令和8年度税制改正大綱のうち身近なもの
今回の税制改正大綱のうち、中小企業やフリーランスにとって身近なものを3つ確認しましょう。
多くのかたにとって減税になるはずです。
令和8年度税制改正大綱より
今回の税制改正大綱のうち、中小企業やフリーランスのかたにとって身近なものを3つ確認しておきましょう。
- 物価高への対応
- インボイス制度
- 少額減価償却資産
物価高への対応
個人の税金である所得税において、給与所得控除と基礎控除が引き上げられました。
つまり減税です。
これにより所得税がゼロになる年収の壁は、いま「160万円」のところが「178万円」に。
また、基礎控除の引き上げにより、所得が655万円までなら減税になります。
あわせて、税金における扶養になるための要件も引き上げられています。
配偶者控除や扶養控除をうけるときの条件である所得は、いま「58万円」のところが「62万円」に。
これらの改正は令和8年から適用される見込みですが、基礎控除はとりあえず令和8年と9年のみ…とのこと。
また、所得税ではなく住民税では、給与所得控除の改正はあるものの、基礎控除は改正されていません。
たとえば会社を経営されているなら、家族の給与も気になるかもしれませんね。
もうすぐ令和8年ですから、つぎに役員報酬などを変更するときは、今回の改正が影響するはず。
そのときには、税金より社会保険のほうが大きいかも…ということも忘れずに。
インボイス制度
「個人事業主」のかたは、令和9年からは原則か簡易課税のどちらかを選ぶことになっていました。
それが、令和9年と10年は「3割特例」も選ぶことができるようになります。
売上の消費税の「3割」が納税額になる…という方法です。
「じつは原則のほうがトクだった」という可能性に気をつけつつ、方法を選ぶようにしましょう。
また、免税事業者への支払いについては、いま「80%」を控除できます。
その後は「50%→0%」と推移する予定でしたが、「70%→50%→30%→0%」と変わる。
より影響を緩和するように改正される見込みです。
少額減価償却資産
いま「30万円未満」のモノなら、使いはじめた年度で、すべて経費にできる特例があります。
ほんらいなら減価償却により、複数の年度ですこしずつ経費にしていくところを。
この特例が「40万円未満」のモノまでつかえるようになります。
「いつから」は明示されていないのですが、来年にはわかる見込み…と。
なお、単価10万円以上のモノは、基本的に、償却資産税(固定資産税のこと)の対象になります。
この特例をつかうときも、おそらく対象になるはず。
ただ、対象になるものがあるからといって、すぐに償却資産税が発生するわけでもないのです。
所得税がゼロになる年収の壁のように。
その境目を免税点といいますが、いま「150万円」のところが「180万円」にふえる、より償却資産税がかかりにくなる見込みです。
「30万円未満」あるいは「40万円未満」の特例をつかっても・つかわなくても。
トータルでみれば経費になる金額は変わりません。
いっぽう償却資産税は、免税点をこえる・こえないで、永久に税金が変わります。
だから、償却資産税はなるべくかからないようにする…という視点ももっておきましょう。
減税は嬉しいですが
今回の税制改正大綱では、とくに基礎控除により、はばひろく減税がされています。
ただ、じつは税金よりも社会保険のほうが高かったりしないでしょうか。
少子高齢化をかんがえれば、しょうがない…とも分かるんですけれどね。
もし、それなりに収入が増えるなら、社会保険のキツさも緩和されるはずのところ。
ひょっとしたら、収入を増やすときの壁になっているものの一つに、消費税があるかもしれません。
消費税が存在しないとしたら「100」のものは、ほんらい「110」で売るべきもの。
でも、企業間の値下げ競争とか、お客さまとの交渉とか。
そうしたことで「110」のものが「108」とか「105」で売られているのが現状かもしれません。
たとえば売り値をみても「110の倍数」になっているものは、あんがい少ないですからね。
でも、かりに「108」などで売ったとしても、それは「110%」。
税抜きで見れば「98」くらいになるのです。
足りない分は、売る側が負担している。
つまり、消費税が存在しないとしたときよりも、利益は減ることになるのです。
そのツケは、人件費に及ぶかもしれません。
また、会社が負担する社会保険もありますからね。
こうしたことを乗り越えて収入や利益を増やせるなら、消費税や社会保険も大した問題ではありません。
ただ、日本全体をみたとき、実質賃金はどうでしょうか。
あまり「増えた」というニュースは聞かないはず。
ということは、収入はふえないのに、消費税や社会保険だけふえた…というかたもいるはずです。
収入をふやせるなら、それが一番いいのかもしれないですね。
でも、それはとても難しいこと。
であれば、たとえば「免税だから消費税はとらない」などは、すこし考えてみるようにしましょう。
支払いの消費税が減るなら道理はたちますが、そうではないはずですし。
また、難しいとは知りつつも、それでも収入を得る方法を考えてみるものよいかな…と。
そのためには、考えたり試すため時間も必要です。
その時間をつくるためには、「何をやらないか」という視点があんがい大事。
行動のたな卸し…と言うんでしょうか。
ある行動を止めるなり少なくする。それで時間をつくる…と。
減税は嬉しいですが、税金をかんがえることが、収入や利益そして行動などに蓋をするようなことってあります。
「税金がふえるなら止めておこうかな…」と。
収入や利益そしてお金を増やそうとするときは、そうしたことにも用心してみましょう。
まとめ
令和8年度税制改正大綱から、ひかくてき身近なものを確認してきました。
この改正は、3月ごろまでには確定する見込みのもの。
今回は減税になる方も多いとおもいます。
あれこれ書きましたが、減税になればやっぱり嬉しいものですね。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。

