住民税だけ申告するときの注意点

所得税には申告不要のルールがありますが、住民税には存在しません。

また、住民税の申告は「紙」でおこないます。

その申告をするときの注意点を、確認しておきましょう。

 

住民税だけ申告が必要な状況

所得税の申告をすると、住民税の申告は必要ありません。

税務署へ申告した内容は、おすまいの自治体へもいくからです。

(住民税は、おすまいの自治体が計算します)

 

いつも所得税の申告をすればよいのかもしれませんが…

所得税には、一定の条件のもと、収入があっても申告しなくてよい…というルールがあります。

 

たとえば、つぎの場合には、所得税は申告不要です。

  • 1つの会社におつとめのとき、その給与は年末調整済みで、それ以外の所得が20万円以下

ある会社につとめていながら、副業をしていたり、ちょっとした臨時収入があるような場合ですね。

(同族会社の役員は、あてはまらないケースもあります)

 

この申告不要のルールは、住民税にはありません。

所得税が申告不要のときでも、住民税だけは申告しなければならないのです。

所得税は、所得税法。

住民税は、地方税法。

それぞれ法律がちがうから…なのです。

 

この住民税の申告は、所得税とおなじノリでいくと、とまどうかもしれません。

その注意点を、確認しておきましょう。

 

住民税だけ申告するときの注意点

住民税だけ申告するときは、つぎのことに注意しましょう

  • 申告書の様式
  • 添付書類
  • 所得税との計算の違い

 

申告書の様式

住民税の申告書は、日本全国どこでもおなじもの…とはかぎりません。

自治体により、異なる可能性があるのです。

 

いっぽうの所得税は、日本全国どこでもおなじです。

その様式は、つぎのとおり。

(一部を抜粋。以下おなじ)

 

 

ひとによっては、見慣れているかもしれませんね。

この所得税にたいし、たとえば練馬区の住民税の申告書は、こんな感じです。

 

 

所得税とは、印象がかわるとおもいます。

また、練馬区のおとなりの西東京市のものは、つぎのとおり。

 

 

このように、自治体ごとに様式がかわります。

インターネットで手に入れることができればよいのですが、それができない自治体もあるかもしれません。

となると、電話をしたり、取りにいくはめに…

くわえて、電子申告はできない(はず)なので、郵送するか、市区町村の役場にいかなければなりません。

 

まずは、申告書を手にいれるのが、意外に大変…ということを知っておきましょう。

 

添付書類

所得税の申告をe-Taxでおこなうときは、つぎのような書類は添付を省略できます。

  • 源泉徴収票
  • 生命保険などの証明書
  • 寄付金の証明書
  • 2年目以降の住宅ローン残高証明書

 

ですが住民税では、上記の書類はすべて添付しなければなりません。

(自治体により、異なる可能性はあります)

しかも、練馬区のばあいは「原本」を。

 

確定申告書等作成コーナーなど、電子申告になれているかたは、とくに注意しておきましょう。

そして、提出するものは、あとで困らぬよう、控えのコピーを忘れずに。

 

所得税との計算の違い

所得税と住民税は、計算のながれがよく似ています。

ですが、「所得控除」のうち、いくつかのものについては、つぎのような違いがあります。

あまり細かくならないように、代表的なところだけをあげておきます。

 

項目 所得税 住民税
生命保険料(全体の限度額) 120,000円 70,000円
地震保険(地震保険のみの限度額) 50,000円 25,000円
ひとり親控除 350,000円 300,000円
配偶者控除(70才未満) 380,000円 330,000円
扶養控除(一般) 380,000円 330,000円
基礎控除(上限) 480,000円 430,000円

 

 

所得税では、確定申告書等作成コーナーを利用することにより、計算はあるていど自動でできます。

でも、住民税には電子申告がなく、紙の申告書をつかう…

ということは、手書きです。

計算も、自分で電卓をたたきながらおこなうことになる。

このように思っておきましょう。

 

まとめ

所得税の申告はせずに、住民税だけ申告するときの注意点をみてきました。

この注意点は、申告を「紙」でおこなうことに由来する部分がおおいです。

また、所得税は「すべてが税金」の税務署でおこなうのにたいし、住民税は「いちぶが税金」の市区町村役場でおこないます。

相談にのってくれるかたも少ないはずなので、準備は早めにしておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。