お祭りなどイベントの協賛金:経理には4つの可能性がある

  • どんな科目を使えばよい?
  • 税務上のメリット・デメリットとかあるの?

 

お祭りなどイベントの協賛金は、名目にかかわらず、どんな内容なのか?で経理の方法を判断します。

広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費の4つの可能性が考えられますが、それぞれの違いを解説します。

 

広告宣伝費

  • お祭りの会場に、会社名や商品などの情報が掲載されている
  • お祭り案内やパンフレット、ホームページに会社名などが掲載されている
  • イベント中に、会社名などがアナウンスされる

 

このような場合は、広告宣伝費として経理します。

広告宣伝はなにかを売るために行うものなので、広告宣伝費になるかどうかのポイントは、会社の情報が「多くの人の目にとまるかどうか」です。

 

協賛金と聞くと、まずは広告宣伝費にならないか、と考えてしまいます。

というのも、他の科目にあるようなデメリットを一切うけないからです。

もちろん嘘はご法度なので、あくまでも実態があるときですが。

 

また、実態があるとはいえ、予定している参加者がすくなかったり、費用対効果が見合っていないときは「売る」という目的が果たせないので、違う科目を検討しましょう。

 

<消費税は?>

消費税は、モノを買った・借りた、サービスを受けたときにかかります。

広告宣伝費は、広告宣伝というサービスを受けるため、消費税がかかります。

 

交際費

  • 取引先のイベントのため、協賛金を支払った

 

得意先などがイベントをする際には、金銭面ですこし協力してくれないかな、手伝ってくれないかな、ということがあります。

断れない、しょうがない、という面もありますよね。

取引先に恩を売るかわりに、後日の売上につなげる、という目的のものです。

このような場合は、交際費として経理します。

 

ただし、広告宣伝としての目的も果たせる場合は、広告宣伝費として経理することを検討しましょう。

というのも、交際費は年間800万円までしか経費にならないからです。

 

広告宣伝費と交際費は、どちらも将来の売上につなげる、という共通点があります。

違いは、誰を相手にしているか、にあるのです。

  • 広告宣伝費……不特定多数のかた(一般消費者ともいいます)
  • 交際費……特定のかた

 

判断に迷うときも多いので、なるべく多くの資料を残しておきましょう。

経理を誰かに頼んでいるときは「これってどんな内容ですか?」と聞かれるはずですよ。

 

<消費税は?>

なんらかのサービスを受けたと言えるときは消費税がかかりますが、そうでないときはかかりません。

領収書のうえでの名目だけで判断はできないのです。

 

寄付金

  • 協賛金を支払ったが、とくに見返りはない
  • お祭りやイベントの会場や資料などに、会社の情報は掲載されない
  • 支払ったのは、取引先ではない

 

このような場合は、寄付金として経理します。

匿名で、世のため人のためにお金をだす、というイメージのものなので、「見返りがない」というのがポイントです。

 

寄付金で気をつけたいのは、支払ってもほとんどが経費にならない、という点です。

資本金や利益をベースに細かい計算式があるのですが、ほとんど経費になりません。

「どうせ税金でとられるなら、寄付しちゃえ」となると、税務署としては困るからです。

そこで、オリンピックのように、国や地方自治体に寄付をするときはすべて経費になる、という例外も設けられていたりします。

 

<消費税は?>

なんらかの見返りがなく、サービスを受けたとは言えないため、消費税はかかりません。

 

諸会費

  • 普段から加入している団体に、協賛金という名目で会費を支払った
  • そのイベントに参加はしない
  • 広告宣伝費、交際費、寄付金のいずれにもあたらない

 

このような場合は、諸会費として経理します。

必須とまでは言えなくても、事業に関係してある団体に加入することがあります。

そこで、協賛金という名目で会費を支払うこともありますが、実際は何に使われたのかよくわからない……というようなケースが該当します。

なので、協賛金が諸会費になるケースは少ないかなと体感しています。

 

<消費税は?>

はっきりとサービスを受けたとは言えないため、消費税はかかりません。

 

まとめ

お祭りなどイベントの協賛金を支払ったときは、広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費の4つの方法があることを解説しました。

税務上のデメリットを受けないためには、広告宣伝費がよいのですが、実態により判断する必要があります。

 

支払いは投資ともいえるので、それで何を得るのか?という視点が必要です。

とはいえ、売上や数字のことばかりではなく、余裕というか遊び心のようなものも必要かもしれませんね。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。