逆粉飾決算=脱税。気になったらお金で買えないものを意識する。
逆粉飾決算は、実態よりも利益・税金をすくなくすることで、脱税ともいいます。
定期的にニュースなどでみかけますが、その手口はほぼ共通しています。
その動機はお金でしょうが、お金は単なる道具だと思いたいものです。(理想論……)
逆粉飾決算とは
逆粉飾決算とは、実態よりも利益をすくなく計上することをいいます。
うっかりミスではなく、意図的に。
利益がすくなくなるので、税金もすくなくなる。
いわゆる脱税です。
わざと利益をすくなくすれば、融資がうけにくい・仕事の受注がしにくい、というデメリットにもつながります。
それでも税金を払いたくない……ということでしょうね。
意図的に逆粉飾をするときは、仮装する・隠蔽するということをしがちです。
- 仮装する……嘘をつく
- 隠蔽する……取引などを隠す
二重帳簿をつくったり、書類を改ざん・捏造したり、数字のはいっていない空伝票をつかったり、といった方法で。
このようなことは、税金の世界でいちばん重い罰金である重加算税の対象になってしまいます。
たとえば、税務調査で税金が本来よりもすくなかったことが判明したとして……
- うっかりミスのときの罰金……すくなかった税金×10%~15%
- 重加算税……すくなかった税金×35%~40%
そして、重加算税がかかると税務署のブラックリストにのります。
通常であれば数年に1回の税務調査が、毎年のように来ることになるでしょう。
これだけは避けなければなりません。
よくある脱税の手口
仕事柄、脱税のニュースはチェックしていますが、その手口は変わり映えしないものです。
- 売上を抜く
- 架空の経費
- 外注偽装
- 在庫をへらす
売上を抜く
- 今期の売上を、次の期にまわす
- 現金でもらった売上を申告しない
- プライベートの口座に入金された売上を申告しない
- 入金された売上を「売上じゃない」と経理する
このような方法で売上を抜くことが一般的、そして簡単です。
売上は金額がおおきいものなので、手っ取り早いともいえるでしょう。
でも、金額がおおきいだけにバレやすい。
税務署は、金融機関への要請により、口座の履歴をみることができます。
すべての入金・出金はわかっている、と思った方がよいでしょう。
「隠す」ということがなければ、重加算税を回避することができるかもしれませんので。
もちろん、やらないのに越したことはないのですが、相手はみつけることのプロです。
(隠すのは、税理士の仕事ではありません。。。)
架空の経費
- 数字のはいっていない空伝票
- 領収書を偽造する
- 受けとった領収書の数字を変える
このような方法が一般的でしょうか。
独りではなく、誰かと協力しておこなうケースもありますね。
税務調査では、自分がもっている書類だけを見られるわけではありません。
場合によっては、取引先にも確認をとられます。
また、事業をしていると、法定調書や資料せんといった手続きをおこないます。
取引のある部分を税務署に報告する手続きですが、これらと帳簿の数字があわない……
ここからバレるケースもあるでしょう。
なにかを偽ると、つじつまを合わせるのはむずかしいものです。
(つじつま合わせも、税理士の仕事ではありません。。。以下、同じ)
外注偽装(請負偽装)
- ホントは給与なのに、外注費とする
これにより、次の効果が見込めます。
- 消費税がへる
- 源泉所得税がへる
- 社会保険がへる
実態は雇用契約(給与)なのに、請負契約(外注)といつわることで、これらのメリットをうけようとするのが外注偽装です。
契約書の中味をいじったりすることで。
じつは、「給与なのか外注費なのか」は、実務ではとても難しいときもあります。
かならずしも意図的ではないときもあるでしょうが、みつかると消費税・源泉所得税・社会保険とトリプルで痛いのです。
わざと、は論外ですけどね。。。
在庫をへらす
- ホントは売れたものを「売れていない」ことにする
在庫と利益の関係を整理すると……
- 仕入れー在庫=経費
在庫がへれば、経費がふえる。
経費がふえれば、利益はへる。
その結果、税金もへるわけです。
在庫は、小売業など業種によっては、毎日変わるものです。
そもそも正確に数えるのもむずかしいものですが、売上の明細などからつじつまが合わない、となるでしょう。
意図的にへらすときは、あるていどドカッといくはずなので、そのぶん目に留まりやすいはずです。
また、いつかは「売れた」と言わなければなりません。
結局は、将来にツケが残るだけなので、やらないのが吉ですね。
税金はお金をふやすための経費
誰でも税金は払いたくないもの。
払った見返りを感じにくいということもありますしね。
また、税金の使い道であろうニュースなど見ていると、気が重くなるときもあります。
でも、法律の仕組み上、税金を払わないとお金はふえないようになっています。
特例でガツンと税金をへらせるものもありますが、基本的には。
起業されたかたなら、営業関係の本・セミナーなどで「誰かが喜ぶ=売上」という趣旨のことを見聞きしたことがあると思います。
お金を得るための手段という位置づけにも感じるかもしれませんが、「お金では買えないもの」を目指す・意識するというのもよいのではないでしょうか。
お金って、結局は道具です。
それをふやすための経費が税金、と。
(キレイごと過ぎますかね。。。)
まとめ
逆粉飾決算は、実態よりも利益・税金をすくなくすることで、脱税ともいいます。
定期的にニュースなどで見かけるものなので、もしかしたら無くならないものかもしれません。
その動機はやっぱりお金なわけですが、お金ってホント何でしょうね。
あっても悩むし、なくても悩むし。。。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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