サッカーの監督と社長の仕事は似ている

連日、ユーロやコパアメリカで4年に1度の本気の試合が繰り広げられています。

社長は、選手でもあり監督でもあります。

あらためて社長の仕事を考えるにあたり、サッカーの監督を参考にしてみるのはどうでしょうか。

 

イングランド対スロバキア 2-1

サッカーのユーロ(ヨーロッパ選手権)で、ベスト8を決める試合がおこなわれています。

そのなかの1試合である「イングランド対スロバキア」は、前回2020年のユーロで準優勝したイングランドが「2-1」で勝利しています。

ですが、その勝利は「たまたま」だったと言えます。

 

サッカーの試合は、前半・後半それぞれ45分の計90分でおこなわれます。

そこで引き分けだったとき、今回のようにトーナメントの試合は、30分の延長戦にはいります。

それでも決着がつかなければ、それぞれのチームから1人ずつが交互にシュートだけをし、それが入るかどうかで勝敗を決めるPK戦をおこないます。

 

イングランド対スロバキアは、90分の試合が終わる1分前までは、スロバキアが「1-0」でリードしていました。

その1分前で同点になり、延長戦でイングランドが勝利したのです。

 

そもそもイングランドは、前回に準優勝したときのメンバーが中心となっていることもあり、強いといわれているチームです。

いっぽうスロバキアは、イングランドほど有名だったり高給取りな選手は多くないですが、弱いチームではありません。

ユーロに参加するための予選を突破し、そしてベスト16まで来ているわけなので。

 

とくに前半45分は、とてもイングランドが勝てそうな内容ではありませんでした。

選手個人ではなくチームとしてみたとき、スロバキアのほうがよほど上手く・固く・そして努力もし、勝利に値していました。

 

イングランドは、前回に準優勝できたのが不思議なくらいダメダメでした。

どうやって攻めるのか・どうやって守るのか。

こうした基本的なことを、選手全員が理解できているようには見えませんでした。

ただただスロバキアの選手がいないところでパス回しをしているだけ。

おそらく、監督の手腕が影響しているのだと思います。

 

サッカー選手は、普段は国の代表チームではなく、クラブに所属し、1年をとおしておこなわれるリーグ戦などを戦っていきます。

クラブから給料をもらい、リーグ戦で優勝したり、そのリーグ戦から派生するチャンピオンズリーグなどの優勝を目指すのです。

代表チームに選ばれれば、それぞれの国のサッカー協会などからボーナス的なものをもらえることもあります。

ですが、生活の基盤はクラブにあるのです。

 

そのため、チームのなかの1選手としてみたとき、かりにクラブでは上手くいっていても、代表チームにくれば上手くいかないこともあります。

チームスポーツは、たった1人だけがとんでもなく上手くても勝てないですから。

 

どの選手を代表チームに呼ぶか、どんな風に戦うか。

これはすべて代表チームの監督が決めることです。

そして、チームとしての体裁や連携をととのえるのも監督の仕事です。

 

チームとして上手くいっていないことがイングランドの選手も分かっていたのか、前半はイライラを隠せていませんでした。

また、チームとしての機能はかんたんに変わるようなものではないので、後半になっても突然ものごとが変わるようなことはありませんでした。

監督にできるのは、コートの外から叫んで指示をだすくらいですし。

 

でも、選手個人の能力。

テクニックや足の速さなど身体能力にかぎらず、パスなど連携のしかた、それぞれがどこにいるかというポジション取りによる戦い方への影響などサッカー全般にたいする知見はイングランドの選手のほうが上だったのかもしれません。

普段はあまり見られないことですが、イングランドの選手ほぼ全員が、自分の仲間にたいして「○○してくれ、自分に対して○○のポジションにいてくれ」など指示を出すようになりました。後半にはいってから。

おそらく、監督ができる影響を超えて、選手個人の能力でチームを立て直したのです。

 

そこからイングランドが優勢になってきたのです。

スロバキアは防戦いっぽうに。

 

後半だけをみれば、勝利に値したのはイングランドです。

そして終了1分前に点が入りましたが、そこまで選手個人の能力によるちょっとしたチャンスがあったのみで、チームとして明らかなチャンスを作り出したわけではないので、たまたまだったと思っています。

それでも、優勢の状態を維持していたイングランドが最終的には勝利しました。

 

国の代表チームというのは、それぞれのクラブのエースが集まるようなもの。

これを会社に置き換えてみると、いろんな会社から営業や製造・販売・開発・事務などそれぞれの分野のエースが集まって一つの会社をつくるようなものです。

そして、これらのエースをまとめるのが社長です。

サッカーの監督と社長には、その仕事において似ているところがあると思うのです。

 

サッカーの監督と社長の仕事は似ている

サッカーにおいて、「なにを目指して、どう戦うか」を決めるのは監督です。

そして、方法はともかく「勝つこと」を目指すのは誰でも分かっていることです。

サッカー選手にかぎらず、見ているほうにも当然のことですよね。

 

いっぽう会社では、なにを目指すのでしょうか。

それは「利益」や「お金を増やすこと」です。

これがなければ、いずれは会社が倒産してしまうので。

 

このことを、会社にかかわる全員が分かっているでしょうか。

 

会社によっては、社長は選手でもあり監督でもあるでしょう。

そんなときは、社長一人の力でなんとかできてしまう・やってしまうこともあります。

 

でも、もし全員に会社が目指すものが伝わっていれば、社長が留守にしていても社員などスタッフだけでなんとかできることもあるでしょう。

後半のイングランドのように。

ぎゃくに目指すものがハッキリ分からず、社員は社長の言うことを聞くだけの存在であれば、社長自身がピンチになった途端に会社は行き詰ってしまうかもしれません。

 

会社において「なにをもって勝ちとするか」はむずかしいことです。

でも、まずはこれを決めるのが社長の仕事です。とりあえずでよいので「利益○○円」といった風に。

そして「どう戦うか」も決めなくてはなりません。

これらを社員などへ伝えるところまで含めてが、社長の仕事です。

 

そのためには当然ですが、「利益の根拠」が必要です。

売上がこれぐらいで……

経費がこれくらいかかるから……

利益を○○円だせるはず……と。

 

とりあえず黒字ならなんでもよい、と言える状況もあるかもしれません。

それでも、たとえ「とりあえずの黒字」であっても、目指すということは成り行きまかせにしないということです。

なにかを目指すのであれば、「○○すれば○○になる」という根拠が必要です。

 

そして、その根拠には数字であらわすものもある。

もし、会社において何かを本気で目指すなら、やっぱり数字を押さえておくことも必要なのです。

 

サッカーの監督と社長の仕事には似ている部分もあります。

サッカーでなくてもよいので、ちがう分野の仕事を考えてみると思わぬヒントになることがあるかもしれないです。

 

まとめ

サッカーでは、監督も選手も全員が「勝つこと」を目指しています。

いっぽう、会社では「利益をだすこと」がサッカーにおける勝利にあたりますが、全員がおなじものを目指すと会社の力は強くなります。

選手としてではなく、監督としても社長の仕事を考えてみましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。