会計ソフト入力は「どう思い出すか」もコツの一つ
会計ソフト入力を始めるとき、やり方を忘れてしまっていることに気づくことがあります。
そんなときは、2~3分、思い出す時間を取りましょう。
すると、間違いは減るし、後からの手直しもラクになるはずです。
会計ソフト入力をする前に必要なこと
「え~と、どうやるんだったかな…」
会計ソフトを開いたとき、こんな風に思ってしまうことはないでしょうか。
会計データを入力するとき、ルールは一つだけではありません。
- どんな科目をつかうか
- ある取引を、いつ利益の計算に組みこむのか
- 多少は端折ってもよいところ、よくないところ
こうしたことの中には、会社または事業主それぞれが選ぶことが出来るものもあります。
でも、いちど選んだら、あとは継続して使い続けなければなりません。
そうでないと、場合によっては利益調整ができてしまうので。
たとえ知らず知らずのうちに…であっても、将来に申告をやり直すことにつながってしまいます。
また、あるものを、ある年度では「○○費」、ちがう年度では「△△費」。
こんな風に入力してしまうことも、あるかもしれないですね。
ときには1年度の間で、これらが入り乱れてしまうことも。
すると、あとで「○○はどうだったかな」と自分が気になったとき、各年度の比較などがややこしくなってしまいます。
会計データは、基本的には、自分のためのものなのに。
ただ、収入や経費がのっている損益計算書は、毎年度ゼロからのスタートです。
なので、「○○費」が「△△費」になったくらいでは、大した影響はないかもしれませんね。
いっぽう、貸借対照表は大変です。
たとえば、売掛金。
- 売掛金 ×××円 / 売 上 ×××円
このようなデータを入力したら、いずれ必ず次のデータも入力が必要になってきます。
- 現預金 ×××円 / 売掛金 ×××円
下のデータを入力しないと、いつまでも売掛金が残り続けるので。
でも、よくあるのが次の間違いです。
- 現預金 ×××円 / 売掛金ではなく売上 ×××円
この間違いを防ぐには、「売掛金があること」を知っていなければならない。
損益計算書とはちがい、売掛金などがのっている貸借対照表は、毎年度ゼロからのスタートではありません。
事業を始めてから止めるまで、ずっと累積していくのです。
なので、間違いを直すのも大変。
くわえて、うえの例のように「売掛金ではなく売上」としてしまえば、利益まで変わってきます。
会計ソフトの入力をはじめるときには、「どんな科目を使うか」などのルールだけでなく、売掛金などがのっている「貸借対照表にはどんなものがあったか」も知っておく必要があるのです。
もちろん、ずっと「知っておく」状態を維持するのはムリ。
なので、忘れたなら、思い出す必要があるわけです。
どう思い出すか
思い出すには、過去のデータを見るしかありません。
会計データが日付順にならんでいるものが、仕訳帳または仕訳日記帳。
これを、過去1か月分くらいをササッと眺めてみる。
新年度になったばかりなら、前年度のものを。
すると、どんな科目をつかっていたかは把握できます。
そして、試算表。
これは、その時点の貸借対照表や損益計算書にあたるものです。
多くの会計ソフトでは、この試算表にならんでいる科目をクリックすると、そこまでの履歴を見ることができます。
それにより、売掛金などが、どんな相手に、いくらあったか。
このような情報が分かるのです。
こうした情報を見てから会計ソフトの入力をすると、最初の「え~と、どうやるんだったかな…」はかなりハッキリしているはずです。
とはいえ、100%ではないかもしれませんね。
ここまで読んでいただいてなんですが。
じつは、思い出すのも大事ですが、入力後のチェックも大事なのです。
わたしが会計ソフト入力をするときは、ここまで書いてきた思い出す作業はもちろんします。
でも、入力した後で、試算表をひらき、すべての科目もチェックします。
すべてが合っている状態になるまで。
そして、次の入力をするまで、いったんは忘れます(忘れてしまいます)。
普段から気にしていることは除きますし、「いつもと違う」とか「増えている・減っている」「変えたほうが良さそう」「確認しなきゃ」など忘れない大事なことはありますけれどね。
また、1ヶ月毎など小まめに入力をしていれば、忘れたくても忘れられない面もあったりします。
ただ、100%知っている・あるいは覚えている状態は、維持できるものではありません。
忘れてもよい。
代わりに、入力する前には思い出す必要がある。
こんな風におもっておけば、会計ソフト入力のハードルも少し下がるかもしれませんね。
税金があるので、会計ソフト入力はどうしても必要になってしまいます。
その入力で間違いをなくすためには、はじめる前に思い出す時間もとってみましょう。
まとめ
会計ソフトを開いたとき、「え~と、どうやるんだったかな…」と思うのは自然なことです。
そのときに、ハッキリしないままゴリ押しすると、間違う原因になってしまいます。
過去のデータを見ることで、入力方法を思い出し、入力の後でもチェックする。
すこし思い出す時間をとるのが、会計ソフト入力のちょっとしたコツです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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