局は雨が降らなくて、せっかく持っていった傘をつかわなかったとき。
ちょっと失敗したような気にならないでしょうか。
これが、備えの本質かもしれません。
傘を邪魔に感じるとき
いまは雨が降っていないけれど、あきらかに空がドンヨリしている。
そして、天気予報でも、これから雨が降るといっている。
そんなときは、とりあえず傘をもっていくものです。
まわりに何もないようなところで、傘がないのにザーッときて、ずぶ濡れになるのはイヤですし。
それに、夏の雨はスゴイときがありますもんね。
でも、結局は降らなかった。
となると、きゅうに傘が邪魔に…
もし傘をもっていなければ、もっと楽だった、ほかの用事も済ませてくればよかった…とか。
なにか失敗をしたような気になるときも。少しですけれどね。
ただ、雨が降りそうなときに傘をもっていくのは、濡れないための備えです。
その備えは、雨が降らなければムダに終わるもの。邪魔にかんじるもの。
そして、もしかしたら失敗した気にもなるもの。
備えの本質は、じつはこんなことだったりしないか…と思ったのです。
大げさですが、行動や資源が制限される…というような。
備えは必要とおもえるか
雨が降らなかったのは、空のドンヨリ具合や天気予報からすれば、たまたま…といえます。
もし降っていれば、傘には感謝したはず。
もっていなければ、ずぶ濡れになっていたでしょうから。
ただ、自分の目でみた空や、他人情報である天気予報をあてにせず、傘をもっていかない選択もあります。
どこかで傘を買えばよい。
どこかで雨宿りをすればよい。
あるいは、雨は降らないと信じる。
というようなことが、経営でも起こっていたりしないでしょうか…?
ふだんの生活で雨に濡れるくらいなら、洗って洗濯するなり、体を乾かせば、問題はありません。
たしょうは、かかった時間をムダに感じるかもしれませんけれどね。
でも、経営の場面でずぶ濡れになる。
しかも、自分の目や他人情報から、それなりの予想もできていたとき。
ずぶ濡れが経営において何を意味するのかにもよりますが、たとえば傘をお金におきかえたらどうでしょうか。
つかわない傘というのは、つかわないお金。
それを、なんで持っていなきゃいけないの…と思ったりするでしょうか。
自由にできるお金は、つかいたい…と。
つかわなかった傘は、降っていたときの雨から守ってくれます。
いっぽう、つかわなかったお金は、事業が終わっていたかも…から守ってくれるのです。
事業は、お金が尽きたときに終わるものですから。
もし、そのお金をつかっていれば、楽しいことができたかもしれません。
ひょっとしたら、事業がより発展していた可能性だってあったのかもしれません。
ただ、これは雨が降りそうで降らなかったときのこと。
そして、降る可能性がたかかったときのこと。
こうしたときには、やっぱり備えが必要です。
つかおうと思えばつかってしまえるけど、それでも、つかわずに備えとして持っておくお金が。
どんな備えが必要か
備えとして、具体的にいくらお金が必要なのか…?
これは、経営者や事業により変わるものです。
一般には、月商の数か月分を目安にすることがおおいですが。
ただ、そのお金は、事業がいったんピンチになってから、ふたたび利益を出せるようになるまでの期間をカバーするためのもの。
なので、経営の方法や想定されるピンチ、その業界で普通とされていること、商品やサービスの特性、事業の仕組み、自分の周りにいる人材、ひとつの仕事にかかる期間、お金の出入りのタイミング、取引先との関係、などなど。
こうした多くのことにより、ピンチに陥ってから復活までのシナリオをどう描くか。
それにより、必要な備えは変わってきます。
そのシナリオを経営者が納得できるなら、備えとして持っておくお金はいくらでも良いんじゃないか…といえるほど。
備えをしようとすれば、いまの行動は制限されることもあります。
それに、将来の不安をかんがえれば、キリがないのも事実です。
ただ、お金を用意するのは時間がかかることも知っておきましょう。
きっと、雨が降りそうなとき、傘はすぐにでてきますよね。
でも、お金はそう簡単にはいかない。
だから、普段からすこしづつ…といった風に、気にかけておく必要があるのです。
備えは、つかわなかった傘のようなもの。
つかわないほうが有難いんだけど、それでも持っておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。