サッカーも経理も守りが大事

サッカーのユーロで優勝する国は、もれなく守りが固いです。

事業における守りは経理ということを意識しているでしょうか。

 

ユーロで優勝する国は守りが固い

ユーロとは、4年に1回おこなわれるサッカーのヨーロッパ選手権のことです。

このユーロは、おなじく4年に1回おこなわれるワールドカップにくらべ、肉体的・体力的・戦術や戦略的・駆け引きそして勝ちが計算できる試合がすくない点(最近はそれほどでもないですが)において優勝するのが難しいと言われています。

 

サッカーは、ヨーロッパや南米で盛んです。

ヨーロッパにおいてサッカー選手は、それぞれの国で1年をつうじておこなわれるリーグ戦に参加するクラブに所属し、まずは、このリーグ戦で優勝することをめざします。

 

日本人でもヨーロッパのクラブに所属している選手はいますが、それぞれの国で「所属してよい外国人は2人~5人程度」とされる外国人枠があるため、けっこうな狭き門なのです。

しかし、この外国人枠は、EU加盟国の国籍をもつ選手には適用されません。

 

そのため、ヨーロッパのリーグ戦には、おなじヨーロッパのいろんな国の選手が入り乱れるようなことになっています。

その結果、ユーロに参加する国同士、おたがいの選手をとてもよく知っている状態になるのです。

おたがいの手の内をよく知っている。これもユーロに優勝するのが難しいといわれる所以です。

 

さらに、リーグ戦で上位に入ったクラブは、翌年におこなわれるチャンピオンズリーグなどに参加できます。

もともとは、それぞれの国のリーグ戦のチャンピオンしか参加できなかったため、とんでもなく狭き門でしたが、興行面のことなどあったのでしょうか、参加できるクラブが増えてきています。

ここまでくると、お互いをよく知っているレベルではなく、研究に研究をかさねて特徴などは熟知されているといってよいでしょう。

 

そんな選手同士が参加するのがユーロですが、2000年くらいから順にみていくと優勝する国はもれなく守りが固いです。

 

2000年開催 優勝:フランス

フランスの優勝までの成績は、次のとおりです。

  相手国 試合結果
グループリーグ デンマーク 3-0
グループリーグ チェコ 2-1
グループリーグ オランダ 2-3
準々決勝 スペイン 2-1
準決勝 ポルトガル 2-1
決勝 イタリア 2-1

 

フランスは、この2年前の1998年のワールドカップでも優勝しています。

ユーロに参加した選手もそのときのメンバーが中心となっていますが、のちにアーセナル(イングランドのクラブ)でリーグ戦を無敗優勝したときの守りのかなめであるヴィエラは、このユーロではどちらかというと控えにちかい選手でした。

(リーグ戦を無敗優勝するのはおそろしく難しいことであり、伝説といえます)

また、世界一の呼び声たかいレアルマドリードというクラブで、2000年頃に守りのかなめをつとめたマケレレは、このときのユーロでは代表に選ばれてもいません。

 

このときのフランスにはジダン(おそろしく上手い選手です。そのスゴさを知るには動画の切り抜きではなく、1試合まるまる見なければなりません)がおり、守りの選手が相手からうばったボールをとりあえずジダンにあずけるのが、フランスの戦略でした。

あとはジダンがなんとかする……と。

そんなジダンがいながら、「問題は前へいくほどおおい」といわれていたのがフランス代表でした。

それくらい、守りが固かったのです。

 

※ オランダに2-3で負けたときは、グループリーグの勝ち抜けがきまっており控え中心の選手でいどみました。

 

2004年開催 優勝:ギリシャ

ギリシャの優勝までの成績は、次のとおりです。

  相手国 試合結果
グループリーグ ポルトガル 2-1
グループリーグ スペイン 1-1
グループリーグ ロシア 1-2
準々決勝 フランス 1-0
準決勝 チェコ 1-0
決勝 ポルトガル 1-0

 

ギリシャは、ヨーロッパの中ではけっしてサッカーが強い国ではありません。

ダークホースだったといえます。

 

ですが、サッカーはチームのスポーツです。

そして、サッカー選手は所属しているクラブでおもに活動しています。

国の代表チームには、そのクラブの合間をぬって招集されるため、場合によっては代表チームよりもクラブのほうが連携面ではよいこともあります。

 

そんな連携面での長所もありましたが、なによりも準々決勝からは無失点で切り抜けています。

点を取られなければ負けない。

勝つためには固い守りが大事なのです。

 

2008年開催 優勝:スペイン

スペインの優勝までの成績は、次のとおりです。

  相手国 試合結果
グループリーグ ロシア 4-1
グループリーグ スウェーデン 2-1
グループリーグ ギリシャ 2-1
準々決勝 イタリア 0-0(PK)
準決勝 ロシア 3-0
決勝 ドイツ 1-0

 

スペインは、伝統でもあるこまかいパスをつなぐ華麗な戦法が、このときから花を咲かせます。

(このあとの2010年のワールドカップ、つぎの2012年のユーロでも優勝します)

 

パスをつなぎながら、ずっと自分たちでボールをもっている状態をつづけるのがスペインの戦法でした。

相手からするとボールをもてないわけで、すると攻撃のチャンスもない。

とはいえチャンスがゼロでもないので、そこで守りの固さが活きてきます。

サッカーをよく見ている人ならわかる、そうそうたる選手がいたのです。

 

前回の優勝国ギリシャとおなじく、準々決勝からは無失点で切り抜けています。

サッカーは一見すると点が入りにくいように見えますが、無失点で終えるのも意外にむずかしいのです。

 

