商品の紛失・廃棄などの損失を取り戻すにはいくら売ればよいのか

災害やうっかり…あるいは万引きなどで商品を紛失することがあります。

また、売れ残ってしまい、廃棄…つまり処分せざるを得なくなることもあります。

このような損失を取り戻すには、追加でいくら商品を売ればよいのか、考えてみましょう。

 

損失を取り戻すにはいくら売ればよいのか

たとえば、1つ「80円」で仕入れた商品があったとしましょう。

その売値は「100円」。

なので、1つあたりの粗利(=儲け)は「20円」。

 

この商品1つが、紛失などしてしまったら、そのままだと「80円」の損失です。

その損失の取り戻すには、いくら売ればよいのか。

この考えかたには、すくなくとも次の3通りのものがあります。

  • 原価「80円」を取り戻す
  • 売り値「100円」を取り戻す
  • 事業全体の「利益」を取り戻す

 

原価「80円」を取り戻す

商品を1つ紛失などすると、その損失は「80円」です。

その商品1つあたりの粗利は、「20円」。

となると、4つ売れれば損失をカバーできることになります。

 

こうすることで、商品を紛失などする前の状態にもどすことができます。

  • 紛失などにより失うお金は「80円」
  • 4つ追加で売ることによりふえるお金は「80円」

これでトントンです。

 

商品が1つダメになったから、1つ余分に売ればよい…というわけではないのです。

 

売り値「100円」を取り戻す

商品を1つ紛失などすると、1つぶんの売上をうしなうことになります。

その売上は「100円」。

原価ではなく、売上を取り戻す…という見方もあるのです。

 

そのためには、「5つ」追加で売らなければなりません。

1つあたりの粗利が「20円」なので。

 

紛失などしたものが、もし売れていたら、お金は「20円」ふえていたはずです。

これを次のように回復するわけです。

  • 商品が1つダメになると「△80円」
  • 追加で5つ売ってふえるお金は「100円」
  • 上記を相殺すると、お金は「20円」ふえる

 

少しややこしくなってきた…と思いますが、このような考え方もあるのです。

気になったら「機会損失」について調べてみましょう。

 

事業全体の「利益」を取り戻す

ここまでは、商品1つあたりの売り値など…つまり商品だけを軸にをみてきました。

でも、商品を売るためには、場所代や人件費などもかかります。

このような経費もふくめ、事業全体からの視点でかんがえることも必要ではないでしょうか。

 

すると、計算はもっとややこしくなります。

「金額」だけでは追いきれないので、「%」でみることも必要になってきます。

 

たとえば、事業全体の利益率が「5%」だったのなら……

失った原価をとりもどすには、次のように計算します。

  • 80円÷5%=1,600円ぶんの売上  ∴ 追加で16個売る

失った売上をとりもどすには、次のとおり。

  • 100円÷5%=2,000円ぶんの売上  ∴ 追加で20個売る

 

追加で売らなければならない数は、グンと増えてしまいました…

でも、経営者なら、このような視点も必要なはずです。

たった1つの商品ですが、意外な重みがあるのです。

 

複数個で一つの売上という考えかた

良し悪しはともかく、次のように考えることもできます。

  • 紛失などを見込んでおく

 

たとえば、商品を10個仕入れたら、うち1つはかなりの確率でダメになる……

このような前提で、売り値をきめるわけです。

 

さきほどの商品を例にすると、次のようにかんがえます。

  • 商品を10個仕入れると、「800円」
  • 1つダメになる前提だと、のこり9個が売れて「900円」
  • 10個仕入れたときの粗利は「100円」…とみておく

 

仕入れたものはすべて売りたい…というのは言うまでもないことです。

でも、食べ物なら、賞味あるいは消費期限があります。

服などにも、売れる時期や流行があります。

モノにも、新しいモノ・より便利な新型という脅威があります。

仕入れたものが「もう売れない…」という状態になることも、あり得るわけです。

 

もし、注文を受けてから仕入れるのなら、「もう売れない…」は回避することもできます。

でも、たとえば飲食店。

注文を受けてから、材料を仕入れにいくのでは、できあがりは翌日などになってしまうでしょう。

となれば、お客さまは帰ってしまいます。

まえもって仕入れざるを得ない業種もあるのです。

 

このような前提があるときは、「紛失なども見込む」ことが必要になってきます。

このこと前提で、売り値を考えるのです。

 

すると、紛失などにたいする目線もグッときびしくなってきます。

ここまで書いてきたように、商品1つの紛失などは、取り返すのがとても大変だからです。

 

  • 1つ紛失などしたら、追加で1つ売ればよい。

これは、数字の語呂がよいかな…とかんがえたサンプルの言葉です。

この言葉が「ずいぶんドンブリ勘定的だな…」と思えるのなら、この記事をかいた甲斐があります。

また、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

 

まとめ

商品が紛失などしたときの損失を取り戻すには、いくら売ればよいのか…についてみてきました。

お金は、まず商品に姿をかえ、それが売上となり、「増えて」もどってくるはずです。

このサイクルのなかで、商品たった1つでも、その重みは意外にあるのです。

事業は、売ることだけではなく、仕入れや売り値を自分できめることも、とても重要なのです。

そのときに、自分の事業を数字でも知っていることが、助けになります。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。