節税の効果を実感するのに必要な視点

節税をしていることは、あんがい忘れがちだったりします。

どんな時代でも節税は難しいですから、その実感を忘れるのはもったいない。

よくある節税策について、持ってほしい視点を記事にしています。

節税していることは忘れがち

節税をしていることは、ときに忘れることもあります。

というのも…

あたらしく節税策を講じるのは、毎年とは限りません。

いちど決めたら、あとは同じことをずっと続けていくことも多いのです。

あたらしいことを始めるときは試算などするので、具体的な数字やお得感は頭にある。

でも「節税をしたな」という感覚は1回きりなので、気がついたら無くなっていることもあるのです。

また、節税をしても、お金が入ってくるとは限りません。

出ていくお金が減るだけのことも多いのです。

このお金のことを考えてみると…

たとえば、年末調整の還付。

これは厳密には節税ではないものの、お金が戻ってくるので嬉しいもの。

頭をひねって節税を考えるよりも、インパクトがあったりします。

おなじく、ふるさと納税。

税金として出ていくお金はほぼ変わらないのに、返礼品が手に入るぶんトクしている。

これも節税ではないものの、返礼品があるのでトクした実感をもてるのです。

せっかく節税をしているのに、その実感をもてないのは残念なこと。

過去を振り返ったときに「あんな苦労があったな」ということを忘れるようなものですから。

ただ、その実感をもつのも、ハードルが高めかもしれません。

節税の効果を実感するには

よくある節税について、実感をもつにはどうすればよいか。

• 役員報酬
• 消費税の原則、簡易課税
• 社宅
• 赤字
• お金をつかって経費を増やすもの

役員報酬

役員報酬による節税とは。

おもに家族間の所得分散や給与所得控除による恩恵をうけることです。

これでどれくらい節税できたかは、次のことを計算すればわかります。

• もし、すべての所得（儲け）がだれか一人のものだったら税金はいくらになるか

この計算は、けっこう手間がかかるもの。

所得税の申告書をひととおり作ることになるので。

また、社会保険の再計算もひつよう。

ただ、ここまですれば具体的にいくら節税できたかは分かります。

消費税の原則、簡易課税

もし簡易課税をつかえるなら、原則的な方法とくらべて、いくら違うのか。

これは、できれば毎年計算しておきたいものです。

消費税はとかく、「申告するときに出ていくお金」に目を向けがちです。

でも中間納付のせいで、「1年分はいくらか」を忘れがちになるもの。

1年分をふまえたうえで、どちらの方が得なのか…は毎年計算するようにしましょう。

けっこうな金額になっていることも、珍しくないんですよ。

社宅

社宅を活用すると、法人税等が減るほか、個人の財布にお金が残りやすくなります。

ただ、会社と個人をあわせてみれば、家賃として出ていくお金はおなじ。

しばらく時間がたつと、「個人負担はゼロにできないか」という気分になったりもする。

決算のときには、地代家賃と雑収入（受け取り家賃）の差額を確認しておきましょう。

その30％くらいは、法人税等がすくなくできている…と。

赤字

赤字になったとしても、翌年以降10年間は、その赤字の金額までは法人税等がかかりません。

また、もし赤字の年の前年度が黒字なら、前年度にはらった法人税のいちぶが戻ってくる可能性もあります。

この恩恵をうけるには、すくなくとも青色申告をしていなければなりません。

おそらく多くの会社が、設立時などに青色申告の申請をしているとおもいます。

その申請書、たった紙１枚ですが。

その効果が、赤字でお金が少なくなっているときに実感できるはず…なのです。

もし青色申告でなかったら…とかんがえてみましょう。

なお、申告をさぼっていると青色申告は取り消されることがあります。

そんなことにも注意しておきましょう。

お金をつかって経費を増やすもの

お金をつかえば、簡単に経費を増やすことができます。

お金をつかうので、節税した…という実感も得やすいはず。

ただこの時には、手取りも減っていることに注意しておきましょう。

法人税等は、利益の○○％…と計算されます。

税金が減れば、自動的に税引き後の利益、つまり手取りも減るしくみになっているのです。

古くから、あらゆる場所で。

税金、または年貢のように税金にあたるものをめぐり、いろんな手段で「減らせないか」と考えられてきました。

そして税金を取る側でも、その対策が講じられてきた。

節税は、どんな時代でも、簡単ではないはずのもの。

それが、お金をつかうことで簡単にできるなら。

むしろ落とし穴を疑うくらいで丁度よいのでは…と思うのです。

たぶん、これは時代をつうじた節税の原則のようなもの。

その実感を忘れてしまうのはもったいないので、ときに振り返ってみるのも良いですよ。

まとめ

節税策は、ひんぱんに講じるものではなかったりします。

それを考えるときには実感があるものの、しばらく経つと忘れがちだったりもするのです。

節税は、どんな時代においても、簡単ではないはずのもの。

もし簡単にできるなら。

それは何か間違っているのかもしれない…と思うくらいで丁度よいのかもしれません。

決算の時には、過去におこなった節税の確認もしてみるようにしましょう。

※　記事作成時点の情報・法令に基づいています。