領収書や契約書に貼る印紙を安くできる場合

どんな方法をとれば、印紙を安くできる可能性があるのか…みていきましょう。

 

いくらの印紙が必要か

領収書や契約書は、そこに書かれている金額におうじて、印紙を貼らなければなりません。

領収書について一部を抜粋すれば、次のとおり。

金額 必要な印紙
5万円未満 0円(非課税)
5万円以上 100万円以下 200円
100万円超 200万円以下 400円
200万円超 300万円以下 600円
300万円超 500万円以下 1,000円
※ 以下、必要な印紙が最大20万円まで、こまかく分かれています。

 

 

いっぽう、請負の契約書なら、次のとおり。

契約金額 必要な印紙
100万円以下 200円
100万円超 200万円以下 400円
200万円超 300万円以下 1,000円
300万円超 500万円以下 2,000円
500万円超 1,000万円以下 10,000円

※ 以下、必要な印紙が最大60万円まで、こまかく分かれています。

  また、建設工事については、当面の間、印紙が軽減されています。

 

 

領収書や契約書は、もととなる取引に、将来トラブルが起こらないように作るものです。

そして、その取引には、それなりのお金がうごく。

そうした場面で「貼らなければならない」と登場するのが、印紙です。

つまり、その取引にかかる税金なのです。

これを、印紙税といいます。

 

なので、貼らなければならない印紙を貼っていなければ、罰金もかかります。

この罰金を過怠税といいますが、その金額は、ほんらい貼るべき印紙の2倍です。

もし、印紙を貼っていないことが指摘されれば、ほんらいの分と併せて払うことになってしまいます。

ほんらいの分をふくめれば、3倍のお金が出ていくわけです。

 

また、印紙を貼ったら、消印もしなければなりません。

この消印を忘れた場合も、過怠税がかかります。

貼り忘れたときとは違い、1倍(ほんらい貼るべき印紙と同じ金額)で済みますが、忘れないようにしましょう。

手元に印鑑がなければ、署名でも良いので。

 

こんな印紙税ですが、安くできる場合があります。

 

印紙を安くできる場合

つぎの方法により、印紙を安くできる場合があります。

  • 消費税を区分して記載する
  • 契約書は1通のみ+コピー
  • 電子契約書にする

 

消費税を区分して記載する

印紙は、税込み・税抜きのどちらで判断するのか…?

もし、税込みでしか記載されていなければ、税込みで判断するしかありません。

ですが、消費税が区分して記載されているとき、または税込み・税抜き双方があることにより消費税が明らかなときは、税抜きで判断することができます。

すると、印紙が安くなるかもしれない。

 

たとえば、次のように記載すれば「1,000万円」で判断することができます。

(図は国税庁HPより転載。以下、同じ)

 

また、次の方法でも、簡単に消費税を計算できるので「1,000万円」で判断できます。

 

いっぽう、次の方法だと、消費税も税抜き金額もわかりにくい…

このような場合は、税込みである「1,100万円」で判断することになってしまいます。

 

また、領収書をつくるときは、次の方法がよいでしょう。

インボイスを発行しているかたは、その要件も満たしたうえで。

うえの3つよりも分かりやすいうえ、消費税は区分されています。

この例では、税抜きである「48,000円」で判断することになり、印紙は非課税ですみます。

 

契約書は1通のみ+コピー

契約書をつくるときは、通常、双方が1通ずつ原本を保管しておくものです。

あわせて2通つくるのが、一般的なのです。

 

このときに、原本は1通だけつくり、片方はコピーにする…という方法もあります。

署名などがすんで完成した契約書のコピーをとるのです。

そのコピーには、印紙を貼る必要がありません。

(コピーに「この写しは原本と相違ない」趣旨のことを書くと、原本とおなじ扱いになってしまいます)

 

ただ、相手となんらかのトラブルになったとき、そのコピーを原本だと言うことはできないでしょう。

また、相手が契約書を無くしてしまったら、原本はどこにもない…ことになります。

なので、相手との関係をふまえて、検討しましょう。

 

電子契約書にする

印紙税は、原則として「紙」でつくられたものにかかります。

データには、かからないのです。

なので、契約書は電子でつくれば、印紙税がかかりません。(今のところは)

 

ただ、印紙税は、ある取引でうごくお金や法律面の安定性を背景に、設けられているものです。

なので、趣旨からすれば、印紙税がかかってもおかしくはないものです。

ここに、いつか残念な税制改正がはいってしまう余地はあります。

 

また、契約によっては「紙」でつくらなければいけない契約書もあります。

たとえば、建設工事や宅地建物取引業法で定められているもののように。

 

さらに、電子契約書をつくるためには、多少の出費が必要かもしれません。

電子署名やタイムスタンプをするためのサービスも、料金がかかるので。

…ということをふまえて、電子契約書も検討してみましょう。

 

まとめ

領収書や契約書に貼る印紙を安くできる場合について、みてきました。

今回とりあげた方法をつかっても、安くならない場合もあります。

でも、ちりも積もれば…、あるいは、いつかは…と思って、気にしておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。