2012年開催 優勝:スペイン(連覇)

今回のスペインの優勝までの成績は、次のとおりです。

  相手国 試合結果
グループリーグ イタリア 1-1
グループリーグ アイルランド 4-0
グループリーグ クロアチア 1-0
準々決勝 フランス 2-0
準決勝 ポルトガル 0-0
決勝 イタリア 4-0

 

このときのスペインは、守りのかなめともいえるプジョルがケガで出場できませんでした。

それにもかかわらず、大会をとおしての失点は1点だけ……

圧倒的に突き抜けていたのです。

 

かわらず自分たちでボールを持ち続けることにより、相手に攻撃のチャンスをあたえない戦法でした。

攻撃の華麗さに目を奪われがちですが、それも守りの固さがあってのこと。

2008年のユーロからメジャー大会を3連覇しましたが、おそろしくスゴイことです。

1回優勝するだけでも、相当大変なことなのに。

この先に同じことをできる国がでてくるか……

 

2016年開催 優勝:ポルトガル

ポルトガルの優勝までの成績は、次のとおりです。

  相手国 試合結果
グループリーグ アイスランド 1-1
グループリーグ オーストリア 0-0
グループリーグ ハンガリー 3-3
ラウンド16(準々々決勝) クロアチア 1-0
準々決勝 ポーランド 1-1(PK)
準決勝 ウェールズ 2-0
決勝 フランス 1-0

 

ポルトガルは、これまで優勝経験こそないものの、常に強いチームでした。

これまでの優勝国の戦歴をみてもらうと分かりますが、けっこう「あと一歩」のところにいるチームだったのです。

 

それが今回は、絶対的なエースであるC.ロナウドを得ましたが、守りも面でもペペという「おっかない人」を得たのです。

ペペはもちろん技術など選手として一流ですが、「この人とはトラブルになりたくないな」という感じの闘志あふれる選手です。

くらいついたら離さない感じの。

 

もちろん彼だけではありませんが、それが試合結果にもあらわれています。

「絶対に負けない」→ 引き分けは負けとは言わない

1試合たりとも負けていません。

しかも決勝は、開催国であり圧倒的な応援をうけていたフランスだったのに。

守りは勝つためでもありますが、「負けない」という意識も大事なのです。

 

2020年開催 優勝:イタリア

イタリアの優勝までの成績は、次のとおりです。

  相手国 試合結果
グループリーグ トルコ 3-0
グループリーグ スイス 3-0
グループリーグ ウェールズ 1-0
ラウンド16(準々々決勝) オーストリア 2-1
準々決勝 ベルギー 2-1
準決勝 スペイン 1-1(PK)
決勝 イングランド 1-1(PK)

 

イタリアは、伝統的に守りが固い国です。

周りにある他の国とは、あきらかに一線を画しています。

 

どうして、隣同士の国でここまで戦法がちがうのか……?と思えるくらいちがいます。

もちろん攻撃面ですごい選手もこれまで何人もでてきてきますが、なぜか代表チームになると守りが固い印象になる。

けっして隣のフランスやスペインのように華麗な戦法はとらないのに、それでも勝つ。

それも守りの固さがあってのことなのです。

 

このようにユーロで優勝する国は守りが固いものですが、その重要性は経理においても同じです。

 

経理における守り

経理における守りとは、たとえば次のようなことです。

  • 資金繰りで困らない
  • 損益分岐点を下回らない(赤字にならない)

 

それぞれ順にみていきましょう。

 

資金繰りで困らない

資金繰り、つまりお金のことで困らないというのは「お金が足りなくならない」ことです。

 

たとえば、「とつぜん税金の納付書がとどいた」なんてビックリしますよね。

あるいは「今月の借入金の返済ができない」というのも困りますよね。

これらは、予想していなかったことが起きたり、みえているのに手を打たなかった結果で起きてしまうことです。

 

守るためには「先を見ていなければならない」のです。

流れに身をまかせてしまえば、とっさのときに対応が取れません。

 

将来の予測をするというと、むしろ事業を拡大したり、売上や利益をふやすためにおこなうものと考えがちです。

でも、これは守りのためでもあるのです。

 

会社のお金が足りないから社長がお金を都合することは、時にはあるかもしれません。

これは、サッカーでいえば1点とられたのと同じです。(分かっているのなら別の話かもしれませんが…)

1点を取り返す方法はその場その場の状況により変わりますが、繰り返さないようにしましょう。

 

損益分岐点を下回らない(赤字にならない)

損益分岐点とは、利益がちょうどゼロ円になる売上高をいいます。

これを下回れば赤字ですし、上回れば黒字になる。

そんな売上高です。

 

この損益分岐点は、事業をつづけていくために最低限必要な売上高といえます。

赤字になれば、お金は減っていく。

お金が減っていけば、お金が足りなくなる場面がでてくる。

最終的にまっているのは、倒産です。

なので、「最低限どれくらいの売上が必要か」はつねに意識しておかなければならないのです。

 

もちろん売上には波があるでしょうし、欲しいからといって取れるものでもありません。

でも、そんなときは経費を変えることができます。

それにより、損益分岐点は下げることもできるのです。

 

100%損益分岐点を上回ることができるとはいえない場面もありますが、それでも意識している・していないは大きな違いです。

このことは、事業をつづけていくかぎり、意識しなければならないことなのです。

 

まとめ

サッカーも経理も守りが大事です。

サッカーでの攻撃は、相手からボールを奪うところからはじまります。

いっぽう経理では、やりたい攻撃をするために、守りでお金をコントロールしておく必要があります。

事業の守り。それが経理です。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。