所得税や法人税の申告を間違っていたときの直し方
税金の申告書は、間違いがあっても受け付けられてしまいます。
その間違いに気づいたときの直し方についてみていきましょう。
申告は間違っていても受付される
所得税や法人税、消費税は自分で税金を計算します。
その申告は、間違いがあっても受け付けられる・受け付けられてしまいます。
お役所にだす書類は、キッチリしていないとダメだと思いがちです。
でも、申告は間違っていても受け付けられるのです。
ただし、よほどの間違いがあるときは、話が変わります。
一目でわかる計算間違いや、書類が足りないとき。
間違いが、とくに税金の還付や特例にからんでくるときは、早めに電話かハガキで連絡がきます。
もし連絡がこなければ、間違いは自分で気づくか、税務調査にて発見されることになります。
このことは、ある意味、特殊といえます。
たとえば、不動産の名義変更(登記)。
なんらかの間違いや足りない書類などがあれば、間違いなどがなくなるまで名義変更はされません。
また、助成金や給付金などの申請。
これも、間違いなどがあれば、申請がとおらず、助成金などがもらえない結果となって終わります。
自分で自分の税金を計算できるということは、とてもおおきな権利です。
だれかに勝手に計算されるなんて、イヤですよね。
でも、その権利のデメリットが「間違いに気づきにくい」ことかもしれません。
もし、申告が間違っていれば、税金もほんらいより多かった・少なかったということになります。
ほんらいよりも多かったのなら、取り戻したいもの。
ほんらいよりも少なかったのなら……
税務署にバレる前に、あえて自分から手直しをすることで罰金を減らすことも可能です。
申告を間違っていたときの直し方について、みていきましょう。
申告を間違っていたときの直し方
申告の直し方には、つぎの3つの方法があります。
- 訂正申告(期限内に気づいたとき)
- 修正申告
- 更正の請求
訂正申告(期限内に気づいたとき)
申告の期限内に間違いに気づいたときは、その「期限内に」2つめの申告書をだすことができます。
間違いのない正しい申告書をつくり、だし直すのです。
このとき、2つめの、後からだしたものが有効とされます。
2つめの申告書の上部に「訂正申告」と赤書きしておくと伝わりやすいです。
また、1つめの申告書のコピーを添付しておくと、なお良いです。
もし、追加で税金をはらうことになるなら、提出とおなじく期限内にはらっておきましょう。
期限をすぎれば延滞税の対象になるので。
いっぽう、還付になるときは、税務署に連絡しましょう。
- 最初にうけた還付をかえすケース
- 追加で還付をうけるケース
どちらのケースでも、税務署での処理がどの段階かにより、訂正申告できないことがあります。
あとで説明する手続きをおこなうことになるかもしれないのです。
また、「最初にうけた還付をかえす」ときは、べつに精算の手続きもおこないます。
このように還付の場合はややこしいので、なるべくスムーズにことがはこぶように、電話や窓口で「2つめの申告書をだしたこと」を伝えておくのが安心です。
修正申告
申告の期限後に、つぎの間違いに気づいたときは修正申告をしましょう。
- 最初にはらった税金がすくなかった
- 最初の申告での赤字が、正しいものよりも大きかった
自分にとって不利になるように、申告をだし直すわけです。
税金を、追加ではらうケースです。
そのメリットは、罰金がかるくなる可能性があることです。
修正申告をせずにいて、税務署から「間違っている」といわれたときの罰金よりも。
また、間違っていることに気づいたら、「税務調査がきたらヤバいな…」と思うものです。
そのドキドキも減らせることになります。
更正の請求
申告の期限後に、つぎの間違いに気づいたときは更正の請求をしましょう。
- 最初にはらった税金がおおかった
- 最初の申告での赤字が、正しいものよりも小さかった
自分にとって有利になるように、手続きをするのです。
税金を、還付してもらうケースです。
ただし、期限がもうけられています。
更正の請求ができるのは、原則として、もともとの申告の期限から「5年以内」です。
知っておきたいのは、この手続きをすれば100%還付されるわけではない、ということです。
更正の「請求」なので、税務署で「審査」をし、問題なければ還付という流れになっているのです。
そのため、更正の請求をするときは、根拠となる証拠も提出します。
経費にモレがあったのなら、その領収書を。といった風に。
また、書類も気をつけて作るようにしましょう。
まとめ
所得税や法人税、消費税の申告が間違っていたときの直し方についてみてきました。
税務署は、「税金がすくないですよ」としか言いません。
「税金を余計にはらっていたこと」は、自分で気づかないと永遠にそのままです。
なので、申告の「控え」はかならず残しておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
当事務所のサービス