法人成りのシミュレーションを自分でするには

法人成りすると、個人・法人ともに税金をはらうことになるので、はらう税金の数はふえます。

でも、税率のちがいにより、トータルの税金はすくなくなることも。

そのカギは役員報酬と社会保険にあります。

どんな風に計算するのかを、説明していきます。

 

法人成りで変わること

法人成りをすると。

それまで自分のものだった売上や経費などは、すべて法人のものになります。

自分のものはゼロ、売上も経費もなくなる…と。

そこで自分の生活は、法人からとる役員報酬でまかなうことになる。

 

このことにより、法人でも個人でも税金をはらうことになります。

つまり、はらう税金の数はふえる。

ただ、所得税は税率が最大45%まであるのにたいし、法人はそこまでにはならない。

この違いにより。

はらう数はふえても、法人・個人あわせたトータルの税金はすくなくなることもあるのです。

 

また、役員報酬をとることにより、社会保険(健康保険・年金)も変わります。

これは、法人成りしたあとの個人の税金、そして法人の経費にも影響が。

 

税金と社会保険。

このほかに法人の設立費用などもかかるかもしれませんね。

でも「○○したら…」は言い出したらキリがないことです。

いったんは、税金と社会保険のみで計算をしてみましょう。

 

シミュレーションを自分でするには

法人成りしたあとを予想するとき、役員報酬は複数のパターンを用意します。

また売上や経費は、直近のものを流用する…と。

個人の確定申告書にある数字を、すべてExcel に打ち込んでおくとやりやすいと思いますよ。

という前提で、個人と法人の税金をかんがえましょう。

できれば、個人の確定申告書を見ながら。

 

個人の税金

法人成りすると。

個人においては事業の売上や経費がなくなる反面、役員報酬による「給与所得」がでてきます。

そして、その役員報酬には社会保険がかかる代わり、それまでの国民健康保険・国民年金はなくなります。

 

このことにより個人の税金、確定申告書ではつぎのことが変わります。

  • 「所得金額等」の「合計」
  • 「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」

 

まず「所得金額等」の「合計」ですが。

いったん役員報酬を決めましょう。

その金額と、このあとで説明する社会保険の会社負担分が、事業の経費に加わります。

そのときの事業の利益を想像しつつ。

 

そして、その役員報酬の「年額」から、経費にあたる「給与所得控除」をひきます。

この給与所得控除は、役員報酬の年額におうじて自動的にきまるもの。

だから計算は難しくないはずです。

「給与所得控除」と検索すれば、かんたんに情報がでてきますし。

 

なお、個人の税金は「1月~12月」で計算するのにたいし、法人は「年度」です。

その年度はかならずしも 1月~12月にならないかもしれませんね。

そのときどうするか…はお任せしますが、最初はざっくりでも良いとおもいますよ。

それで満足できなければ、より詳しくしていく…と。

 

ここまでが終われば、「所得金額等」の「合計」がでます。

その次は、社会保険のことを。

 

その社会保険は、一般的には協会けんぽ・厚生年金です。

これらがいくらか…を知るには、「社会保険料率」と検索してみましょう。

おそらく都道府県毎の保険料額表がみつかるはず。

そこから、役員報酬の月額におうじて、数字をひろっておきましょう。

 

ちなみに社会保険は、個人・法人で半分ずつ負担するのが一般的です。

だから、個人のものが分かれば、法人で経費になる金額も分かります。

あとでする法人の計算のために、メモしておきましょう。

細かいことをいえば、子ども・子育て拠出金というものもあるのですが。

とりあえずは無視しても、それほど影響はないかなと思います。

 

それより話がすこし複雑になるのは、家族のことです。

もし家族が事業専従者だったり、あるいは法人成りしたあとで役員報酬や給与をとるなら。

その家族のぶんの計算も必要です。

このとき、とくにカギになるのは、社会保険において扶養になるかどうか。

手取りが逆転するようなケースもありますから。

 

ということを踏まえながら、「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」を計算してみましょう。

ここまでが終われば、あとは確定申告書にそって電卓をたたくだけ…と。

それで、法人成りしたあとの個人の税金がでますから。

 

法人の税金

法人の税金は、事業の利益にたいしてかかります。

個人における「所得金額等」の「合計」が、法人の利益ととらえてください。

役員報酬と会社負担の社会保険を経費に追加したあとの利益…と。

 

なお、この後はこまかい数字がでてきます。

いったんは、利益の30%くらいが法人の税金…とするのもアリですよ。

じつは法人の税金では、毎月の役員報酬がバラバラだと税金がふえるような特殊ルールがあったりします。

ということまで踏み込むと、これまたキリがないですから。

 

というわけで、法人にはつぎの税金がかかります。

(大きな会社や、株式会社や合同会社でない会社をのぞきます)

 

<法人税>

  • 利益 800万円までの部分……15%
  • 利益 800万円を超える部分……23.2%

 

<地方法人税>

  • 法人税の 10.3%

 

<住民税(法人税割)>

  • 法人税の 7%

 

<住民税(均等割)>

  • 資本金や従業員数によりますが、最低7万円(赤字でもかかる)

 

<事業税>

  • 利益 400万円までの部分……3.5%
  • 利益 400万円を超えて800万円までの部分……5.3%
  • 利益 800万円を超える部分……7.0%

 

<特別法人事業税>

  • 事業税の 37.0%

 

<消費税>

法人成りにより経費にくわわる役員報酬・社会保険は、消費税がかかりません。

なので、基本的には法人成りする前とおなじイメージでよいですよ。

 

ただし、資本金が1,000万円未満なら、設立してから2年間は免税事業者になれます。

インボイス制度がはじまる前は、これも節税のタネだったのですが。

でもインボイス登録をするなら、課税事業者になってしまいます。

そのときでも、2割特例などの特例がつかえるかどうか…はチェックしておきましょう。

場合によっては、けっこうな違いになりますから。

 

とはいえ、消費税の特例は、時限的なものです。

法人成りは、それを超えて長いあいだつづくものとして、数字を見るようにしましょう。

 

まとめ

法人成りすると、個人・法人ともに税金をはらうことになるので、はらう税金の数はふえます。

でも、税率のちがいにより、トータルの税金はすくなくなることも。

このことは、法人成りすることで新しくくわわる役員報酬と社会保険が原因です。

また、家族と事業をするなら、所得を分散することもその原因に。

ということを念頭に、法人成りしたあとの計算をしてみましょう。

 

 

なお、当事務所のスポット相談でもこの計算を受けております……スポット相談

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。