法人税申告書が出来上がるまでの流れとかかる時間
税理士に依頼をしたときの、法人税申告書ができあがるまでの流れや時間について確認しましょう。
書類を渡せば翌日には……だったらよいのですが、時間や協力も必要です。
期限があることなので、逆算してスタートを見積もっておきましょう。
目次
法人税申告書が出来上がるまでの流れとかかる時間
法人税の申告・納付は、年度が終わってから「2か月以内」におこないます。
この期限をすぎてしまうと、罰金がかかります。
また、2期連続で期限をすぎてしまうと、青色申告が取り消されてしまいます。
なので「2か月以内」ギリギリではなく、少しは余裕をもって申告・納付をおえたいところです。
「振り返り」もしたいですし。
その申告について。
法人税の申告書は、つぎの流れでつくられます。
- 会計データをつくる(消費税の申告書をふくむ)
- 法人税の申告書をつくる
- 会計データを完成させる
- 添付書類をつくる
- 納付書をつくる
いろんなことが同時進行でおこなわれるのですが、それぞれ何をするかを確認しましょう。
なお、かかる時間は、それぞれに織り込んでおきます。
会計データをつくる(消費税の申告書をふくむ)
会計ソフトに入力された、その年度の会社のすべての取引。
これが会計データです。
なお、「今期」の会計データには「今期に対応する法人税」も入力します。
未払いであっても。
なので、法人税の申告書ができてから、また戻ってくることになります。
この法人税をのぞいた他のすべての入力がおわれば、消費税の申告書もつくることができます。
法人税などの税金には、消費税がかかりません。
なので、あとで会計データに追加をしても、消費税の納税は変わらないのです。
(もちろん、免税事業者は消費税の申告書はつくりません)
法人税をのぞいた会計データをつくるのに、最大の壁になるのが次のものです。
- 年度末までの収入で、まだ入金されていないもの
- 年度末までの経費や固定資産の購入などで、まだ支払っていないもの
これらの「資料あつめ」が最大の壁なのです。
極端な話、これらの資料がととのえば、その翌日にも会計データはできあがります。
でも、取引先から送られてくるのに時間がかかるものも、多くあります。
なので、翌年度の1か月目くらいの口座履歴をまるまる確認することも多いです。
締め日のつごうによっては、翌年度の2か月目の上旬まで。
もし「なんらかのモレ」があれば、あとで訂正することになってしまいます。
焦らずに、1か月くらい待ってから会計データをつくるのが、かえって安全といえるでしょう。
法人税の申告書をつくる
法人税の申告書は、会計データをもとにつくります。
会計データができていなければ、法人税の計算もできないのです。
その会計データでは、利益はつぎのように計算されます。
- 収入ー経費=利益
この利益にたいして法人税がかかるわけですが、実際はすこし異なります。
つぎのように計算するのです。
- 益金ー損金=所得
- 所得×○○%=法人税
収入にあたるものが益金。経費にあたるものが損金。
それぞれよく似ていますが、似て非なるもの。
さきに収入と経費を集計し、法人税の計算では、違いだけを調整する。
このような仕組みになっています。
なので、先に会計データをつくりますし、申告書もそれを前提に様式がさだめられています。
この申告書をつくるには、会計データができてから1週間ていどは欲しいところです。
実際は、収入と益金のちがいなどを前もって把握しています。
そのため、会計データができた翌日にも、できると言えばできるのです。
でも、ときには税務上の複雑な特例があったりします。
そしてなにより、「再チェック」をします。
この再チェックをするために、できれば「自分がつくったものを忘れたい」のです。
ちなみに、ここまでずっと「法人税」で通してきましたが、ほかの税金もあります。
「住民税と事業税」です。
でも、この2つは法人税と似たような計算体系ですし、同時進行で計算します。
「法人税」とは、「法人税、住民税、事業税」がまとまったものだと捉えてくださいね。
ここまでにかかる時間をまとめると、次のとおりです。
- 会計データ・消費税申告書……1か月ていど(資料の集まりにより変わります)
- 法人税の申告書……上記のあと1週間ていど
会計データを完成させる
法人税の申告書ができたら、会計データに追加をします。
今期の法人税を入力するのです。
これで、会計データは「完成」です。
それから、「決算書」をつくります。
決算書とは、次のものの総称です。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 注記表
(上場していない会社の場合、キャッシュフロー計算書は不要です)
この決算書は、会計ソフトのボタン一つでつくることができます。
なので、法人税の申告書ができたら、おなじ日に完成させることができるのです。
かかる時間は、無視しましょう。
添付書類をつくる
法人税の申告書には、つぎの添付書類が必要です。
- 法人事業概況説明書
- 勘定科目内訳明細書
法人事業「概況説明書」は、その名のとおり、事業の内容を「ざっくり」記入するものです。
さほど時間はかかりません。
勘定科目「内訳明細書」には、売掛金などが「だれに・いくら」あるかなどを記入します。
必要な情報は、会計データをつくるときに集めます。
これら2つとも、会計データをもとにつくるものです。
なので、その会計データが完成すれば、その日のうちにつくることができます。
もちろん、前もって進めておくという前提ですが。
これらを単体でつくるなら、会計データの内容により、あるていどの時間はかかります。
でも、実際は同時進行でいろいろやるため、ここにかかる時間は無視しましょう。
納付書をつくる
納付書をつくるといっても、計算された法人税を書き写すだけです。
なので時間はかかりません。
でも、税理士から郵送されるときは、翌日配達がないことに注意しておきましょう。
なお、令和6年(2024年)5月からは、税務署から納付書が郵送されることはなくなります。
- 源泉所得税、消費税の中間の納付書をのぞく
- これまで紙で提出していた方ものぞく
「紙」の納付書がほしいときは、ご自身または税理士が税務署へ行かなければならないのです。
慣れを変えるのには、ハードルがあるものです。
前もって、インターネットバンキングなどキャッシュレス納付について調べておきましょう。
まとめ
税理士に依頼をしたときの、法人税申告書ができあがるまでの流れや時間について確認してきました。
書類を渡せばすぐにできるものではなく、標準的には1か月程度はかかるものだと思いましょう。
決算時には、いろんなことが同時進行でおこなわれます。
申告だけではなく、新年度の見通し・予測も、同時にやりましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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